表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/104

『しーちゃんと記憶の図書館』第8話

潮風をたどる地図



港を離れる前に、

老人は小さな紙切れを差し出した。



それは、古びた手描きの地図。

港から続く細い道、

山のふもとにある赤い屋根の家が印されていた。



「妹が最後に手紙を出した場所だ。

 ただ…もう50年以上前のことだがな」



しーちゃんと少年は地図を受け取り、

港をあとにした。



道は緩やかな坂をのぼり、

潮風が背中を押してくれる。


時おり立ち止まっては、

風に混じる塩の香りや、

どこからか聞こえる波の音を確かめた。



「この道の先に…まだ家は残っているかな」

少年が小さくつぶやく。



しーちゃんは微笑みながら答えた。

「たとえ家がなくても、記憶はきっと残ってる」



やがて、赤い屋根が見えた。

しかし近づくにつれて、

それが廃屋だと分かった。



扉は開いており、

中にはほこりをかぶった机と、

壁にかけられたままの古いカレンダー。



その日付は──

妹が最後に手紙を出した年のままで止まっていた。



しーちゃんは感じた。

この家がまだ、誰かを待っていると。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ