第97話
こんにちは!
明日葉晴です!
今回からまたソラちゃんに戻ります!
いよいよ試験当日、一体何が起こるのか!
熱い戦いと感動をここに!
………お送りできればなぁって思います。
それでは本編をどうぞ!
前回のあらすじ
クラウセッドの振る舞いを正す為に立ち向かうシン。しかし、決死の思いも届かずに敗れてしまうのだった。
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試験の日の朝。アタシは早くからクラウセッドと喧嘩した道場で訓練していた。ハクアには昨日の夜に言っておいたから、アタシがいなくても心配はしないだろう。
もしかしたらいるかなぁ…って思ったんだけど…
たまに朝早くに来てはクラウセッドがいるか確認してたけど、あの朝以来会えていない。
はぁ…ちょっとだけホッとしてる…
会おうと思って来るけど、いないとわかると少しだけ安心する。会ってもまだ何を話せばいいかわからないかもしれない。
まぁ…アイツは会いたくもないんだろうけど…
何を話すか決めてないし、実のとこアタシも絶対に会いたい訳じゃない。ただ話しをしたい。昔みたいにお互いに切磋琢磨したい。
出来ないならせめて…それは出来ないとアイツから聞きたい。
考えをまとめながら、剣を振る。今日は副学園長の企み、もとい、計らいで剣士科の試験に出ることになった。そのためのウォーミングアップも兼ねている。そう言えば、昨日シンと会うことが出来なかったからシンには言い損ねていた。
シンが遅くまでいないのって珍しいよねぇ…いつもは少なくとも夕飯までには帰ってきたのに、昨日は夜の鐘が鳴っても帰ってこなかったなぁ…
まさか朝帰り…?だとするとシンも隅に置けないなぁ…なんてね。多分重要なことがあったんだろうな…また一人で抱えてなきゃいいけど…
軽く冗談を考えた後、私はシンの考えを読んだ。それくらいにはシンとの付き合いはある。だからこそ、抱えないで欲しいとも思うけど。
よし…口割らなかったらさっき考えたことで弄ろう。それでトレイズにダル絡みしてもらおう…
アタシはもしシンがなんか隠していた時の策を考えて素振りを続けた。一応、本当に隠したいことだったり、朝帰りだったりしたときは、その時はその時で考えよう。
ふぅ…まぁこんなものかなぁ…
アタシはいいとこでウォーミングアップを切り上げてシャワーを浴びる為に一度部屋に戻ったのだった。
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ハクア、トレイズ、シャニーと一緒に朝ごはんを食べてから、アタシ達はそれぞれの試験会場に向かった。ただ、シンは何故か朝から現れることはなかった。トレイズに聞いたけど。
「シンは…あー…まぁ大丈夫だ。何も聞かないでやってくれ」
なんて言っていた。珍しくトレイズが気を遣ってるみたいだったから、余程知られたくないんだろう。気になるけど。
どのみち試験会場で会うかな…一回聞いてダメなら諦めよう。
そんなことをざっくりとした考えで試験会場に向かう。会場の訓練所に入ると簡単な受付があって人が並んでいたから、アタシはそれに倣って並んだ。
「おや?ソラ殿でありますか?」
「あ、ロロナさん。こんにちは」
アタシが並んでいると、後ろから声を掛けられた。振り向くと、ジール君の班のロロナさんが不思議そうにしていた。
まぁ…そりゃそうだよね…
「何故ここに?ここは剣士科でありますが…」
「ちょっと事情があってね…詳しく話せば長いんだけど、暇潰しにはいっか」
そうして、アタシは昨日の副学園長とのやり取りを出来るだけ短く話した。最初、不思議そうな顔をしていたロロナさんだったけど、だんだんと驚いたような表情になってきた。最後の方だと、なにか聞きたくてしょうがないような顔だった。
「……てことなんだけど」
「とてもうら羨ましいであります!」
「お…おぅ…どうした…」
アタシが話し終わると同時にロロナさんが迫ってきた。思わずアタシは後退ってしまった。
「シャルメルト家のご令嬢、エリステラ様に稽古を付けて頂けるなんて滅多にないことでありますよ!」
「そ…そう?」
「そうであります!膠着していたユロリア皇国との戦争において、遅れて参戦したエリステラ様が相手の前線を一気に崩して休戦まで持ち込んだ話は有名でありますから!そんなお方と稽古が出来るなんて羨ましいであります!」
「へぇ…そんな有名人なんだ…知らなかった…」
片田舎で暮らしてたアタシには知らない話だ。シンの話じゃ六年前ってことだけど、そのころのアタシはようやく鍛え始めた時期だ。外のことなんかまったく知らない。
「そうでありますよ!自分もっ…!」
「…?」
アタシが感心していると、ロロナさんはまた食い気味に何か言おうとしたところで言葉を詰まらせて固まった。アタシが何かと思って見ていると、落ち着きを取り戻したようにアタシから少し離れて苦笑いのようななんとも言えない顔になった。
「い…いや…自分も…その…エリステラ様に憧れているでありますから!」
「あー…まぁ確かにかっこいい感じするから、なんかわかるかも」
「そういうことであります!」
憧れって言うのが恥ずかしかったのか、いつものロロナさんより歯切れ悪かった。だからアタシが共感すると、すぐに調子を取り戻して勢いのある喋り方に戻った。
「あ、そろそろアタシ達だね」
「そうでありますね!自分は少し用がありますので!では試験で戦えることを楽しみにしているであります!」
「ん!お互いに勝ち残ろうね!」
受付を終えて、用があると言ったロロナさんと別れたアタシは取り合えずシンを探すことにした。
んー…アタシより先に来てるとは思えないけど…一応奥まで行ってみようか…
そうして他の学生を避けつつ歩いていると、見覚えのある赤髪の人がいた。相手もアタシを見つけると、驚いたような表情になった。
「えっ!?ソラちゃんだ!やっほー!」
「エド、久しぶり!」
「久しぶりだな!そかそか、ソラちゃんは剣士科なんだな!」
「あー…まぁ…今はね。転科してきたんだ」
「おぉ!なるほど!…なるほど…?」
「話せば長いから難しく考えなくていいよ」
入学試験前日以来会ってなかったけど、エドは相変わらずフランクに挨拶してきた。学科について聞いてきたエドに、結論だけ言うととても不思議そうにした。そうなるだろうとは思うけど、今は詳しく説明してる時じゃない。
それよりも…
「えと…アイツは…?」
「あいつ…?あぁ、クラウか。まだ来てないよ」
「まだってことは…もしかして…」
「おう!オレもクラウも今日試験だな」
「そ…そう…なんだ…」
アタシはアイツが試験来ると聞いてドキリとした。卒業や昇級の人も混ざるとは聞いていたけど、ピンポイントで被るとは思わなかった。
「…ソラちゃんはさ、クラウのことどう思う?」
「え…?」
「ほら、オレから見ても変わったところあるからさ。ソラからすればクラウはだいぶ変わった様に思うかもじゃん?なんか気になって」
「そう…だね…」
確かにアイツは変わった。だけどエドが聞きたいのは多分そう言うことじゃないんだと思う。
どう思うか…かぁ…
「…ムカつくヤツ」
「たはは…やっぱそうなるかー…」
アタシが簡潔にそう言うと、エドは苦笑いしながら納得したように言葉を漏らした。
「でも、それは前から…最初に会った時から変わらないよ」
「え?」
「態度とか口調とか、そういうのが変わってるけど、ムカつくのに変わりない。多分、変わってないとこは他にもあると思う」
多分ではあるけど…そう言うとこが…アタシは…
「…そっか。ありがと。そういう人がいて…いや、ソラちゃんがそう言うだけで、きっとクラウは安心するんじゃないかな」
「……そう…」
アタシはわりと嫌な感じになったと思ったけど、エドはそうは捉えなかったみたいだ。おかげでアタシは毒気が抜けた。ホントにエドはいい人だ。
「でもどうだろうね?アタシが言ったとこで、鼻で笑われるだけだよ」
「あっははー!かもな!」
おい…
「だとしてもソラちゃんは、ソラちゃんが思ってるよりクラウに影響与えてると思うよ」
「それこそどうだろうね」
「ははっ!本人からするとわかんないか!っと!そろそろ対戦発表だ!見に行こうぜ!」
「えっ!?あっ!うん!」
なんだかんだ、エドと雑談してるうちに時間が来たみたいだ。アタシはエドに付いていって、人混みを掻き分けて対戦表を見た。
トーナメントみたいなんだ…アタシは…
アタシは自分の名前を探すべく、視線を漂わせた。
「あった!…って…え?」
「どした?」
対戦表の隅の方にアタシの名前を見つけ、そして対戦相手を見て驚いた。
「最初…シンだ」
そこに書かれていた初戦の相手。それはアタシがよく知る相手だった。
第97話を読んで頂き、ありがとうございます!
加速するエド君のイケメンさ。
ちょいちょいいい男になるトレイズ君。
今回は前回戦ってた子の同室の子達が無類の親友感を出して来ましたね!
うっかりトレイズ君のオチを付け忘れてしまいましたよ!?
あとロロナちゃんがミーハーな感じを出しました。
ただ堅い性格じゃないんです。
最後に言うのもアレですが、初戦から波乱の予感ですね。
それでは今回はここまで!
ブクマして下さってる皆様!
そうでない皆様!
いつも読んで頂きありがとうございます!
次回も引き続き、お付き合い頂ければ幸いです!




