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『しーちゃんと記憶の図書館』第64話
探しに行く道
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海斗は、翌朝の光の中で地図を広げていた。
遥さんのことを覚えているのは、
“公園”と“川沿いの小道”だけ。
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「手がかりは少ないけど……行ってみます」
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しーちゃんはカウンターの奥から、
小さな封筒を取り出した。
中には、
“記憶の図書館”の栞が一枚と、
短い手紙が入っていた。
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「もし会えたら、これを渡してくれる?
ここに来れば、続きを話せるから」
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海斗は封筒を受け取り、
ぎゅっと胸のポケットにしまった。
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図書館を出ると、
風がページをめくるように川面を揺らしていた。
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海斗は歩きながら、
色あせていた記憶の輪郭が
少しずつ鮮やかになるのを感じていた。
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そして、
川沿いの道の向こうに、
小さなベンチが見えてきた──。




