第43話
こんにちは!
明日葉です!
私が生きてきた中での最大の後悔は友人に隠し事をしていたことです。
私はこんなでも結構シャイなんですけど、おかげでずっと言えないことがあります。
今でも言えません。
言えずにずっと奥に沈んでしまったものは、もう引き上げることができないかもしれません。
きっと、私はこのことを後悔し続けるかもしれませんね。
皆さんはそんな後悔がなければいいと思います。
では、本編をどうぞ!
前回のあらすじ
限界を越えた為暴走したシン。瞬く間に魔物を殲滅していった。魔物がいなくなると次の獲物としてソラ達に狙いを定めた。逃げる気のないロッチも守るべく、荒れ狂うシンに一人立ち向かうソラ。死と隣合わせの大立ち回りの末、ようやくシンを正気に戻すのだった。
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「まさか…また生き残ってしまうとはね…」
「ロッチさん…」
シンが正気に戻ったその後、ロッチさんがアタシ達に近付いてきた。
「ソラちゃんが無事で良かったけど…なんだか複雑な気持ちだね」
「ロッチさんは、死にたかったんですか…?」
ここで死にたかったと言われたら、必死に守ったアタシはやりきれない気持ちになるだろう。でも、これを聞かずにはいられなかった。
「わからない…でも…私はどうしても許せないんだ…」
「オニを…ですか…?」
「私自身を」
死にたいかわからないといったロッチさんは本当に寂しそうで。自分を許せないと言っていたその声は力強かった。なら、アタシはロッチさんに言わなきゃいけないことがある。
「じゃあ、生きてください」
「え?」
「生きてください。ロッチさん。自分が許せないなら、生きて、この村の人達を覚えていてください」
「なんで、そんなことを…?」
「アタシはロッチさんの悲しみは知りません。でも、自分が許せなくなる感情ならわかります。そして、それでも立ち止まっちゃいけないことを知りました。だから生きなきゃいけないんです。自分を許すために生きなきゃダメなんです」
「自分を許すために…」
アタシの言葉を聞いて、ロッチさんは何かを深く考え込んだ。子供のアタシの言葉がどれだけ届くかわからないけど、少しでもロッチさんに届けばいいと思う。
「ロッチさんは、考え直してくれるでしょうか」
「だといいけど…それはさておき、アタシ、シンにも言いたいことあるからね?」
「……はい…」
シンがロッチさんの様子を見て、心配そうにアタシの隣に来た。だけど、アタシが物申したいのはロッチさんだけじゃない。アタシの一言でシンは苦笑いを浮かべて、小言を受け入れる態勢に入った。
「まず…なんでアタシに相談してくれなかったの?」
「それは…僕の問題だからです」
「昔暴走したオニと知り合いなの?」
「いえ…全く知りません」
「ならなんで?オニってだけでシンが責任取ろうとしたの?全く知らない人の責任まで背負うとかバカなの?責任感があるっていう域じゃなくない?異常だと思うよ?」
アタシが畳みかけるように話すと、シンは困ったような顔をした。
「ははは…返す言葉もないです…」
「いや、なんか言い返してよ。理由でもなんでも」
アタシが嫌なやつみたいじゃん。
「理由は…言えません…」
「はぁ…わかった。じゃあ理由は聞かない。代わりに、ロッチさんとした約束ってのを教えてよ」
「わかりました…僕とロッチさんで野宿の見張りをしたとき、ロッチさんの過去を先に聞いていたんです…オニを憎んでいることも」
「それで?」
「その時に、僕はソラさんに言えない部分を話しました。じゃなきゃ公平じゃないと思ったんです」
「それがどうしてあんなことになったの?」
「それでオニを許さないまでも、一つの区切りにする条件として、昔村に起きた状況と同じにして、暴走しなければロッチさんが気持ちを整理するって言ったんです」
「ふーん…」
まぁ状況は何となくわかった。ロッチさんが過去を乗り越えようとしていたことも。たとえ、その方法がアタシから見れば間違っているように見えても。
「なら、アタシのせいで暴走したみたいなものだし、共犯者だね」
「いえ!そんな!ソラさんまで責任を感じることは…」
「そうだよ。ソラちゃんまで責任を感じることはないよ。そして、シン君も」
「ロッチさん」
考え事が終わったのか、少しだけすっきりした顔をしたロッチさんが話に入ってきた。
「ソラさんはともかく、僕は許されないのでは?」
「いや、そもそも誰かに背負わせるものじゃなかったんだ。オニを憎んでいたのは私の八つ当たりにすぎなかった。ソラちゃんに言われて気付いたよ」
「ロッチさん…」
「本当にすまなかった。それと、止めてくれてありがとう」
「僕は…やらきゃいけないと思ったことをやっただけです」
「アタシも、アタシのしたいことをしただけです。だからいいです」
「本当に…本当にありがとう…」
ロッチさんは申し訳なさそうに、アタシとシンに向かって深々と頭を下げた。
「いいですよ…それよりも、今日はもう休みましょう?さすがに疲れました」
「そうですね…疲れました。休みましょう」
「あぁ。そうだね。今日の見張りは後は私がやるから、二人は休んでいいよ。それに…もう少し一人になりたい」
「わかりました。お言葉に甘えさせてもらいます」
「僕も…ありがとうございます」
「いいよ」
「でも、魔物の群れが来たら今度はちゃんと起こしてくださいね?」
「はは!わかったよ」
「約束ですよ?じゃあ…おやすみなさい」
「おやすみなさい」
「あぁ…おやすみ」
そうして、アタシとシンは馬車に入ってゆっくりと眠ったのだった。
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次の日の朝。アタシが起きると、シンはもう起きていてロッチさんとご飯の準備をしていた。見た感じ、二人とももう変な様子はなかった。
よかった…もう二人とも大丈夫かな。
「あ、ソラさん。おはようございます」
「起きたみたいだね。おはよう」
「二人とも、おはようございます」
アタシに気付いた二人があいさつをしてきて、アタシはそれを返す。そんな当たり前なことが、今はうれしい。そのあと朝ご飯を食べてから、出発の支度をしている時、アタシはあることを思いついた。
「あの…出発する前に、少し村を掃除していきませんか?」
廃村とはいえ、魔物の死体とかをそのままにしてただでさえ荒れたままのところを、さらに荒らしたままにはしたくなかった。
「…そうですね。それはいいかもしれません」
「気を遣ってくれてありがとう。手伝ってもらえるかい?」
「「もちろん」」
そして、アタシとシンとロッチさんの三人で村を掃除して、お風呂に入り体を綺麗にした。
「じゃあ、行こうか」
「「はい!」」
これで、ロッチさんの故郷ともお別れだ。悲しい記憶がある村だった。だけど、決して目を逸らしちゃいけない。
これも…今の現状…
受け入れて乗り越えなきゃいけない。アタシのがやらなきゃいけないこと。
さようなら…アタシはきっと、忘れない…こういう悲劇の起こる村をもう出さないように…
アタシは改めて誓いを立てて、馬車に揺られながら王都に行く前に立ち寄る最後の町に向かうのだった。
第43話を読んで頂き、ありがとうございます!
事の成り行き回でした。
お気付きかと思いますが、第三章ももう少しです。
あと一話…の予定です。
長かった王都までの道中も、もう終わりですね。
では、今回はここまで!
ブックマークして頂いてる皆さん!
そうでない皆さん!
いつも読んで頂き、ありがとうございます!
次回もお付き合い頂ければ幸いです!




