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『しーちゃんと記憶の図書館』第33話
新しい筆跡
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放課後の図書館は、
夕陽が窓から差し込み、
机の上に金色の帯をつくっていた。
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高校生の少女は、
昨日託された手紙の束を
そっと机に置いた。
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「……書いてきました」
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差し出されたノートには、
見慣れないけれど温かみのある筆跡で、
やさしい物語が綴られていた。
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『あの日、会えなかったけれど、
あなたは私の中でずっと生きている。
遠く離れても、
同じ空を見上げた時間がある』
—
しーちゃんは、
その声を聞きながら目を閉じた。
まるで、会えなかった人が
目の前で微笑んでいるように感じた。
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読み終えた少女は、
少し照れくさそうに笑った。
「手紙の続きを書くって、
なんだか未来と過去がつながるみたいですね」
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しーちゃんは、
胸の奥の温もりを抱きしめながら答えた。
「そう……物語はね、
書き継ぐ人がいる限り、
終わらないのよ」




