調理実習~クッキー~
青春~それは~ふれあいの~ことば~。
すみません『青雲』ですね。
歌丸師匠大好きでした。CMは楽太郎ですが。
よく漫画やドラマで出てくる「調理実習で作ったクッキー。誰にあげる??」と言う展開。本当にあります。
大多数の生徒は作ったらその場で食べるので、あまり記憶にないそうです。
それなら何故私が覚えているのか??
つまりはそういうことです。
*****
調理実習でクッキーを作った。
だいたいの女子は教室で女子トークをしながら食べてしまう。
イケイケ女子は「誰にあげる?誰にあげる?」といつもより声が高い。
男子は作ったその場で食べ終えている。
なんとも普通の学校の一コマ。
私は特定のグループには入らない主義だ。
来るもの拒まず。去る者追わず。
それでも学年のほとんどの女子とは仲良しである。
困った時は、私に任せる。(やめてくれ。)
そんな感じで男子の友達も多かった。
私も、その時は友達と話しながらクッキーを食べたが、4つだけ残した。
家族の分だ。
「C~?誰かにあげるの?」
「ん?あげないよ??」
「今残したでしょ?」
「あぁ~。家族の分だよ。」
「律儀だねぇ。」
「ふ……餌付けだ。」
「C~らしいわ~。」
ラップでクッキーを巾着のようにつつみ、私はその4枚をカバンの中にそっとしまった。
*****
掃除が終わり、帰りのホームルームも終わった。
テスト前なので部活が無い。
私はいつも、テスト前は家でも学習室でもなく、教室で勉強をする。
教室にある広い教卓に、使う教科書を広げまくって勉強するからだ。
教卓の広さは使い勝手が本当に良い。
高校でもこの奇行は続けた。
教室で勉強をする子もいたが、私の性格を分かっているからか特に何も言わない。
私が勉強に集中していた時。
それは起こった。
教室のドアに人影が。
入ってくるわけでもなく、どこかにいくわけでもなく、挙動不審な動き。
どことなく微妙な空気が教室に流れる。
教室に数人いた子達がドアに目を向けていた。
無視していた私も、なんとなく目を向けてみた。
そこにいたのは男子D。
違うクラスのDは、学校のルール「違うクラスには入ってはいけない」を守るため、教室に入ってこなかったのだ。
私と目が合うと何やら手招きされた。
え?私?と驚き、指を自分にさして相手に確認する。
Dはうんうんと何度も頷いた。
私は勉強で分からないところでも有ったか?と思い…。
「社会?理科??国語??」
私は自分が首位を争っている科目をあげた。(数学と英語は補修組です…。)
前にも勉強を教えたことが有るので、それかと思った。
Dは何も言わず、いいからこっちに来い!と言う態度。
もともと我の強くないタイプのD。
教室で話せないことなのかと思い、私は重い腰をあげた。
屋上に続く階段までいくと、こう切り出された。
「お前…………。」
「??何?」
「………。」
「………。」
なかなか次の言葉を発しないD。
「何なの??言わないなら戻るぞ!」
「まてまて!!!はやまるな!!」
「早まってねぇよ!!要件言えよ!!!」
「………。」
「………。」
俯くD。
私は内心「私のノート、誰かに見られてたらどうしよう!!」などと思い、意識を飛ばし始めた。
やっと吹っ切れたのか、いつもの飄々とした口調でいってきた。
「あ~のさぁ。…………クッキー残ってる??」
「クッキー???」
そんなことを聞くのにあれだけ時間をかけたのか??
私は困惑しながらも答えた。
「あぁ。残ってる。(家族の分だけど)」
「………………くれないか?」
「え………はい??」
「俺にくれないか???!」
最後の方は飄々とした口調ではなかった。
小説の表現で言うなら「懇願」だろうか。
状況に付いて行けず、ポカンとする私。(意識飛ばしてたからね。)
しかしDの様子を見るに、一生懸命言った言葉だとわかる。
(えぇぇぇぇぇぇえええぇ???どゆこと???)
私は顔が熱くなった。
しかしそこは私。
(深く考えるなC!!こいつはクッキーが食いたいんだ!!勉強すると甘いものが欲しくなるって言うしな!!それだ!!それにちがいない!!!)
「わかった……!!!」
何が分かったのかは定かではないが、私は急いで教室に戻った。
私の行動は早かった。
教室に戻り、カバンからクッキーを取り出し、また戻る。
もちろん教室にいた子達に見えないように隠して持って行った。
とっとと渡してしまおう!!と言う気持ちが強く、教科書で隠す知恵など働かなかった。
Dのところに戻った私は、すぐさまバッッとクッキーをDの前に出した。
「……どうぞ。」
ゆっくりとクッキーに手を伸ばすD。
(遅い!遅い!!早くしろ~~~!!!)
私は顔から火が出そうだった。
Dはやっとクッキーを手中に収めた。
俯きながら、Dはつぶやいた。
「……ごめん。…その……あ…りが…と。」
「!!!???」
Dの口から初めて「ありがとう」を聞いた時だった。
いつも「ど~も~」しか言わない奴なのに。
私は恥ずかしくて、何も言わず直ぐに踵を返した。
少し離れてから降り返ると、Dはまだそこにいた。
目が合ってしまい、私は廊下をかけ出した。
『廊下を走ってはいけません』
それを初めて破った出来事だった―――。
*****
家に帰ると兄が言った。
「C~。今日クッキー作ったんだろ??俺の分は??」
「あ~……ごめん。女子で食べた。」
「はぁ??いつも持って帰ってたのに何で??」
「そういう流れになりまして。」
「まじか!!楽しみにしていた俺の気持ちを返せ!!」
「知るか!!今度作るから。それでいいだろ??」
「あ~その方が沢山食えるか。」
兄の何気ない一言だったが、男の子はクッキーを貰いたいものなんだな。と理解したような、していないような…複雑な気持ちを味わったのだった。
※Dは、小学校編「調理実習~サンドイッチ~」に出てきたDです。
ネタは、覚えている映像で書いています。
手招きされて廊下を歩き、階段付近でクッキーの話題をされ、沈黙の多い会話に私が明後日の方向に意識を向けたら、「俺にクッキーくれないか??!」とDが言って私は(え?え?何?)と混乱+ワタワタしながらクッキーを取りに戻り、こわごわ渡し、踵を返すがチラッと振り返るとまだDがいて、目が合って、わ―――――!!!と教室に戻った。って感じです。セリフも一部分しか覚えてないです。
この覚えている映像を、丁寧に思い出して書いています。自分の気持ちも「そうそうこんなだった」って感じに書いています。
Dの近く?にDの親友がいましたが、ほぼ空気だったので書いてません(笑)
「大人になったらこの出来事でおちょくろうww」と思っていたので、色々覚えています。




