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ひまわり

小学校では理科の観察として植物を育てる。


1年生の時は「あさがお」「さつまいも」

2年生の時は「ミニトマト」「さつまいも」

3年生の時は「ホウセンカ」

4年生の時は「田植え」

5年生の時は……。



*****



5年生の時は「ひまわり」の種をまいた。


私の小学校では、プールの脇にひまわり用の花壇が有り、5年生になるとひまわりの種を植える。

成長すると、プール沿いはひまわりだらけ。200以上はある。

この風景をみると、「夏が来た」としみじみ感じた。



背の高いひまわりは、プールに入っている最中に、風で揺れている姿を見ることが出来る。


私はその姿を見るのが好きだった。

風で揺れる姿は、子どもたちを見ながらお喋りをしているようだった。


(みてみて。あのこ、少し泳げるようになったみたい。)

(本当。いつも頑張っているものねぇ。)

(今日も良い泳ぎっぷり。)

(なんかずっと潜っている子がいるけど、大丈夫かしら?)

(あらあら、そんなにはしゃいだら転ぶわよ?)

(((くすくす…くすくす……)))


(あ。またあのこ、私たちを見てるわ。)

(いやねぇ。見るのは良いけど、見られるのはちょっと……。)

(大丈夫よ。ほら。)


ミツバチが飛んできた。

私はひまわりから距離を取った。

その姿を、ひまわりに笑われたように感じた。

そうこうしているうちに、号令がかけられる。

私はプールから上がり、自分のクラスの列に並んだ。



*****



夏休み中は学校のプールが解放される。

プールは地区ごとに入れる時間が決まっている。

行きと帰りの方向が一緒だと、何かと安全だからだろう。

あと、6年生がプール中も行き帰りも下級生の面倒を見るようになっているので、意外と良いシステムだ。


しかし、お盆中はプールは解放されない。

お盆が終わってから、プールに行くと……。



ひまわりは、ちょうど枯れてしまっている。



「あ~~!!!プールの後のひまわりの種うめぇ!!!!」


6年生が率先して熟したヒマワリの種をたべる。

1年生の頃は「ひまわりの種って食べられるんかい!!?」とびっくりしたものだ。

しかし、田舎者たち。


こわいもの知らず。


6年生が食べているのをじっと見ていると。


「ほら、お前らも食え。」


と、優しい?上級生たちから種を渡される。

私はどぎまぎしていた。お腹壊さないのか??とおっかなびっくりだった。

親友のYちゃんは慣れた手つきで殻を割り、中の種を食べる。


「Yちゃん、こなれてない??なんで??」

「え?普通に食べてるよ?」

「まじか。」

「おいしいよ?食べなって。」


……Yちゃんは、自然を知り過ぎだと思う。

女の子にしてはザリガニ捕りがピカいちだし(剥かれた後も平気そうだった)、帰り道にフキノトウを見つけて持って帰るし、私の苦手なカマキリもへっちゃらだし。トンボとりも上手すぎるし。

セミ取りでは、私があみで捕獲したのをひたすら15平方cmの虫かごに60匹以上詰め込んでいた。シュバッ!!と詰めるあの手つきは凄かった。そして、カゴの中でひしめきあうセミ達。凄い光景でした……。

ふたをパカっと開けると、せみは一斉に飛び出した。ひと夏に輝く命の強さを感じたものだった…。


話がそれました…。


私が一粒の種をまじまじと見つめている最中、Yちゃんはパクパク食べまくる。

周りの連中もしかり。

私は勇気を出して一口食べた。


「!!!??……おいしい…!!」

「でしょでしょ!!もっと食べな。」


私はもぐもぐ食べた。

さすがに初めての時はちょっとしか食べなかった。


(…ハムスターはこんなにおいしいものを食べていたのか)


丁度ハムスターのペットブームが来ていた時だったので、私はハムスターの環境の良さに驚いた。ずるいぞ!ハムスター!!



*****



毎年プールの後にはひまわりの種を食べた。

自分たちが6年生になった時、私たちは自分達がされたことを下級生にも教えた。


「あ~~!!プールの後はひまわりの種だな~!!」


目をいっぱいに開いて驚く1年生を見て、私とYちゃんは視線を交わす。ニヤッと口角をあげながら。


「ほら。お前らも食べろ。」


といって、ひまわりの種を渡す。

1年生の中には「ひまわりの種をそのまま食べるなんて野蛮です!!6年生なんだからしっかりして下さい!!」と、言う子もいた。私たちはくすくす笑いあった。


「いいから。まずは食べてみなって。」


ドキドキしながら食べ始める1年生たち。


「!!甘い!!」

「知らなかった~。」


その光景を見ると、なんだか心が暖かくなった。

前の6年生も、その前の人たちも、同じような気持ちを感じたのだろうか??

ひまわりの種を食べている間に、下級生たちは帰路に付く。

同じ地区の子達がいなくなってから、私とYちゃんは水着かばんを背負う。


「そろそろ帰ろっか。」

「今日は誰が寄り道してるかな??」

「いつも通り声かけて、とっとと帰そう」

「賛成。」

「あ~。でも、堀あたりでRがザリガニ捕ってそう…。」

「また?ま、いっか。」

「「今日は何匹捕れるかな??」」


私とYちゃんは、笑いあった。

通学路を帰えること数分。

堀が目に入った。

案の定、堀にはRと昔の子分たちがザリガニを捕っていた。


「お前ら―――!!まっすぐ帰れって言ってるだろ―――!!!もう捕れたか―――!!??」

「「「まだ―――!!」」」

「Yちゃん出番ですよ。」

「世話が焼けるなぁ~。」




私はひまわりを見ると思い出す。



あの夏の日。


皆の笑い声。


懐かしい思い出たちを―――。

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