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極大魔力の初級魔法  作者: 明日葉 晴
第3章 信じること、他者の事情と理解
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第29話

こんにちは!

明日葉晴です!


変身とか変形とか、とりあえず変化して強くなるのはロマンがありますよね!

なので私は戦隊ヒーローも魔法少女も憧れますね。

まぁ最近はめっきり見なくなってしまったのでどんな感じなのかはわかりませんが…

変身して敵を倒すって根底は変わってないでしょう。


では、本編をどうぞ!

 前回のあらすじ

 王都へ馬車の旅を行うソラ。行商人のロッチと共に街道を進んでいた。しかし穏やかな旅も束の間、魔物の群れと思われる影を発見。そこで一人戦う少年を目撃する。そこにソラが加勢し、群れを制圧。シンと名乗るオニの少年を加え、再び王都へと向かうのだった。


 =============


 シン君が新たに旅仲間として加わり、一緒に王都に向かうことになった。


「ところでシン君、ちょっと質問いいかな?」

「呼び捨てでいいですよ。なんですか?」

「じゃあシン。何しに王都に向かっていたの?」

「そうですね…実は王都に行くのが目的ではないんです。少々人探しをしてまして」

「人…っていうと、オニの?」

「はい。かといって当てがあるわけでもなかったので、とりあえず人の多い王都に、と」

「そうなんだ…見つかるといいね」

「はい」


 しまった。少し湿っぽくなってしまった。話題を変えよう。


「えっ…と…そうだ!今歳いくつなの?」

「僕ですか?今年で十二になりますね」

「えっ!?ホント!?アタシも同じ!偶然だね!」


 実は年下だと思ってた。まぁ精神年齢はアタシが上だろうけど。


「そうなんですか?大人っぽいので年上と思ってました」

「ふふん!まぁね!アタシはもう十二だし、お姉さんと言えばお姉さんかもね!」

「ははっ!確かにそうですね」


 なんだろう…今この瞬間に精神年齢も負けた気がする。


「ま、まぁ冗談はさておき、敬語外してもいいんじゃない?」

「あー…これはもう癖なので、気にしないでください」

「ん。わかった。そう言うなら気にしない」


 別に悪い癖じゃないし、そのままでもいいか。


「それにしても、片目ずつ色が違うってすごいねー。それにとっても綺麗な色」


 とりあえず、気にしなくていいことを置いておき、アタシは別の気になっていたことに関心を向けた。


「ありがとうございます。この目はオニの特徴の一つですね。普段はこうして目の色が違うんです」

「普段はって…じゃあ同じになる時があるの?」

「ありますよ。それはですね…」

「オニには三種類の状態があるんだよ。ソラちゃん」


 シンの言葉を遮ってロッチさんが操車席から声を掛けてきた。


「三種類の状態?」

「そうさ。まずは、通常の状態。今のシン君の目の色が違う状態」

「なるほど。ということは後二つは目の色が同じになるってことですか?」

「正解だ。一つはオニ化状態。両目の色が通常の髪の色と同じになる。そして角が生えるんだ」


 角…まさにオニだね。


「へー。シンも角が生えるの?」

「生えますよ。僕らオニは、角を生やすことによって常に強化魔法がかかったような状態になります」

「何それ凄い」

「通常でも能力が高いオニが、角を生やすことによって強化される。オニが現在の最強種の候補と言われてる所以だ」


 最強種…アタシはそんな恐れ多い種族に例えられたのか…


「ところでもう一つの状態は?」

「もう一つは…」

「あっ!魔物の気配がします!」


 ロッチさんがもう一つの状態について言おうとした時、シンが叫んだ。


「本当かい?特に何も見えないが…」

「左後ろから接近してますね…空?」

「何?」

「あっ…違くて…上って意味…じゃなくて!来ました!」

「きゃあ!!」


 恐らくアタシとの無駄なやり取りのせいで反応が遅れたのであろう。シンが叫んだと同時に馬車が激しく揺れた。


「僕が出ます!ソラさんはロッチさんを!」

「わかった!」


 言うが早いか、シンは床に置いていた剣を両手に取り馬車から飛び出す。アタシは荷物の間を駆けて操車席に向かった。


「ロッチさん!無事ですか!?」

「あぁ!無事だ!シン君は!?」

「馬車から出て魔物と戦ってます!」

「そうか!俺はこの先で隠れて待っている!ソラちゃんはシン君に加勢してくるんだ!俺は気にしなくていい!」

「わかりました!ロッチさん、気を付けて!」

「ああ!二人で戻ってきてくれよ!」

「はい!」


 アタシはロッチさんに怪我が無いことを確認すると馬車の操車席から飛んで、後方で戦っているシンのもとに駆け付けた。


「シン!…“ファイア”!」

「ソラさん!ありがとうございます!」


 大きなフクロウの魔物五匹と戦っていたシンは、アタシが声を掛けて魔法で魔物を牽制すると、一度魔物から距離を取ってアタシの横に来た。


「ロッチさんは!?」

「無事!この先で隠れてる!」

「よかった…苦戦していたので援護お願いできますか?」

「了解!“パワード”、“ガード”、“クイック”」

「ありがとうございます!じゃあついでに…」


 アタシが補助魔法を掛けるとシンは魔物に向き合い構えた。すると…


「はぁあぁぁぁぁぁっ!」

「きゃっ…!」


 気合を入れるような掛け声とともにシンから衝撃波が出る。アタシは驚いてシンを見ると、シンの額から一本の角が現れ、水色の瞳の色が深緑に変わった。


「これが…オニ化…」


 衝撃波が収まると、異様な圧を発するオニの姿のシンが佇んでいた。心なしか、穏やかだった顔つきに野性味が加わっている気がする。


「…ふぅ……行きますっ!」


 一度息を整えたシンは、弾丸のように飛び出し一匹の魔物との距離を一瞬で詰めた。


「せいっ!」


 両手に握った二本の大剣を魔物の一匹に振り下ろした。飛び出した勢いが乗った威力によって、魔物は地面に叩き付けられた。


「速いし強い…アタシの魔法いるかった?」


 そんなのんきな感想が出るくらいオニ化したシンは圧倒的な強さを持っていた。一匹を叩き付けた後、大剣を振り下ろした勢いで空中で一回転し、地面に着地した。そして間髪入れずにまた飛び上がり魔物をお腹から真っ二つにしていた。


「っ!危ない!“ファイア”っ!」


 シンを追うように後ろから魔物が迫っていたため、アタシは火の魔法で焼き落とした。


「はぁっ!」


 シンは魔物がさっきまで追っていたのに気にした様子もなく、上昇しながらも体勢を勢い良く反転させ、同時に二本の大剣を投げた。


「投げたぁ!?」


 投げられた大剣は残りの二匹の魔物の頭に貫いた後、地面に深く突き刺さった。それから少ししてシンは見事に着地した。


「はぁ……」


 シンはその場で空を仰ぐように脱力すると、角が引っ込み片方の瞳の色も水色に戻った。その後突き刺さった大剣を回収してアタシのところに戻ってきた。


「お疲れ。これで全部?」

「お疲れ様です。そうですね。援護ありがとうございます」

「いやいや、アタシほとんど何にもしてないよ?」


 実際、アタシが倒したのは一匹だけだ。


「そういえば、アタシが一匹倒したとき別に後ろ気にしてなかったみたいだけど、気付いてなかったの?」

「いえ、気付いてました。ソラさんが倒してくれると思ったので無視しただけです」


 お、おぉ…なんか照れるなぁ…


 笑顔で真っ直ぐ言ってきたことに少しだけ照れた。それを誤魔化すようにアタシは軽く咳払いをして、話題を変えることにした。


「と、ところで、あれがオニ化ってやつ?」

「そうです。角から魔力を放出して強化された状態ですね」

「最初からやってれば一人で勝てたんじゃない?」


 あまりに圧倒的だったから、そう思わざるを得ない。


「いえ、あまりオニ化は頼れないんですよ。五体だと長引く可能性があったので温存してたんです」

「どうして?」

「先程も言ったように、オニ化は魔力を消費し続けます。それもかなり多くの。なので長期戦には向いていないんですよ」

「へぇ…無敵に見えるけど弱点があるんだ」

「そうなんですよ。それに…」


 シンが少しだけ躊躇うような顔をしたから、アタシは先を促そうとした。


「シン?どうし…」

「おーーい!!大丈夫かーー!」


 すると遠くからロッチさんの声が聞こえてきた。


「…ソラさん、行きましょうか」

「う…うん」


 そういうとアタシとシンはロッチさんのいるところに向かって歩き出した。結局その後もシンが何を言おうとしたのか聞くことは出来ずに、近くの村に到着したのだった。

第29話を読んで頂き、ありがとうございま!


大きな力に対しての制限で、一番わかりやすいのは時間制限だと思います。

そして大抵の悪役はその時間制限後にヒーローとか倒そうとします。

そう、あえて悪役の皆さんは困難な道を行くのです。

辛く険しい道を乗り越えて自分の敵を倒そうとするのです。

こう言うとなんだか正義の味方っぽくないですか?

さて、今回はこの辺で!


いつも読んで頂いてる皆さん、ブックマークして頂いてる皆さん、ありがとうございます!

次回もお付き合い頂ければ幸いです!

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