いなご
4~5歳ぐらい。
若干グロいです…。
あれは、ささいな姉の一言から始まった…。
「イナゴが食いたい。」
*****
姉は、母方祖母が作ってくれたイナゴの甘露煮が忘れられないらしい(祖母ちゃん凄ぇ!!)
私はお目にかかったことはない。
イナゴって食えるんだ~!!
何も知らないまま、近くの田んぼにくりだし、虫取り網を振り回す私。
(虫取りはまかせろ!!)
という謎の使命感に燃え、ひたすら虫かごにイナゴを入れまくった。
私は虫取りが大好きな少女であった。
近所のガキ大将に仕込まれた、見事な網さばき。
ここで生かさずにしてどこで生かす!!?
そして、いつもお世話になっている姉を喜ばせたい。
そんな純粋な思いでいっぱいだった。
イナゴの末路など知らずに…。
*****
イナゴを調理していく母。
楽しみに食卓に座る姉兄と私。
「できたわよ~。」
「「「わ~い!!!」」」
母がテーブルに皿を置いた。
「「「!!!!!?????」」」
そこには信じがたい光景が広がっていた!!
飴色のイナゴたち。
遠目から見ると、なんともない。
しかし、近くによると―――。
イナゴたちが、ピクピク動いていた…。
私「ギャ―――――!!!!」
姉「動いてる!!足動いてる!!」
兄「……(あとずさり)」
母「あんたたちが食べたいって言ったんでしょ!お母さん頑張ったんだから、食べなさい!」
「「「(なぬっ!!!!?????)」」」
……言い出しっぺの姉が、勇気を出して一口食べる。
「おぇ…!!」
……無理だった。
「生々しい!!!!!無理!!!!」(うん。生だろうね。)
姉が無理なら私と兄も無理だった。
何より私が受けた衝撃はすさまじかった。
なぜなら、こいつらを捕獲したのは自分だからだ!!!!
『一思いに殺してくれ……。』
イナゴのあの黒い瞳が私に訴えかけてくる…。
イナゴの無念が伝わってくる。
私は…。
私は…!!
私はなんてことをしてしまったのだ!!!!!!
私は号泣した。
自分の過ちを悔いた。
こんなに捕まえるのではなかった!!
一寸の虫にも五分の魂。
私は、自分が地獄に落ちるだろうと感じた…。
とにかく泣いた。
イナゴにたたられて、自分は死ぬと思った。
……それから私は、虫取りが苦手になった。
とくに、目が大きく、『複眼』のやつらは……。
*****
仕事から帰ってきた父が一言。
「これはひどい!」
イナゴたちは、畑の肥やしとなったのだった……。
…………。




