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『しーちゃんと記憶の図書館』第36話
地図の切れ端
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木箱から出てきた地図の切れ端は、
黄ばんで端が少し破れていた。
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少女が指先でそっとなぞる。
「……ここ、図書館の見取り図みたいですね」
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けれど、描かれている部屋のひとつは、
今の図書館には存在しないはずの場所だった。
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「隠し部屋……なのかしら」
しーちゃんの声は、少しだけ弾んでいた。
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二人は地図を持って、
奥の廊下を歩き始めた。
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薄暗い廊下の先、
本棚の裏に、壁が妙に新しい一角があった。
少女が壁を押すと、
かすかに風が漏れる音がする。
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「ここ……開くかもしれません」
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二人で力を合わせると、
壁が静かに動き、
その奥に狭い通路が現れた。
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通路の先には、
小さなドアがひとつ。
鍵はかかっておらず、
開ければすぐに入れそうだった。
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しーちゃんは少女の手を握った。
「行きましょう。忘れ物を、見つけに」




