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『しーちゃんと記憶の図書館』第75話
物語庫を探して
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灯台の展望室で見つけた地図は、
黄ばんだ紙に手書きで描かれていた。
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線はゆるやかに町を巡り、
いくつかの目印が小さな絵で示されている。
赤い鳥居、井戸のある広場、
そして“波の形をした石”。
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「これ、全部町のどこかにあるんだ」
海斗が指で地図をなぞる。
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まず三人が向かったのは、海辺近くの鳥居だった。
朱色は海風にさらされて少し色あせているが、
立ってみると、潮の香りと一緒に清らかな空気が流れてきた。
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鳥居をくぐると、細い路地が続いている。
道の先に、石造りの小さな井戸が見えた。
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井戸の縁に腰かけた遥さんが、
地図を見ながらつぶやく。
「次は……“波の形をした石”」
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その瞬間、しーちゃんの目に飛び込んできたのは、
海岸の片隅に並ぶ奇妙な岩だった。
まるで波が固まったような曲線を描いている。
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近づくと、石の間に小さな鉄の扉があった。
鍵穴が、海で拾った鍵とぴったり同じ形をしている。
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「ここだ……!」
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しーちゃんは、深呼吸して鍵を差し込んだ。
カチリ──と静かな音が響いた。




