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『しーちゃんと記憶の図書館』第46話
開かずのページ
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奥の部屋の棚のすみ、
古い日記帳が一冊、ひっそりと眠っていた。
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表紙は深い藍色。
革の手触りが手にしっとりと馴染む。
けれど、しーちゃんがめくろうとすると、
途中のページが固く閉じられていた。
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「糊で……貼られてる?」
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外からは何も見えない。
でも、指先からは確かに、
紙の向こうに残された想いが伝わってくる。
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しーちゃんはすぐに開こうとはせず、
日記の最初のページから読み始めた。
そこには、ある青年の日常と、
時折こぼれる“誰か”への短い手紙が綴られていた。
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ページをめくるたび、
固く閉ざされた部分に近づいていく。
「この先に……何があるんだろう」
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しーちゃんは日記を胸に抱き、
しばらく奥の部屋の静けさの中に立ち尽くした。




