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極大魔力の初級魔法  作者: 明日葉 晴
第5章 過去との決別。今との対決。未来への餞別
77/263

第77話

こんにちは!

明日葉晴です!


前回はなんかシンとトレイズが語り合った回でしたね。

なんか、男の子同士が静かに語り合うのって、友情って感じがしていいですよね。

さて、今回はそんな二人の話…かと思いきや違います。

それでは本編をどうぞ!

 前回のあらすじ

 ソラを探す為に奔走するシン。しかし一向に手掛かりは見つからず、空振りに終わってしまう。その代わりにソラの様子が違うことの原因を推測する。夜には部屋に戻り、トレイズに班についての説明を行ったのだった。


 =side/シン


 授業が始まって二日目。今一つ眠りに就くことのできなかった僕は、まだ朝とは呼べない薄暗い時間に身体を起こしました。


「ぐぅ…ぐがぁ…」


 机を挟んだ反対側の寝台では、トレイズさんがいびきを掻いて寝ていました。この様子なら多少物音を立てても大丈夫でしょう。そう思い僕は寝台から降りると、湯浴み場で軽く体を洗ってから、一応すぐに授業に行けるよう武器も持って部屋を出ました。


 ふむ…やはりまだ誰もいませんか…


 静かな寮の廊下を、足音を立てないように進みます。やがて寮の共通の玄関広間に着きました。そこには管理人の方が掃除をしていました。


「おはようございます」

「おや、おはよう。今日は君かい」

「昨日はソラさんがこの時間でしたか」

「そうだね。この時間なら女子寮に忍び込めると思っていたかい?」

「いえ、偶然ですね」

「くっくっくっ…そこは同じ返しかい。冗談さ。ごみ箱を取ってくれるかい?」

「え…あ…はい」


 なんだか不思議な言葉を交わしたような気がする僕は、戸惑いながらも言われたとおりにごみ箱を渡しました。そのあとは特にやることもなく、備え付けの長椅子にただただ座っていました。いつの間にか管理人の方はいなくなっています。


 ふむ…朝に話したいからと言って、この時間から待つのは少々早すぎましたか…


 そう思っていると女子寮のほうから、たったったっ、と軽快な音が聞こえてきました。朝早い時間には似合わず、ずいぶんと慌ただしい方がいるようです。そう思って女子寮の方を向くと、知った顔が走って来ていたので驚いてしまいました。


「ハクアさん…?」

「えっ…!?あっ…!シンっ!」


 僕のことを認知すると、ハクアさんは慌てた様子で止まりました。勢いあまって僕の前を少々通り過ぎてしまいましたが。


「シンはソラを見てないでありんすか!?」

「ソラさんですか?見ていませんが…」


 見ていない…と言うより、見るために待っていたので…


「そうでありんすか…と言うことはやっぱり…」

「どうかしたんですか?」

「ソラは昨日から帰ってないんでありんす…」

「はい…?」


 昨日から帰っていない…?


「どういうことですか?いえ、それよりも場所に心当たりが?」

「はいでありんす!こっちでありんす!」

「わかりました!」


 そうして、僕はハクアさんと一緒に寮から急いで出て行くのでした。


 =


 道中、僕はハクアさんから簡単に昨日の出来事について聞きました。


「そうですか…そんなことが…」

「きっと…わっちのことが嫌いになったから帰ってこなかったでありんす…」


 走りを止めなかったものの、喋り終えたハクアさんは落ち込んでしまいました。きっと、ソラさんに酷いことを言ったのを後悔しているんでしょう。


「大丈夫ですよ。ソラさんはそんなことでは嫌いになったりしないはずです」

「でも…わっちは…」

「ソラさんは人の本気をちゃんと受け取る人です。ハクアさんが本気だったなら、ソラさんはちゃんと受け止めるはずです」

「わっちの…本気…?」

「えぇ。ソラさんを思って言ったハクアさんの言葉は、きっと届いてるはずです」

「だと…いいでありんす…」


 それでも割り切れないのでしょう。ハクアさんは落ち込んだままでした。それに僕の推測でしかないので、ソラさんの気持ちを聞くまでは納得できないのでしょう。


「あっ…あそこでありんす…」

「あれは…」


 ハクアさんが示したのは道場のような建物。訓練場の一つでしょうか、ずいぶんと種類が多いですね。


「昨日はあそこで別れたでありんす。そこにいなければわからないでありんす…」

「なるほど…」


 そうして、僕とハクアさんは道場の中に入って行ったのでした。


 =side/ソラ


 アタシ…何してんだろ…


 道場の真ん中で目を覚ましたアタシは、倒れて天井をぼんやりと見上げたまま頭を働かせ始めた。


 そっか…昨日…訓練してて…それで…それで…


 ハクアに心配されて、それを受け入れなくて、怒られて、そのあとに訳が分かんないくらいモヤモヤして、それを振り払おうとがむしゃらになって、倒れた。


 バッカみたい…あぁ…ハクアの言う通りだ…


 昨日ハクアは泣いていた。アタシが泣かせた、のだと思う。いや、完全にアタシのせいだろう。本当にバカみたいだ。


 強くなりたいのに、人を泣かせてたら意味がない…アレ…?


 ふと思う。なんで意味がないのかがわからない。アタシが強くなりたい理由はアイツに勝つため。そこに他人は関係ない。


 でも…なんでこんなにモヤモヤするんだろう…


 昨日と同じ、ハクアが泣いてるとわかった時と同じ気持ちになった。なんだかとても、とても大事なことを忘れているような気がする。


 まぁ…アタシが強くなれれば、泣かせることもないかな…


 考えても分からない。だからそれを振り払うように立ち上がった。ハクアのことは気掛かりだったけど、今のアタシが何を言っても無駄なような気がする。


 訓練しよ…


 まだ授業までは時間があるだろう。なら、少しでも強くなるためにアタシは剣を握った。それに今部屋に戻ってもハクアを傷付けるだけ。だったらここにいた方がいい。


 なんて…とっくに傷付けてんのに…


 考えがまとまらないから剣を振る。だけど剣を振っても集中しきれず、どうしても昨日のハクアの言葉を考えてしまう。強くなることだけを考えたいのに上手くいかない。


「何が…いけないの…?」


 気付けば言葉を漏らしていた。強くなりたい、それがいけないことなのか。アイツに勝ちたい、それはダメなことなのか。


「どうすればいいの…?」


 分からない。どうすればハクアを泣かせなくて済んだのか。アイツに負けずに済んだのか。


 頭の中はぐちゃぐちゃで、もうまともに剣が振れているかもわからなくなっていた。


 バタンッ!


 そして不意に訓練場の扉が開いた。


 まさかっ…!?


 アタシはアイツが来たのかを期待したけど、入り口に立っていたのは予想もしなかった人だった。


「シン…?」

「ようやく見つけました。ソラさん」


 シンの後ろにハクアが見えた。すぐに扉の後ろに隠れてしまったけど、きっとハクアが連れてきたんだろう。


「ソラさん、昨日、彼…クラウセッドさんとなんかありましたね?」

「っ…!!」


 アタシはアイツの名前を聞いた途端、頭に血が上った。それほどまでに、アタシはアイツを許せない。だけど、それはシン達には関係ないことだ。


「別に…なにも」

「嘘ですね」

「嘘じゃない」

「何かされました?」

「なにもされてない」

「そうですか?」

「うん。気にしないで」


 問い詰めるシンをアタシは突っぱねた。これはアタシの問題だから。


「気にしないと言うのは無理ですね。今のソラさんは…ひどく怯えて、弱く見えます」


 シンの一言で、アタシの中で何かが弾けた。


「アタシは弱くないっ!!」

「…っ!?」


 アタシが叫んだことで、一瞬シンは息を飲んだように見えた。だけどもすぐに落ち着いたように、笑いを浮かべた。


「いえ。今のソラさんは弱く見えます」

「違うっ!弱くない!何がおかしいのよ!」

「そうですね。今のソラさんは、必死に虚勢を張ってる、か弱い女の子にしか見えないからですかね」

「だから弱いって言うな!」


 シンには言って欲しくなかった。シンはアタシを認めてくれていると思ってたから、裏切られたように感じた。


 なのに…なんでっ…!


「訂正して…」

「何をですか?」

「弱いって言ったこと訂正して…!」

「いいえ。しません」

「なら…力尽くで訂正させるからっ!」


 そうしてアタシは、剣を構えた。それに応えるようにシンも構え、合図もなくアタシとシンは同時に踏み込んだのだった。

第77話を読んで頂き、ありがとうございます!


久々のソラちゃんとシン君のツーショット!

なんて言ってる雰囲気じゃないですよね。

さて、既視感を覚えるような展開ですが、第五章でやりたかったシーンその1まで到達しました。

厳密にはまだですが、まぁこの辺りが最初のチェックポイントですね。

それでは今回はここまで!


ブクマして頂いてる皆さん!

そうでない皆さん!

いつも読んで頂き、大変ありがとうございます!

次回もお付き合い頂ければ幸いです!

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