白菜と豚肉のミルフィーユ鍋
CMの宣伝に、それは出ていた。
「簡単そうね。やってみようかしら。」
と母が一言。
「あれなら母さんも失敗しないんじゃないか?」
「ぜひとも検証して欲しいね!」
私と兄がやいのやいの言い。
「え。結構大変そうに見えるけど!??」
と姉が言った。
*****
「「うわぁ~。うめぇ~。」」
CMの通り『野菜をいれて、素入れて、ふたを閉めたら完成』したらしい。
「やばい。さすが食品会社のCM。嘘つかない!!」
「お母さんでもできるなんてCM凄すぎる!!」
「ばっか!CMもだけど母さんを褒めろ(笑)!!」
兄弟でやいのやいの言いながら美味しく食べました。
これには母もご満悦。
「どうしたの?お母さん??」
と父からも及第点を貰いました。
やったね!
そう。
それで終わっていれば……私の記憶に残らなかったのに……。
*****
翌日。
「お?今日もなべ??」
私と兄が帰ってくると、テーブルにどどん!と陣を取るなべ。
手洗いうがいをして「開けて良い?開けて良い??」と母に確認してから開けると―――。
白菜と豚肉のミルフィーユ鍋だった。
「「ん??」」
(これ、昨日食べなかったかな??)
昨日食べた気がするけれど、夢だったのかしら??
そう思い、兄にたずねた。
「これさ。」
「そうだな。」
「あ。やっぱり?」
「そうだ。」
みなまで言わずとも分かってしまった。
昨日も食べたよね☆
いやいやいや。作ってくれるだけでありがたいですよ。本当に頭さがりますとも。しかし……しかしながら、いくら大好評だったからと言って、2日連続はちょっと……せめて2日……いや、3日は空けて欲しいと言いますか……。もし、2日続けてカレーライスだったらと思うと、食指が伸びないと言うか……インド人でさえ色々なバリエーションでカレーを食べているんですよ??飽きないように。飽きないように!!!そこらへん考えて欲しいと言いますか……ただでさえお母さんは前科(みそ汁・目玉焼き)があるんですから、こういうことはしちゃいけないと言いますか……。え?それが分かっていたなら褒めなければ良かったって???いえいえ、おいしい時はちゃんとおいしいと言わなくては……数少ないおいしいですからね……。
私の脳内が高速回転した。
言いたいことは沢山あった。
しかし、それを飲み込んで今日も今日とてミルフィーユ鍋を頂いた。
「あ~母さん。せめて3日は空けてくれるとうれしい。」
「!!」
兄も私と同じことを思っていたらしい。さすが兄弟!!
私は兄に便乗した。
「Me toだよ!!!続けてはきついです!」
「何がきついのよ??」
「精神的にです!!」
「お母さんの精神的には楽なんだけど。」
「なんだと……!!!」
お母さんは毎日カレーでもいい人なのか!!??
まじか。
つまり、人種が違うから、味付けも違かったのか!!??
私の脳ミソがふる回転した。
しかし、それを言ったらややこしいことになりそうだと判断し、おとなしくすることにした。
帰ってきた父と姉も似たようなことを言った。
「昨日と同じなのはちょっと……。」
「お母さんだからな……。」
「もう!!いいでしょ?!おいしいんだから!!」
そうね。おいしいからね。
食べ物に罪はありません!!
罪があるのは――――いえ、何でもありません。
そうですね。前科もちでしたね。
皆が「連続はOUT!!」と言ったので、さすがに3日目はなかった。
ですがさすが母。
皆の言うことをちゃんと聞いていましたよ。
『3日は空けてくれるとうれしい。』
*****
3日後。
家に帰ると、またしてもミルフィーユ鍋が…………。
「すげぇ……本当に3日後に作りやがった。」
「この神経の図太さ。尊敬に値する……。」
その後、兄が「インド人だって毎日カレー食べないだろ?!」っと母にツッコミを入れた。
おぉ!!さすが兄弟!!考えていることは同じですな!!
と、心の中で盛大な拍手をしながら、ミルフィーユ鍋を食べたのだった―――。
(うん。うまい。)




