合わせ出汁
『社会人編』は、私が作る立場になってきているので『帰ってきてらビックリ夜ご飯』の回数が少ないかもです。ビックリしているのは父と兄でしょうね……(苦笑)。
それは、みそ汁を作っている時だった。
「あ。かつお出汁ちょっとしかない。」
うちではかつお出汁をいろいろな料理に使う。野菜炒め、煮物、みそ汁……とにかく何でもだ。で、あるから、いつものようにかつお出汁の買い置き場である茶箪笥を開けた。そこにはいつものように……かつお出汁の箱は無かった。
「おいおいまじか……。母さんかつお出汁無いよ~??」
「えぇ~??」
なんたる失態。
かつお出汁の買い置きがない。
有るものと思って先ほどのかつお出汁は鍋に投入済みだった。
(火を止めて、わざわざ今から買いに行くのもな……。)
そう思った私は茶箪笥の上部に置いてある「昆布茶」を手に取った。
今日は昆布の出汁で我慢してもらおう。
ふたを開け、付属のスプーンで昆布茶の粉をすくい、鍋に入れた。
すると――――――。
「何してるの!!!!???」
「……え??」
母が耳元で大絶叫。
「うるさ……いやいや、何?」
「何じゃないでしょ?!さっきかつお出汁入れたじゃない?!」
「ちょっとしか無かったって言ったでしょ。」
「だからって何で昆布茶いれたのよ?!」
私は頭にハテナマークが飛んだ。
「かつお出汁の代わりだよ!!??」
かつお出汁がなければ、昆布出汁を使えばいいじゃない。
軽い気持ちでした行為にまさかの大非難。
マリーアントワネットもビックリだ。
しかし、その後の母の言葉に私は更に驚いた。
「かつお出汁に昆布だしを入れたらまずくなるじゃない!」
お……。
お母さん……!!
「合わせ出汁って知ってる??!!!??」
CMでも「かつおと昆布の出汁を濃縮しました。」とか言っているじゃないか。どういうことだ。母さんは出汁を合わせることを知らないのか…!?
「知ってるわよ。でもそれは粉末タイプの事じゃないでしょ??」
「え?ドユコト。」
「素材からでた『うまみ』はよく馴染むけど、粉末の出汁同士は馴染まないでしょ??」
……え。
そうなのかな??
『うまみ』とか言われると困っちゃう。
もっともらしいことを言われて動揺してしまった私。
こんな時は「助けてドラえもん」ならぬ「助けてお祖母ちゃん!!」だ。
私は早速母方祖母に電話をかけた。
「はいは~い。」
「お祖母ちゃん!聞きたいことが有るんだけど…!」
私は祖母に事情を話した。祖母は……大爆笑していた。「電話をお母さんに変わって。」と言われ、受話器を母に渡す。母はぶすっとした顔で祖母と話をしていた。母はしぶしぶ納得した後、再び受話器を私に渡した。
祖母は言った。
「お母さんの事よろしくね~。」
……料理に関しては、よろしくしたくない……。
その後はいつものようにみそ汁を作った。
そのみそ汁を飲んだ父が言った。
「今日のみそ汁うまい!どうしたの?」
母は、化学調味料の粉末出汁も、合わせても大丈夫な事を還暦まじかで知ったのだった…。
~その後、出汁を買いに行った時の話し~
私「母さん。おでんの素だって!いや~なんでも売ってるんですね~。」
母「買ってみる?」
私「え~?」
箱をひっくり返して、おでんの素の成分表を見る私。
私「!!!!!お母さん!!これ見て!!!」
母「何?」
私「ほらココ!!中身『かつお出汁』と『昆布だし』って書いてある!!!!」
母「………。」
私「他所のおうちでは一般的だったんだね~。」
母「他所はよそでしょ。」
私「…………そうね。」
そっ……と『おでんの素』を陳列棚に戻したのだった……。




