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極大魔力の初級魔法  作者: 明日葉 晴
第5章 過去との決別。今との対決。未来への餞別
89/263

第89話

こんにちは!

明日葉晴です!


模擬戦の決着回です!

一対二のソラちゃんがどう戦うかってとこです!

この状況も何気に初ですかね。

分類としては魔法剣士同士の戦いって感じですかね。

何て言うかフィジカルに偏ってる気もしますが…

てか題名が仕事しないですね…

さておき本編をどうぞ!

 前回のあらすじ

 ジール達の班と模擬戦を繰り広げるソラ達。全体的な戦力は拮抗するものの、決定打のないまま戦いは続いていた。その状況にしびれを切らしたソラは、勝負を決めるべく単身で後衛の二人に仕掛けたのだったが、ジールとナルケムの二人はソラと同じく剣も扱うことが出来るのだった。


 =


「すぅ……はぁぁ…」


 アタシは深く息を吸ってから、ゆっくりと吐き出した。こんなことしてる場合じゃないとは思うけど、張り詰めた気持ちを再確認したかった。


「ふふっ…」


 そして思わず笑いが込み上げてきてしまった。なんだかアタシが変な人と思われるような気がする。けど仲間内にはもう思われてるし、今更だろう。


「楽しそうだね」

「全くだ。この状況で何故?」

「んー…なんでだろ?アタシも分かんない。でもそうだね…楽しいからかな」

「「……?」」


 二人は分からないと言った表情を見せる。アタシも分かんないからしょうがない。でも正直な気持ちでもある。


 多分…これが正解なんだ。忘れてた…大切なこと。


「まっ、そろそろ決着をつけよっか。アタシ、負けるつもりないから」

「それは僕もだよ」

「当然、私もだ」

「「「……………っ!!!」」」


 アタシ達はそれぞれ意気込みを言ってからしばらくの沈黙の後、気迫と共に同時に踏み出した。アタシは二人に向かって、二人はアタシに向かって。


円空(えんくう)』…!


 まずは牽制の回転斬り。当てるつもりはなくて、二人を分断するのが目的だ。二人の間に入るように放った技は思い通りに作用して、二人は左右に分かれた。


「“アース”!“ファイア”!」


 ジール君側は土を盛り上げ、ナルケム君側には火を放ってそれぞれ目線を遮った。その後にアタシは迷わず火をくぐり、ナルケム君の方に向かう。


昇空(しょうくう)』!


「むっ…!?」

「はぁっ!」


 アタシは火を潜り抜けた先で、間髪入れずに技を入れる。アタシの切り上げは偶然にも火を巻き込み、まるで剣が火を纏ったかのように繰り出された。


「『天降ろし(てんおろし)』!」


 ナルケム君は技の名前と思われるものを叫びながら、両手で持った剣の剣先をまっすぐに上空に向けた後、思い切り振り下ろされた。


 …くっつぅっ…!?


 アタシの剣も細身だけど、同じように細身の剣で出されてるとは思えないほどの力強さだ。アタシの切り上げは叩き返されるように下に弾かれる。腕に衝撃が伝わって軽く痺れた。


 剣も身体も細いくせに…!


 正直この初手の不意打ちでナルケム君をダウンさせておきたかった。だけど逆に予想外の反撃とダメージをアタシがくらってしまった。腕の痺れがまだ少し残ってる。


 それに…


「“ウィンドカッター”!」

「来たっ…!」


 上から魔法を唱える声が聞こえて、アタシはとっさに後ろに下がった。アタシのいた場所に切れ込みが入った。どうやらもう山を越えてきたらしい。


「思いの外遅かったな」

「まさか四方に山を作られるとは思わなかったからね。超えるのにちょっとかかった」

「アタシとしては思ったより早かったよ。二人とも、貴族でカッコ良くて強いとか反則じゃない?」

「あはは。ありがとう」

「あぁ、素直に誉め言葉として受け取って置こう」

「皮肉でもなんでもないよ。普通に感想言っただけ」


 全くもってやりにくい。力も魔法も上。受けた感じ技の練度も高い。努力家の貴族なんて嫌味も出てこない。


 勝てそうなのは速さ…か。これも負けたら…いや。先生の教え子として、それだけは譲れないかな…


 軽口を交わしてる間に腕の痺れは取れた。アタシはまだ戦える。


「すぅ…ふぅ…」


絶空(ぜっくう)』!


 アタシは息を整えて出せる最高速度で切り上がり技を出す。


「くっ…!?」


 かなり突然だったはずだけど、ナルケム君に間一髪で防がれた。


 だけど体勢は崩れたっ…だん…っ!?


「“ファイアアロー”!」

「“ウィンド”!」


 ジール君の反応が早く、魔法を飛ばしてきた。アタシは技を出す寸前で魔法に切り替えて避ける。そしてアタシの着地に合わせてジール君が踏み込んできた。


「こっちは二人だよっ!」

「知ってるっ!」


転空(てんくう)』!


 ジール君の踏み込みを回避技で避けつつの反撃。別にジール君を忘れていたわけじゃない。ただ予想より近接戦闘に慣れているとは思ってるけど。


 魔法科のクセにっ…!


 そんなアタシのことは棚に上げたような感想が浮かんだ。ホントなんでこの二人は魔法科なんだか。


「避け方が人離れしてるねっ!」

「失礼なっ!」

「案外、的を射ていると思うのだがっ!」

「二人で女の子に斬りかかる方が人でなしだと思うよっ!」


 二人の連携の取れた攻撃をくぐりながら、言われたことを反射的に言い返す。流石に二人掛かりで攻撃されれば避けるので精一杯だ。身を低くしながら左右に気を配って、絶え間ない攻撃を見切っていく。


 二本の剣は…シンで慣れてるっ…!


「すぅ…ん…」


 集中力をさらに高めて、アタシは静かに息を止めた。二人の剣と、呼吸と、気配を全身で感じ取り、賭けに出る。


隠空(いんくう)』…!!


「「っ!!?」」


 存在を空気に溶け込ませるように自分の気配を消す。二人の驚く気配があった。それを喜ぶ間もなく、アタシはナルケム君の背後を取って背中に一撃。


「ぐっ…!?」

「ナルケム!」


 ナルケム君が倒れたのを見てジール君が驚きの声を上げた。だけど驚いてはいるけど油断なく構えてはいた。


「はぁ…はあぁ…」

「本当に…驚きが隠せないね」

「はぁ…んっ…アタシも…いっぱいいっぱい…なんだけど…ね…」


 ナルケム君を倒したところで、『隠空(いんくう)』が解けてしまった。それに高い集中力を使ったから、アタシは息を切らす。その様子を見てジール君は苦笑いをしていた。


「一応聞くけど、降参は?」

「冗談…でしょ…」

「そんなこととは思ったけどね」

「なら…ふぅ…聞かないで」


 そんな会話をしている間にアタシはだいぶ回復できた。だけどこの状況はきっと向こうが作ったものだろう。さっきまでは容赦がなかったのに、いきなり会話を挟んできたのが証拠だ。


「ねぇ、アタシのこと嘗めてるの?」

「そんなことはないよ」

「ならなんでアタシが息整えるの待ったの?」

「女性を一方的に痛めつける趣味はないから…かな」

「そう…残念だよ」


 甘い。優しいと言えば聞こえはいいけど、その答えはアイツとは別方向でアタシの神経を逆なでした。


「なにがかな?」

「優しいのは良いことだと思う。でも、時と場所と…相手を選んだ方がいいよ。少なくともアタシは気にくわない」

「そうか…ごめん」

「いいよ。ジール君の良いところでもあると思うから」


 アタシは笑顔でジール君に言った。それを見て、少しだけジール君は悲しそうな顔をする。


「でも…二度とそんなこと思えないようにしてあげる」

「っ!?」


 アタシは急加速してジール君に斬りかかる。いきなりのことで反応が遅れたのか、ジール君がアタシの攻撃に後ずさった。


「“アース”!“ウォーター”!」


 そしてジール君を取り囲むように地面を盛り上げ、その上から大量の水を注ぎ入れる。試験で副学園長にやったこととほぼ同じ。規模は小さくて、真正面からやったところは違うけど。その後、アタシは即席のプールの縁に上って、しゃがんでジール君が水から出てくるのを待った。


「どう?」

「後悔してるよ」

「そう。じゃあついでにジール君がやったことをそこで見ていてよ。優しいのは良い。けど考えた方がいいよ」

「……心に留めておくよ」


 アタシはひとまずその答えで納得すると、土の壁から飛び降りてみんなのところに行った。みんなまだ膠着状態だったけど、アタシが参加したことで一気に形勢は傾いて、模擬戦はアタシ達の勝ちで幕を閉じたのだった。

第89話を読んで頂き、ありがとうございます!


と言うわけで模擬戦決着!

丸々二話戦闘に使ったのは初めてですかね。

それでも思ったより魔法使ってなくてミスったなぁって感じですが。

それでは今回はここまで!


ブクマして頂いてる皆様!

そうでなくとも読んで頂いてる皆様!

毎回読んで頂き誠に感謝です!

次回もお付き合い頂けましたら、何より幸いです!

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