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『しーちゃんと記憶の図書館』第45話
ありがとうを渡す日
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再会からしばらくして、
二人は向かい合って椅子に座っていた。
窓の外では、雨が細く降り続いている。
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兄が静かに口を開いた。
「この場所がなかったら、きっと会えなかった」
妹も笑みを浮かべてうなずく。
「しーちゃんが、この部屋を開けてくれたから……」
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しーちゃんは首を横に振った。
「私はただ、扉の鍵を見つけただけです」
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兄はテーブルに、小さな包みを置いた。
中には手彫りの木のしおり。
そこには「灯」という一文字が刻まれていた。
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「あなたは、この町の灯りです」
その言葉に、しーちゃんは少し照れくさそうに笑った。
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奥の部屋に飾られたしおりは、
それからずっと静かに輝き続けた。




