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『しーちゃんと記憶の図書館』第78話
波模様の地図
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海色のペンダントを
窓際の光にかざすと、
木の表面に刻まれた波模様が、
まるで浮き上がるように見えた。
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海斗がじっと覗き込む。
「これ……ただの模様じゃない。ほら、ここ、島の形に似てる」
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遥さんも気づいた。
波の曲線は、この町の海岸線とぴたりと重なっていた。
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さらに中央の小さな点。
そこは地図には載っていない、海の沖合の一点だった。
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「もしかして……隠された場所?」
しーちゃんの声が小さく響く。
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海斗はスマホで現在の地図と照らし合わせた。
「この点……潮が引いたときにだけ現れる、小さな砂の島だ」
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遥さんの目が輝いた。
「父がよく言ってたわ。“海は、秘密を満潮と干潮で隠す”って」
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その瞬間、
ペンダントの裏に刻まれた日付が、
満潮と干潮が重なる“特別な潮の日”だとわかった。
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「行くしかないね」
しーちゃんは、
胸の奥が不思議な期待で熱くなるのを感じた。




