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『しーちゃんと記憶の図書館』第41話

人を動かす場所



翌日、

男性は再び図書館を訪れた。



入口でしーちゃんを見つけると、

少し照れくさそうに近づいてきた。



「昨日、あの奥の部屋で手紙を読ませてもらいました」



しーちゃんは静かに微笑んだ。

「水色の封筒ですね」



男性は深くうなずき、

言葉を探すように口を開いた。


「……あれを読んだあと、

 ずっと会っていなかった妹に電話をしました。

 驚いた顔は見えませんでしたが、

 声が震えているのがわかりました」



しーちゃんは黙って聞いていた。



「この部屋は……人を動かす場所ですね。

 言葉だけで、心の奥を揺らすなんて」



しーちゃんは少しだけ目を細め、

奥の部屋の方を見やった。



「言葉は、届くまでに時間がかかることがあります。

 でも、届いた瞬間には、

 もう行動が始まっているんです」



男性はその言葉を胸に刻み、

小さく礼をして図書館を後にした。



扉の向こう、

外の光はやわらかく揺れていた。


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