うちのカレーライス
姉が家に彼氏を連れてきた。
電話で「近くに来たから寄るね~。」って突然すぎだろ。
(ちょっと待てよ。そういう大事なことはもっと早く連絡しろよ…!?今夜の夕食はカレーだぞ?普通過ぎる……!福神漬けだって買ってない。飲み物・お茶菓子だってうちにはないぞ??!!)
私が夕食の仕上げをしている間に、兄が急いで茶菓子やジュースを買いに出かける。その間とりあえずきゅうりの漬け物と緑茶を出しておく。都会育ちのその人は、出された漬け物を見て驚いていた。カルチャーショックを感じたのであろう……。
なんとか福神漬けが間に合ったところで皆で食卓を囲んでカレーを食べる。たわいない話をし、もぐもぐカレーを食べる。ふと、彼氏さんの様子がおかしいことに気づいた。なかなかカレーを食べないのだ。
(味が薄かったのかな…。)
と思って手元を覗いてみると、じゃがいもや人参をスプーンで小さくしていた。大きさにして約1cm角くらいに…。
「どうしたの?」
姉が尋ねると、彼氏さんは申し訳なさそうに言った。
「その……。具が、でかくて…。」
具がデカイ……。
「「ええぇぇぇええええええ!!???」」
姉と私の声がかぶった。
じゃがいもは縦々・横々・中央の5回カット、人参は乱切り、玉ねぎは細切り、肉はカレー用の肉をそのまま使った。大きいと言えば大きいかもしれない。しかし、今回は母ではなく私が作ったので『い・つ・も』よりは具材は小さい方なのだ!それなのに……これでもまだ大きいだと……?!!都会のカレーはどうなっているんだ???!!!!
「ちなみにご自宅ではどの程度の大きさ何ですか??」
私が恐る恐る聞いてみると、
「そうですね……けっこう跡形もないくらいですね……。」
「跡形もない……!?それって、溶けてるってことですか…??」
「……はい。」
なんてことだ!!都会のカレーは具が溶けているだと!!!!?
「小さく切った方が火の通りも早いですし、煮込む時間も短くなりますよ?」
うわ!理にかなってる!!
私は目の前のカレーを見つめた。
どの具材も3cm角はあるだろう。
(なんてことだ……こんな田舎カレーを都会っ子に食べさせてしまったとは……!!)
恥ずかしい気持ちでいっぱいになった。
これからカレーの具はもう少し小さくしよう。
そう思ったとき、
「え~~!?切るのに時間取られてるんだから、結局作る時間は変わらないでしょ~~??」
姉が大きく出た。
「それに今日のカレーは具が小さい方だよ??普段はもっと大きいよ~??」
…………。
お姉ちゃん!!!
もうやめて!!!!!
「これより大きいのか……!?」
彼氏さんは物凄く驚いていた。
兄と父は苦笑い。母は知らん顔。
私だけ、1人であわあわしていた。
カレーなら穏便に済むよね。と思ったが、そうでもなかった。
そのことに意気消沈してしまった事は……致し方ない事だ。
(母さんが具材を切っていたら大変なことになっていたな……。)
妙にしんみりしながら、引き続きカレーを食べたのだった…。
姉は結婚後、カレーの具を小さく切るのに毎回悪戦苦闘しているらしいです。




