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極大魔力の初級魔法  作者: 明日葉 晴
第5章 過去との決別。今との対決。未来への餞別
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第96話

こんにちは!

明日葉晴です!


前回に引き続きシン君のターンです!

イケメンさを発揮するシン君といけ好かなさを発揮するクラウセッド君の戦いですね。

まぁ今回は戦闘主体と言う感じではないのですが…

前回のシン君の言葉に、クラウセッド君はどうこたえるのか。

それでは本編をどうぞ!

 前回のあらすじ

 自らの信念の為にクラウセッドに剣を向けるシン。クラウセッドとの実力の差を前にしても決して屈せず、ただ立ち向かい疑問をぶつけた。そして頑ななクラウセッドにシンは怒りを露にするのだった。


 =side/シン


「「………」」


 僕が疑問を投げ掛けた後、長い沈黙が僕と彼の間に流れました。実際にはほんの僅かな時間だったかもしれませんが、正確にはわかりません。ですがおかげで幾分か頭も冷えました。


「答えられませんか?」

「…まぇ…には…お前には、関係ない」


 もう一度問い掛けると、彼は掠れた声で聞き飽きた言葉を吐きました。


「それで納得すると、本当に思ってますか?」

「知ったことじゃ…ない」

「貴方はぁっ…!!」


 再び頭に血が上りそうになったところを、すんでのところで止めました。今日はどうも沸点が低い気がしますね。


「ふぅ…確かに関係ありませんね。どのみち貴方はソラさんに嫌われているようですし」

「っ…!」


 まだ怒りは治まっていなかったのか、少し意地の悪いことを言ってしまいました。彼は顔を歪めましたが、自覚はあるのか何も言い返してきません。ですが、僕はそれを許せませんでした。


 貴方に…そんな顔をする資格はないはずですよ…!


「なんで貴方が傷付いた顔してるんですか?」

「うる…せぇ…」

「自分でソラさんを傷付けてるってわかってますよね?」

「黙れ…!」

「嫌われる程傷付けてるんですよ?」

「んなことわかってるっ!!」

「わかってないから言ってるんですよっ!!!」


 彼が叫んだことに対して、僕はそれを否定する為に叫び、踏み込みました。


「うっぐ…」

「あぁっ!」


 突然のことで避けられなかったのか、僕の上段から振り下ろした剣を、彼は剣を寝かせながら、片手を剣の腹に添えて受け止めました。先程よりも強い力で打ち込んだ為、彼は低く呻きましたが、気にせず剣を押し込み、丁度僕が覆い被さるような体勢になりました。


「貴方に…!貴方にソラさんの何がわかるんですかっ!」

「っるっ…せぇっ!」

「ちっ…!」


 意地か技術か、どちらかどうでもいいですが僕は彼に押し返され、体勢が逆になりました。


「あぁ!わかんねぇよ!お前も!アイツもっ!何考えてるか全然わかんねぇよ!」

「ならっ…!」

「けどっ…お前よりアイツを知らねぇわけねぇだろうが!!」

「っ!?なら何故ソラさんを傷付けるんですかぁっ!!」


 僕は彼を払い飛ばし後退させました。そのまま追撃を狙い、剣を振り下ろします。


「傷付けるとわかって!泣くとわかって!なんで貴方は平気な顔をしてるんですか!?」


 当たれば致命傷になるでしょう攻撃を、僕は容赦なく繰り出します。そして寸止めする気も、僕にはありません。


「だからっ!お前にはっ!!関係ねぇんだろうがっ!!!」

「だからと言って!引く訳にはいかないんですよ!」


 彼は僕の攻撃を避けたり受け流したりしながら、未だに口を割ろうとはしませんでした。それでも僕には引けない理由があります。


「貴方にわかりますか!?1ヶ月前に訓練所で泣いたソラさんのことが!」


 迷子の様に泣いたソラさんを思い出しながら、僕は彼に攻撃を続けました。


「間違いを犯しても笑って許すソラさんのことが!」


 僕が一人村に残った後、油断して狂化した僕に共犯だと言ったソラさんを思い出しながら、言葉を吐きました。


「そんな優しいソラさんがっ…!貴方を嫌いだとっ…苦しみながら言ったんです!その意味がわかるって言うんですかぁ!!?」


 紛れもなく渾身の一撃を彼に叩きつけました。地面に叩きつけた剣から砂煙が立ち上り、それが晴れると彼の姿はなくなっていました。


 手ごたえはなかったですが…


「わかる必要もない。俺がやることには変わりない。俺の目指すことも…変わらない」


 彼はソラさんが技を放つ時と同じように、剣を抜く前の体勢で静かに構えました。


「俺の目標は俺だけのものだ。お前らが立ち塞がるなら、それを振り払う」

「なにを…!?」

「これは…俺の目標の前にいる、俺が超えたい人の技だ…」


 彼が呟いた次の瞬間、視界が白く染まり、僕の意識は飛んだのでした。


 =


 目が覚めると、体中に痛みが走りました。


 僕は…負けたんですか…


 地面に倒れながら、冷静に状況を考えました。今は、ただ単純に負けたという空虚な感情が胸に広がっていました。


「ようやくお目覚めか」

「貴方は…まだいたんですか…」


 声のした方に視線だけ向けると、彼が静かに立っていました。背中を向けているため、表情は窺えません。


「敗者を嗤う為にわざわざいたんですか…?」

「そうして欲しいならそうするが、気分じゃないな」

「ならなんだって言うんですか…」


 最早反抗する気もなく、ただ彼の言葉を待ちました。


「お前に聞きたいことがあってな」

「なんですか…?なら早く言ってください…」

「お前、アイツが死ぬかもしれないと思ったことはあるか?」

「はい…?」


 彼がアイツと指した方は一人しかいないでしょうが、僕はその問いに戸惑いました。


 ソラさんが…?


 僕は今までの戦いを思い返し、考えました。初めて会った時も、その少し後の戦闘も、二人で大型の魔物と戦った時も、そんな感じはしませんでした。僕が狂化した時の記憶はありませんが、おそらく逃げようと思えば逃げれたでしょう。ならば、死ぬかもしれなかった時は、無いに等しいかもしれません。


「ありません…」

「そうか」


 彼はそれだけ呟くと、歩き出しました。


「聞くだけ聞いて行くのはどうなんですか…?」

「あぁ…なら一つ。俺はアイツが死ぬかもしれないと本気で思ったことがある。だからお前に俺の考えは理解出来ねぇよ」

「何を…?」

「それが分かっただけ収穫だ。後はもう本当に話すことはない」

「まっ…うっ…」

「安心しろ。明日に支障はないだろうよ」


 そうして、彼は訓練場から出て行ったのでした。本当に、言うだけ言って勝手な人です。


 はぁ…まぁ負けた僕に、何も言う権利はないのでしょうね…最後に手加減までされて…


 明日の試験のことまで配慮されて、完璧なまでの敗北です。結局、僕は無様に負けただけと言うことでしょう。ソラさんに勝てない僕にはもともと望みは薄いとは思っていましたが、僕の言葉すら届かず、彼の気持ちを引き出すことも出来なかったとなると、救いはないですね。


 それにしても最後の技…あれはいったい…


 僕の周囲には、僕を取り囲むように斬りつけられた跡が、地面を抉るかの如く無数に刻まれていたのでした。

第96話を読んで頂き、ありがとうございました!


残念ながらシン君の敗北と言うことで決着しました。

これでクラウセッド君の株はさらに下がるかもしれませんね。

もうどんなにクラウセッド君が良い奴になっても、回復しないでしょう…

さて、一応シン君のターンは一旦終わりです。

次回はまたソラちゃんに戻ります。

それでは今回はここまで!


ブクマして頂いてる皆さん!

そうでなくとも読んで頂いてる皆さん!

いつも感謝しかありません!

次回も引き続きお付き合い頂ければ、何よりの喜びです!

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