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『しーちゃんと記憶の図書館』第42話
探しに来た人
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昼下がりの図書館に、
小柄な女性が入ってきた。
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ドアを閉める音が、
やけに静かに響いた。
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カウンターにいたしーちゃんに、
女性は少し緊張した面持ちで声をかけた。
「すみません……
この図書館に、昔の手紙を置いた方がいると聞いて」
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しーちゃんは首をかしげた。
「どんな手紙でしょう?」
—
女性は、
バッグから一枚のメモを取り出した。
そこには、
丸い字で「待ってる」とだけ書かれていた。
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「これと同じ字の手紙が、
ここにあったと聞きました」
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しーちゃんは静かにうなずき、
奥の扉を指さした。
「……こちらへどうぞ」
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部屋に入ると、
水色の封筒はまだ棚にあった。
女性はそれを手に取ると、
じっと封の上から撫でた。
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「兄の字です。間違いありません」
—
その声は、
涙をこらえるように震えていた。




