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『しーちゃんと記憶の図書館』第99話
小さな動物園
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木彫りの猫が加わってから、
不思議なことが起こりはじめた。
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「これ、うちの犬の首輪です」
「私は小学校の時に作ったウサギのぬいぐるみを…」
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そんなふうに、
来館者が少しずつ「動物の思い出」を持ってくるようになった。
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棚には、
陶器の小鳥、
羊毛フェルトのハリネズミ、
写真立ての中の金魚…。
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いつしか誰かが、
「ここ、小さな動物園みたいだね」と言った。
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その言葉が気に入って、
しーちゃんは棚の端に
手書きの札を置いた。
『思い出の小さな動物園』
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訪れた人々は、
展示を眺めながら笑ったり、
そっと目頭を押さえたりした。
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動物たちは、
持ち主の心ごと
優しく並んでいた。




