67/104
『しーちゃんと記憶の図書館』第67話
二人で紡ぐ頁
⸻
海斗は、遥さんの瞳をまっすぐに見つめた。
「続きを…一緒に?」
—
遥さんは、小さくうなずいた。
「ええ。物語は一人で書けるけれど、
二人で紡ぐと、きっと予想もしない景色が見える。
あなたの言葉で、この物語を広げてほしいの」
—
海斗は胸の奥で迷った。
自分にそんな力があるのだろうか。
だが、遥さんが手渡した万年筆の温もりが、
不思議と背中を押してくれた。
—
「…やります。書かせてください」
—
遥さんの顔に、やわらかな笑みが広がった。
「じゃあ、この図書館の“記憶の部屋”で始めましょう。
ここなら、言葉が逃げないから」
—
その日から二人は、
古い木の机を挟んで向かい合い、
物語の続きを少しずつ書き始めた。
—
万年筆のインクが、
紙の上で静かに未来を描いていく音がした。




