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『しーちゃんと記憶の図書館』第94話

風鈴の下の再会



その日、

扉の前で二つの足音が重なった。



しーちゃんが振り向くと、

あの女性と、その隣に少年が立っていた。



「母さん……」

「来てくれて、ありがとう」



二人の声は、

同じ風の中で溶け合った。



少年は、

展示棚の上で揺れる風鈴を見上げた。


カラン……カラン……


音は、まるで二人の距離を

少しずつ近づけるかのようだった。



女性は、そっと少年の肩に手を置いた。

「この音、覚えてたのね」



少年は小さくうなずいた。

「うん……母さんの笑い声と一緒に」



しーちゃんは、その場をそっと離れた。

再会の時間に、言葉はもういらなかった。



風鈴の音が、

二人の間に漂う沈黙を

やさしく満たしていた。


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