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『しーちゃんと記憶の図書館』第98話
ぼくの宝物も
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放課後、
ランドセルを背負った小学生が
図書館に入ってきた。
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展示棚の前で、
ふたつの缶ペンケースをじっと見つめる。
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「これ、すごくいいですね」
小さな声が響いた。
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しーちゃんが微笑むと、
彼は少し照れくさそうに言った。
「ぼくの宝物も、置いていいですか?」
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ランドセルから取り出されたのは、
小さな木彫りの猫。
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「おじいちゃんが作ってくれたんです。
去年の誕生日に。でももう作ってもらえないから……」
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木の猫は、
丸い目をして、ちょこんと座っていた。
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しーちゃんはうなずいた。
「もちろん。ここなら、ずっと一緒ですよ」
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こうして、
ふたつの缶の間に、
小さな木の猫が加わった。
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風鈴が、ちいさく鳴った。
まるで新しい仲間を歓迎するかのように。




