カレーの粉
母には悪い癖がある。
味付けがいまいちになると「カレーの粉」をぶっこむのだ。
カレーのルゥではなく、サラサラタイプで香辛料のみのやつだ。
始めはカレーを作るときに、隠し味程度に使っていただけだった。
それが、次第に………何にでも入れるようになった。
野菜炒めで、だし・しょうゆを入れた後になって「何か足らない」と言ってはカレーの粉を入れる。おでんの味も決まらなければカレーの粉を入れる。チャーハンの味が気に入らなければカレーの粉をいれる。なべものを作るときも突然カレー味に切り替える。オープンハンバーグも母が今日の味はいまいちとなればカレーの粉を投入される。
母は、なんにでもカレーの粉を入れる。
「何でカレー味にした!??」
と兄が怒っても、次の日もカレーの粉入りの野菜炒めが。
「この組み合わせはないと思う…。」
と姉が苦言を呈しても、みそ汁にカレー粉を入れる。
父は…………何も言わない。
あるがままを、そのまま受け入れるだけだ。
ある日、母がカレーの粉を使うときに私は言った。
「なんでもカレーの粉を入れるのは、どうかと思うんだけど。」
母は静かに言った。
「あんた達。カレー大好きでしょ?カレー味にしちゃえば、何でも食べられるでしょ?」
……………そのビックリな発想は、どこから出てくるのだろうか……。
最終兵器、カレーの粉。
と言うことか。
おそれいりました母上様……。
カレーの粉を、母が特大で買って来た時。
私は密かに、カレーにぶっこんでいた。
早く消費されるように―――――。
カレーの粉には漢方薬も入っているので、体にいいと言えばいいのかもしれませんが、味をごまかすためにカレーの粉を入れていたので、味はもう…………言葉にできません………。




