表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
60/88

塩と砂糖

うちの家族は「おひたし」が大好きだ。


ほうれん草、小松菜、もやし、モロヘイヤ、ニラ、オクラ、つるむらさき…。

ご当地野菜?の、すべりひゆも忘れてはならない。


これらの野菜に共通することは『塩ゆで』だ。



……『塩ゆで』だ。



*****



親戚から沢山のほうれん草を貰った。


「新鮮だ――――――!!!ありがと―――!!!」


表面上は良い子ちゃんの台詞を装いながら、心の中では(お前らグッダグダに煮てやんよ!!フハハハハ!!)と盛大に毒づいた。




大きな鍋でお湯が沸くまでの間に、ほうれん草を洗う。

畑からもぎ取ったままの姿なので、土がけっこう付いている。

そこそこ適当に洗っている内に、鍋の水が沸騰した。


「お姉ちゃ~~ん。塩とって?」


調味料置き場の近くに姉がいたので、声をかける。

『立ってるものは、姉でも使う。』

ただそれだけの事だった。

私は火加減を調節するのにコンロを見ていた。

その為、姉が調味料を取るところを見ていなかった。


「はいこれ。」

「ども!」


姉から手渡された調味料容器。

ふたを開けて、中に入れっぱなしの計量スプーンを取り、白い物体に『ガッ!』と突き刺した。(塩や砂糖って固まってますよね??)


(……あれ?)


私は違和感を感じた。


(この感触は………??)


ぐつぐつ煮えたぎる湯の前で、しばし呆然とする私。

姉が「どうしたの?」と言っているのが遠くから聞こえる。

いやいやまさか……まさかそんな……。

困惑しながら、白い塊をガツガツ壊す。

壊せば壊すほど、思った。




……これは砂糖だ。




「お姉ちゃん!!!これ砂糖!!!」

「え?」

「塩じゃない!!!」

「えぇぇぇえええ????!」


危ない危ない。もうすぐ大切な水が「砂糖水」になってしまう所だった。

気づいた私!えらいぞ!!

と私が内心自画自賛をしていると――。


「だってラベル書いてないし!分かるわけないじゃん!!」


そうなのだ。料理が苦手な家族なのに、調味料にラベルが張ってないのだ。どうしてかと言うと、母がよく容器を入れ替えるからだ。母曰く「入れ物が可愛くなれば、料理をしたくなると思う。」らしい。実に素晴らしい理由だ。だから私は自然と、塩と砂糖の違いが分かるようになった。だから姉が気づかないのは……致し方ない事だ。(一応、塩は『香辛料棚』砂糖は『紅茶棚』に分かれて置いてある。)


「ほらこれ!砂糖はふわふわしてるじゃん!!」

「……。」

「塩はほら。ザラザラしてるじゃん!!」

「……。」


姉の大きな目が、極限まで細められている。「こいつ、何言ってんの?」と、心の声が聞こえそうだ。

姉の視線を感じながら鍋に塩を投入し、ほうれん草の固い部分を下にして少し茹でてから、全体を湯に入れる。姉は似た容器に入っている塩と砂糖の塊りを『ガッガッ』と壊していた。

そして『そっ…』と塩と砂糖の容器のふたを閉め、一言。


「……わかんない……。」



『塩と砂糖を間違えてしまうのには、必ず理由がある。』



私はまた一つ悟ったのだった……。







~~おまけ~~




私「母さ~ん。塩と砂糖の容器にラベル付けて良い?」

母「なんで?」

私「姉ちゃんが間違えるから。」

母「お姉ちゃんは家で料理しないから。付けなくてもいいでしょ。」

私「……。」

母「ラベル貼ると、何か容器が可愛くなくなっちゃうでしょ。」

私「ほほぅ……。」

母「だから、付けなくても良いの。」

私「……。」



だったら、お母さんも塩と砂糖を間違えないでほしいんだけど……。



あぁ……発言権の弱い末っ子ポジションが憎い……。


昨今は容器の色が別々なので、間違い騒動はなくなりました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ