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『しーちゃんと記憶の図書館』第80話

最後の航路



図書館の静かな一角で、

しーちゃんたちは航海日誌を広げていた。



ページをめくるごとに、

潮風の匂いがよみがえるような文章が並んでいる。

航路のスケッチ、星座の図、そして手書きの潮の記録。



遥さんの指が、あるページで止まった。

「ここ……“最後の航路”って書いてある」



そこには、海図には載っていない細い線が描かれていた。

線は沖を離れ、湾を回り込み、

やがて“記憶の岬”と名付けられた場所で終わっていた。



「記憶の岬……聞いたことがないな」

海斗が首をかしげる。



しかし、日誌の端に小さな文字が添えられていた。


“ここで出会った灯りは、海の道しるべになる”



遥さんは目を閉じ、深く息を吸った。

「父は、あの灯りを見せたかったのかもしれない」



しーちゃんはそっと微笑んだ。

「じゃあ行きましょう。まだ海は私たちに続きを見せてくれる」



窓の外では、潮がゆっくりと満ち始めていた。

海の物語が、次のページを開こうとしていた。


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