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もずくスープ

途中で切れませんでした……。

前フリ長いです。

修学旅行で沖縄に行った。

「ひめゆりの塔」や、戦地になった場所、防空壕そう言ったところを回った。

大変勉強させて頂きました。


…………修学旅行で真面目に研修してたのうちの班ぐらいだったけど。



*****



沖縄に行ってビックリしたこと。

やはり料理の味付けでしょう。

宿泊施設での夜ご飯は、ほとんどが甘じょっぱい。酸っぱい。

そして、常夏のフルーツ?パイナップル、キウイ、ブドウ、ライチ、ドラゴンフルーツ……。酸味が多すぎたからか、私のお腹は初日からキリキリし始めた。

食文化が違う場合は、少量ずつ食べてお腹を慣れさせなくては……。

私が切実に感じている傍ら、周りの誰もかれもがお腹を下している人などいなく、「Cって胃腸が弱い人?」と何度も言われた。ピロリ菌はいないのに……。


そんな沖縄を満喫する中、私はある食べ物と出会った。


「もずく」だ。


沖縄で取れた新鮮なもずくを食べた時、脳に衝撃を受けた。


つるっつるの、とろっとろ。


わかめとは違う何か。めかぶとも違う何か。

こんなにおいしいものが有るなんて!!!!!

私は売り場のおばちゃんに言われるよりも多く、もずくを土産に買った。(私よりも友人の方が爆買いしていてビックリした。類は友。)


(家で食べるのが楽しみだ~。)


と思いながら、とっとと宅急便で送った。



*****



ネットでもずくスープの作り方を調べ、何となく準備は満タン。

私は沖縄で手に入れた「もずく」を早速調理した。


お湯を沸かし、鶏がらスープの素を入れる。醤油も少々。

解いた卵を、ナベの水を回しながら流し込み、ふわふわにする。

その後、もずくを適量投入。1煮立ちさせる。

すりおろした生姜。黒酢をお好みで入れる。

これでもずくスープは完成だ。


私は1口味見をしてみた。


(………!!う……うますぎる……!!!!)


材料も新鮮だからだろうか、素材一つひとつが生きている……!!(この時はじめて、鮮度が命と言う意味がよく分かりました。)


こりゃあヤバイ。


私は1人でご満悦。

夕食で家族にふるまえば、


「嫁に出しても恥ずかしくないな」


と、家事全般は父からお墨付きを頂きました。

やったね!


大量に買ったもずくは、そのまま酢の物で食べたり、味つけの違うスープにして食べきったのであった―――。



*****



修学旅行の余韻もとっくに冷めたころ、母が言った。


「もずくスープ、おいしかったな~。」


私は驚いた。

いつも私が何かしら料理をするとムン付ける母。

その母が、ついに私の料理を認めた??!!

そして、遠回しだがこの発言は「作ってほしいな~。」と言うことだろう。

母はシャイを大分拗らせているから、発言には訳が必要なのだ!


「お??何なに??作ってほしいの??」

「…………。」

「いや~母さんもとうとう私の料理の腕前を認めてくれたのね!!」

「…………。」

「ほっほう!材料を買ってきてくれたら作ろうではないか!!」

「…………。」


私は調子に乗っていた。

グラタンの件もだが、当時の私は料理を作るのが楽しくてしょうがなかった。

何でもできるようになったと言う思春期特有の万能感(中二病)を高校に入ってから私は感じ始めていた。料理が特別好き、とまではいかないが、パティシエや料理人を目指す子達からレシピを教えてもらい、チーズケーキやシナモンクッキー、シフォンケーキなど、今では到底作れないようなものを作っていた。万能感の行動力は凄すぎる……。


調子に乗って母に「作ってしんぜよう」と言う上から目線がいけなかったのだろうか……。まさか、あんなことになろうとは……。



*****



学校から家に帰ると、食卓にもずくスープがあった。


(な~んだ。自分で作ったのか。)


ちょっと残念に思ってから、ご飯を茶碗に分け、スープをお椀に分け、「いただきま~す。」と私は夕食を食べ始めた。まずは「もずくスープ」から……。


(???????!!!!!!!!!)


「なんじゃこりゃ―――――――!!!!!????」


私は大絶叫。

母は知らん顔。


「お母さん!!!!味見した!!!????」

「……したわよ。」

「何入れたの!!!???」

「Cがいれたのと同じよ。」

「同じ???!!!これが同じ材料でできているのか???!!!」


私は何がどうなったらこの味になるのか、狭い頭の中で考えた。


(とにかく酸っぱい。ぶっちゃけ腐ってるのかと思うくらいの刺激だ。タンパク質の玉子は酢によって固くなってしまっている。どんだけ酢を入れたんだ??!!!そして味付けもまずい。いや、酢によってまずくなってしまったのか????とり?とんこつ??醤油か??とにかく出汁が分からない。生姜も入っていると思われるが、風味が死んでいる!!!!入れなくてよかった!!!!もう駄目だ。このスープは破綻している!!!!!!)


酢に醤油、だし、生姜を入れた。そんな感じの味だった。

ほとんど酢。

そんな酢の中にぶち込まれた玉子ともずく。

よく分からないが鉄を食べているような気分だ。

とにかく………食えたもんじゃなかった!!!!!


(同じ材料でも、配分量が違うとこんなことになってしまうのか……。)


と、思うのと同時に、


(料理が苦手な人って、とことん苦手なんだ……。)


と、母を不憫に思ってしまった。




仕事や大学から帰ってきた父、姉兄も、びっくりしていた。


「お母さん……。」


と言っては、皆が母を悲哀の目で見つめた。

そして、言いようのない感情は私に向けられた。


「Cがもずくスープなんて作るから、こんなことになったんだ。」


何をどう考えたらそうなるのでしょうか、お父さん。


「ちょっと、意味が分からないんだけど。」

「Cが作れるなら母さんも作れる、と勘違いしてしまったんだ。つまりCが悪い。」

「思考が飛び過ぎじゃない!!??」

「母さんがもずくスープを気に入っていたことは気づいていただろう??つまり、定期的に作ってやればよかったんだ。お前は義務を怠ったんだ。」

「いつから義務になったんだよ!!??だいたい、材料を買うお金なんてないし。」

「よく考えろ、昨日買ってきたのか材料があっただろ。それに気づいたときに作ればよかったんだ……。そうすれば……こんなことには……。」

「お父さんはお母さんが大事なのか??!材料が大事なのか??!」

「どっちも大事だ!!」

「……ついていけねぇ……!!!!!!」


父は、おそらく必死に母をかばっている。

子どももびっくりな苦し紛れだが。

……上記の会話をしている時、姉と兄は笑いを必死にこらえていた。

お前ら……傍観してないでどうにかしろ……。


当事者は悲劇。第3者から見ると喜劇って本当なんだな。

と何故かドン・キホーテを思い出した。


「母さんに複雑な味付けが出来ると思っているのか?できないだろう??ならCが作るしかないじゃないか??!!」


その一言の何が気に食わなかったのか、母が反応した。


「ちょっと!!複雑な味付けが出来ないって何??!!私の事そう思ってたの!!??」


その場にいた全員が思った。



(うん。そう思っているよ。)



その後、母の怒りを抑えるのにかなりの時間がかかった。

その時決まったのは、「酢を使うな」とのこと。

今回の敗因は「酢」にあるのだから、もし使うとしても少量にすること。

必ず計量スプーンを使う事。


母はしぶしぶ了承した。



冷めてしまったもずくスープはますます困窮の極みの味になっていた。

もったいないのだが、もずくスープは処分されたのだった……。




あれからと言うもの、冷蔵庫にもずくを確認したら、私はもずくスープを作るようにしている。


もう、2度とあんな思いはしたくない……。

その思い1つだけだ。

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