もずくスープ
途中で切れませんでした……。
前フリ長いです。
修学旅行で沖縄に行った。
「ひめゆりの塔」や、戦地になった場所、防空壕そう言ったところを回った。
大変勉強させて頂きました。
…………修学旅行で真面目に研修してたのうちの班ぐらいだったけど。
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沖縄に行ってビックリしたこと。
やはり料理の味付けでしょう。
宿泊施設での夜ご飯は、ほとんどが甘じょっぱい。酸っぱい。
そして、常夏のフルーツ?パイナップル、キウイ、ブドウ、ライチ、ドラゴンフルーツ……。酸味が多すぎたからか、私のお腹は初日からキリキリし始めた。
食文化が違う場合は、少量ずつ食べてお腹を慣れさせなくては……。
私が切実に感じている傍ら、周りの誰もかれもがお腹を下している人などいなく、「Cって胃腸が弱い人?」と何度も言われた。ピロリ菌はいないのに……。
そんな沖縄を満喫する中、私はある食べ物と出会った。
「もずく」だ。
沖縄で取れた新鮮なもずくを食べた時、脳に衝撃を受けた。
つるっつるの、とろっとろ。
わかめとは違う何か。めかぶとも違う何か。
こんなにおいしいものが有るなんて!!!!!
私は売り場のおばちゃんに言われるよりも多く、もずくを土産に買った。(私よりも友人の方が爆買いしていてビックリした。類は友。)
(家で食べるのが楽しみだ~。)
と思いながら、とっとと宅急便で送った。
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ネットでもずくスープの作り方を調べ、何となく準備は満タン。
私は沖縄で手に入れた「もずく」を早速調理した。
お湯を沸かし、鶏がらスープの素を入れる。醤油も少々。
解いた卵を、ナベの水を回しながら流し込み、ふわふわにする。
その後、もずくを適量投入。1煮立ちさせる。
すりおろした生姜。黒酢をお好みで入れる。
これでもずくスープは完成だ。
私は1口味見をしてみた。
(………!!う……うますぎる……!!!!)
材料も新鮮だからだろうか、素材一つひとつが生きている……!!(この時はじめて、鮮度が命と言う意味がよく分かりました。)
こりゃあヤバイ。
私は1人でご満悦。
夕食で家族にふるまえば、
「嫁に出しても恥ずかしくないな」
と、家事全般は父からお墨付きを頂きました。
やったね!
大量に買ったもずくは、そのまま酢の物で食べたり、味つけの違うスープにして食べきったのであった―――。
*****
修学旅行の余韻もとっくに冷めたころ、母が言った。
「もずくスープ、おいしかったな~。」
私は驚いた。
いつも私が何かしら料理をするとムン付ける母。
その母が、ついに私の料理を認めた??!!
そして、遠回しだがこの発言は「作ってほしいな~。」と言うことだろう。
母はシャイを大分拗らせているから、発言には訳が必要なのだ!
「お??何なに??作ってほしいの??」
「…………。」
「いや~母さんもとうとう私の料理の腕前を認めてくれたのね!!」
「…………。」
「ほっほう!材料を買ってきてくれたら作ろうではないか!!」
「…………。」
私は調子に乗っていた。
グラタンの件もだが、当時の私は料理を作るのが楽しくてしょうがなかった。
何でもできるようになったと言う思春期特有の万能感(中二病)を高校に入ってから私は感じ始めていた。料理が特別好き、とまではいかないが、パティシエや料理人を目指す子達からレシピを教えてもらい、チーズケーキやシナモンクッキー、シフォンケーキなど、今では到底作れないようなものを作っていた。万能感の行動力は凄すぎる……。
調子に乗って母に「作ってしんぜよう」と言う上から目線がいけなかったのだろうか……。まさか、あんなことになろうとは……。
*****
学校から家に帰ると、食卓にもずくスープがあった。
(な~んだ。自分で作ったのか。)
ちょっと残念に思ってから、ご飯を茶碗に分け、スープをお椀に分け、「いただきま~す。」と私は夕食を食べ始めた。まずは「もずくスープ」から……。
(???????!!!!!!!!!)
「なんじゃこりゃ―――――――!!!!!????」
私は大絶叫。
母は知らん顔。
「お母さん!!!!味見した!!!????」
「……したわよ。」
「何入れたの!!!???」
「Cがいれたのと同じよ。」
「同じ???!!!これが同じ材料でできているのか???!!!」
私は何がどうなったらこの味になるのか、狭い頭の中で考えた。
(とにかく酸っぱい。ぶっちゃけ腐ってるのかと思うくらいの刺激だ。タンパク質の玉子は酢によって固くなってしまっている。どんだけ酢を入れたんだ??!!!そして味付けもまずい。いや、酢によってまずくなってしまったのか????とり?とんこつ??醤油か??とにかく出汁が分からない。生姜も入っていると思われるが、風味が死んでいる!!!!入れなくてよかった!!!!もう駄目だ。このスープは破綻している!!!!!!)
酢に醤油、だし、生姜を入れた。そんな感じの味だった。
ほとんど酢。
そんな酢の中にぶち込まれた玉子ともずく。
よく分からないが鉄を食べているような気分だ。
とにかく………食えたもんじゃなかった!!!!!
(同じ材料でも、配分量が違うとこんなことになってしまうのか……。)
と、思うのと同時に、
(料理が苦手な人って、とことん苦手なんだ……。)
と、母を不憫に思ってしまった。
仕事や大学から帰ってきた父、姉兄も、びっくりしていた。
「お母さん……。」
と言っては、皆が母を悲哀の目で見つめた。
そして、言いようのない感情は私に向けられた。
「Cがもずくスープなんて作るから、こんなことになったんだ。」
何をどう考えたらそうなるのでしょうか、お父さん。
「ちょっと、意味が分からないんだけど。」
「Cが作れるなら母さんも作れる、と勘違いしてしまったんだ。つまりCが悪い。」
「思考が飛び過ぎじゃない!!??」
「母さんがもずくスープを気に入っていたことは気づいていただろう??つまり、定期的に作ってやればよかったんだ。お前は義務を怠ったんだ。」
「いつから義務になったんだよ!!??だいたい、材料を買うお金なんてないし。」
「よく考えろ、昨日買ってきたのか材料があっただろ。それに気づいたときに作ればよかったんだ……。そうすれば……こんなことには……。」
「お父さんはお母さんが大事なのか??!材料が大事なのか??!」
「どっちも大事だ!!」
「……ついていけねぇ……!!!!!!」
父は、おそらく必死に母をかばっている。
子どももびっくりな苦し紛れだが。
……上記の会話をしている時、姉と兄は笑いを必死にこらえていた。
お前ら……傍観してないでどうにかしろ……。
当事者は悲劇。第3者から見ると喜劇って本当なんだな。
と何故かドン・キホーテを思い出した。
「母さんに複雑な味付けが出来ると思っているのか?できないだろう??ならCが作るしかないじゃないか??!!」
その一言の何が気に食わなかったのか、母が反応した。
「ちょっと!!複雑な味付けが出来ないって何??!!私の事そう思ってたの!!??」
その場にいた全員が思った。
(うん。そう思っているよ。)
その後、母の怒りを抑えるのにかなりの時間がかかった。
その時決まったのは、「酢を使うな」とのこと。
今回の敗因は「酢」にあるのだから、もし使うとしても少量にすること。
必ず計量スプーンを使う事。
母はしぶしぶ了承した。
冷めてしまったもずくスープはますます困窮の極みの味になっていた。
もったいないのだが、もずくスープは処分されたのだった……。
あれからと言うもの、冷蔵庫にもずくを確認したら、私はもずくスープを作るようにしている。
もう、2度とあんな思いはしたくない……。
その思い1つだけだ。




