ガキ大将
ちょっと長くなりました。
『ガキ大将』
私の近所では『小学校に入学したら、ガキ大将の役目は終わり。』と言う謎の暗黙の了解があった。
私には、近所に同じ年の子がいない。
そのため必然的にガキ大将の役目が回ってきた。
今までの大将たちは男ばかりであった。
いつも森へ冒険に行き、小川を飛び越え、沼にはまり、田んぼの細いあぜ道を走った。
水鉄砲サバイバル、ザリガニを素手でとる訓練、あらゆる虫を取りまくる、ムカデや蛇と格闘、空き地でサッカー三昧、カエルの卵を一か所に集める、家の合間を抜けまくる鬼ごっこ、同じくかくれんぼ、同じく缶蹴り……とにかく色んなことをやりまくった。
ときにはごみ袋を持ってきて、誰が沢山ごみを拾えるか競争をした。(うん。いい思い出だ。)
この度は私が大将!!
好きなことをやるぞ!!
これはガキ大将になって、私が調子に乗りすぎた話である―――。
*****
その日は穏やかに「ままごと」をしていた。
もちろん、ままごとの前には「材料調達」という冒険をしている。
6歳の私。4歳の男の子。4歳の女の子。
計3人。
1コ上の6人の男どもが卒業したので、メンバーはいきなり少ない。
更に、幼いメンバーに対し危険なことは出来ない。
むしろ、しばらく遠慮したかった…。
泥団子は、おにぎり。
草はすりつぶして水に溶かし、スープ。
タンポポなどの花は、サラダ。
THE平和。平和LOVE。
そんな時だった―――。
「Cちゃん。ヘビイチゴって食べられるの?」
男の子に私は尋ねられた。
「……わからん…。」
確かに「いちご」が付くので、その仲間ではないか?
メンバー3人でうんうんうなる。
とりあえず私は、ヘビイチゴをつぶして匂いをクンクン嗅いでみた。
「……草っぽい。」
きっと草の味だな。
そこにいた全員が思った。
『無理』
…そんな私たちを電柱の陰から見つめている者がいた。
最近引っ越してきた。4歳の男子R。
私たちは気づいていた。
『Rは仲間になりたそうに、こっちを見つめているぞ。』
「C~!あいつそろそろ仲間にしたら~?」
4歳の女の子が大きな声で言った。
それが聞こえたのか、Rの瞳はキラキラ輝いた。
私は迷った。
実は仲間になるには儀式があった。
それは『小川を飛び越えること』だ。
小川を飛び越せなければ、危険な冒険には出られない。
ふと、視界にヘビイチゴが入った。
(そうだ!いい事思いついた!!)
私はある暴挙に出た。
「おい、お前!ちょっとこっちに来い…。」
神妙な顔をして近づいてくるR。
「お前。私たちの仲間になりたいのか?」
「……(コクリ)」
「そうか、だったらな……これを食え。」
私はずいっとRの前に手を伸ばした。
指先には「へびいちご」
「Cちゃんキッツー!」
「Cまじか。」
他のメンバーが固唾を飲んで見守っていた。
私はファーストコンタクトとしての『洗礼』のつもりだった。
私もそうだった。
「女のくせに生意気だ。」と何度も言われた。
「ここの草むしりを一人でやれ。」と無理難題も言われた。
そしてやっと小川飛びにこぎつけ、2回目の挑戦で仲間なることが出来た。
皆そうしてたくましく成るのだ!!
『今日はあきらめて、出直してこい!』
そのつもりだった―――。
パクリ。
もぐもぐ。
「………まずい……。」
「「「!!!!????」」」
私たちは目が点になった。
「なにやってんだ!!本気で食べるやつがあるか――!!」
「食べたら仲間にしてくれるんでしょ?」
「はぁ!?馬鹿野郎!!とりあえず吐け!!吐くんだ!!」
「無理」
突然のイレギュラーに、私の思考回路はショート寸前だった!!
馬鹿野郎!!なんで食べた?!
いや、馬鹿は私だ!!!!何で進めた!!?
「うわぁぁぁぁぁん!!!!!!」
私は泣いた。
ほぼ初対面のRの前で泣いた。
調子に乗り過ぎた――!!!!
お天道様ごめんなさい――――――!!!!!
私はその後Rの家に行き、おうちの人に泣きながら事情を話した。
Rのお母さんは優しかった。
「大丈夫だと思うよ~?」
「R。ふざけてCちゃんを困らせないの!」
マジ泣きしている私をなだめてくれた。
誠に申し訳ない……。
私は『2度と馬鹿なことはしない』と共に『キャラじゃないこともしない』と誓ったのだった―――。
*****
ちなみにこのR。
一番幼い頃の記憶が「へびいちご事件」らしい。
ガキ大将だった私が泣き出し、そうとうおろおろしたとか。
それからと言うもの、こいつはネジが1本飛んだ性格になってしまった。
すまぬ…。マジですまぬ…。
……存外、猫をかぶるのを止めたとも言えるが…。
※~Rはその後もいろいろ大変でした~※
私「は~い。今日はハンバーグですよ~。(泥団子)」
R「いっただっきま~す!」
ニコニコと泥団子にかみつくR。
それを笑顔で叩き落す私。
私「本当に口つけるんじゃねぇ!!」
R「このハンバーグ、土だし(笑)」
私「ままごとだから!!口ゆすぎに行くぞ!!」
R「ハハハハハ~。」
私「笑い事じゃねぇ!!(泣)」
子どもの世界って、結構シビアですよね??
大将が「お前はまぜねぇ!」っていうのは、「もう少し大きくなったらな!」ってことなんですよね。大きくなってからカラクリに気づくこの世界。本当にいい経験を積ませてもらいました。ケガもたくさんしましたが(笑)。
ガキ大将は今や『絶滅危惧種』。復活して欲しいですね~。元大将の息子が、最近ブイブイしていて楽しませてもらってますけれど。




