第26話
こんにちは!
明日葉晴です!
私の実家の教育方針は、基本的に放置でした。
何か頼めば動いてくれましたが、基本的にこちらが動かない限り、あれこれ口を挟んできませんでした。
お陰で気は楽だったんですけど、遠足の日に弁当が必要って言わなかったから弁当を作ってもらえなかったことがあります。
では、本編をどうぞ!
前回のあらすじ
心配を掛けた人達に挨拶に行くソラ。マリンとバウゼルの両者とも同じような反応に、この村の優しさを再確認するのだった。
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時間は思いのほか早く過ぎ、あっという間に一ヶ月。つまりアタシの剣を受け取る日になった。その間、アタシは魔法や剣術の練習をしたり、ハウンドとしての仕事をしたりして過ごした。
「お父さんっ!早く行こう!」
「おう。けど、そんな急ぐこともないだろう?」
「楽しみ過ぎて待ちきれないのっ!」
「ははっ!わかったわかった」
そう言う訳で、アタシはお父さんと一緒にビルケンさんのところに向かった。
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「ビルケンさーん!来たよー!」
「おやっさん。いますか?」
「おぉ!よく来たな!ソラの嬢ちゃんにトーマの坊主!」
店の奥から顔を出し、前と同じでやたら大きな声でビルケンさんが来た。
「アタシの剣!」
「ソラ、ちゃんと挨拶」
「あっ!ごめんなさい。ビルケンさん、こんにちは!」
「ガハハッ!元気が良くていいじゃねぇか!」
「おやっさん、こんにちは。受け取りに来ました」
「おう!ちゃんと出来てんぜ!オレも納得の出来だ!」
「ホントですか!?やった!」
「じゃあ早速来てみな!」
そう言ってアタシとお父さんはビルケンさんの後に付いて、店の奥に入っていった。
「これがソラの嬢ちゃんの剣だ!」
そう言って差し出された一本の鞘に収まった剣。アタシは恐る恐る受け取った。
「軽い…」
受け取ると想像以上に軽く驚いた。重さとしてはちょっと大きめの包丁くらいに感じられる。それこそ、持ってる柄の部分と、鞘の重さくらいしか感じられなかった。
「抜いてみな!」
「は、はいっ!」
アタシがあまりの軽さに戸惑っていると、ビルケンさんに先を促された。そしてゆっくりと剣を引き抜いた。
「……ん?」
鞘から出てきたのは薄めの板。どう見ても剣ではない。板だ。しかも鞘に対して幅が合っていない。のにも関わらず、鞘の内部には空間は感じなかった。
ん?ん?何これ?剣?
アタシが引き抜かれた剣?の意外さに呆然としていると、ビルケンさんがずっとニヤニヤしていることに気付いた。
「えっ?これ冗談ですか?」
「いんや!?冗談じゃねぇさ!ちょっとそこの台に置いてみな!」
「は、はぁ…」
言われて剣をそばにあった台へと乗せる。するとアタシの手から剣が離れた瞬間。刃の部分だと思っていた板が一瞬にして、刃が片方のみについた、日本刀をまっすぐに伸ばしたような剣に変わった。
柄の部分に付いてる、コの字の取っ手みたいなのはなんだろう?
「えっ?えっ??何これ!?」
「ガハハッ!これがソラの嬢ちゃんの為に作った剣だ!」
「何が起こったんですか!?」
アタシもお父さんも、目の前の現象に驚く。するとビルケンさんはとても愉快そうにした。
「コイツは刃の部分と柄の大部分を属性鋼で作ってある!柄と刃の属性鋼は繋がっていて、柄を握ると剣全体に属性鋼の反応が行き渡る!だからソラの嬢ちゃんが握ると、属性鋼が反応して刃の部分が芯以外見えなくなるって寸法さ!」
「な、なるほど…あれ?でも見えない剣は作らないって…」
「ん!?芯が見えりゃ間合いはわかるだろうよ!」
あー…だから作る前に、当たらずしも遠からずって言ったのか。
「それにな!コイツの本質は見えねぇことじゃあねぇ!」
「えっ?じゃあなんですか?」
刃が見えないことに気を取られて全くわからない。だからアタシは素直に聞くことにした。
「まぁまず重さが全くねぇ!それこそ、柄に一部使った木の部分と芯に使った軽量の鋼の重さだけだ!」
確かに軽い…
「この柄に付いてるやつはなんですか?」
「んあ!?ソイツぁ一応護拳だ!が、それは刃の付いてる方に付けて、どっちが刃かわかるようしたんだよ!」
「あー…なるほど…」
持つと刃の方向見えなくなるもんね。
「でだ!これが最大の特徴なんだがな!コイツに斬られた時、相手は感触を感じねぇし、自分にも伝わらねぇ!」
えっ?なにそれ、純粋に怖い。
だけど、アタシの属性鋼の反応を知った時を思い出して納得した。あの時、確かにすべての感覚はなくなっていた。
「これらの性能は、全属性持ちで適正が均等の奴にしか発揮されねぇ!つまりは実質ソラの嬢ちゃん専用だ!」
「アタシ専用…すごい…凄いっ!ありがとうビルケンさん!」
アタシが持った時真価を発揮する剣。凄く響きがいい!
「大体の属性持ちはこの剣をまともに使えんだろうな!トーマの坊主!試しに持ってみろ!」
「大体想像が付くので遠慮します」
「なんだつまらん奴になったなぁ!昔のお前なら…」
「あぁ!わかりました!持ちます!持ちますから!」
「ガハハッ!最初からそうしろよ!」
そして、渋々と言った様子でお父さんは剣を握った。
「あっつ!前より熱い!」
お父さんは剣を握った方の手首を振りながら仰け反った。
「ガハハッ!前よりも純度が高ぇのを使ったからなぁ!前の倍は反応すんぜ!」
「素で危険じゃないですか…火傷するかと思いましたよ…」
「ガハハッ!とまぁこんな風に普通なら属性が強く出てまともに振れんだろうな!」
なるほど…防犯もしっかりしてるのか…ん?あれ?
「アタシが持ってる時、他の人が触ったらどうなるんですか?」
「あぁ!そんときゃ先に触れてる方が優先される!だから心配はいらねぇ!」
「そうですか。よかった…」
仮にアタシが人を斬ったとして、その人の反応が出たらどうしようと思った。が、心配はいらないらしい。
まぁそもそも、アタシが人を斬ることはないか…
とまぁ色々わかったところで、アタシは別の思いが生まれた。
「お父さん!アタシ早速振ってみたい!」
「わかったわかった。ただし、ちゃんと鞘に入れてやれよ」
「わかってる!」
刃を出してたら危ないしね。
とりあえずお父さんはビルケンさんに剣の代金を払った。
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アタシとお父さんとビルケンさんは、店の外に出てきた。ビルケンさんは剣の出来を確認したいらしい。
「アタシは準備いいよ!」
「俺は…せっかくだから俺も自分の剣を使おうか」
「おぉ!お父さんの剣!ビルケンさんが作ったんだよね?」
「そうだ!トーマの坊主のも会心の出来でな!ソラの嬢ちゃんとはまた違うぜ!」
なるほど…だとしたらこれはなかなか面白いかもしれない…
「そうなんだ!お父さん!勝負だね!」
「あぁ。今日はどうする?」
「剣のみ!魔法なし!」
今日は純粋に剣の性能を試したい。だから魔法は無しだ。
「わかった。いつでもおいで」
「うん!行くよっ!」
アタシは言うが早いかというところで、踏み込み、斬りかかる。
「おっと!」
「んっ!」
剣が軽い。木剣よりも軽く、初速がいつもより早くなってた。
「よっ!」
「あっ!!」
しかし剣が軽い為に簡単にお父さんに押し返され、アタシは思わず飛び下がる。
「んー…早くなったけど押し負けるね」
「ガハハッ!そりゃそうだ!ソラの嬢ちゃんのは切断特化、軽量優先!競り合うんじゃなくて、一方的に蹂躙するためのもんだからな!今は鞘に入れてっからわかんねぇと思うが、速度乗せれば鉄も斬れるぜ!」
さらっと凄いこと言ったな!何!?一方的に蹂躙!?鉄斬れるの!?
「逆にトーマの坊主のは破壊特化、重量優先!一撃で戦況を変える為の剣だ!」
何それ!カッコいい!けどまぁともあれ…
「わかった!まぁもともと競り合うつもりなかったけどね!じゃあ本領発揮ということで…」
アタシは剣を腰の辺りに持っていき、居合いの様に構える。
「ほぉ?あれは…」
「はぁっ!!」
アタシは体を落としながら踏み込み、腰の剣を斬り上げる。
「っつ!」
防がれたっ!
アタシは斬り上げた勢いそのままに後ろに再度下がった。お父さんを見ると、かなり驚いた様子でアタシを見ていた。
「ソラ…今のって…」
「うん。先生の技。教えてもらったの」
「やっぱり…」
見覚えがあるのか、お父さんはなにか思い更けるように呟いた。
「ガハハッ!あのバウゼルが人に剣を教えると言った時は驚いたが!まさか技まで教えるとはなぁ!」
アタシとお父さんの間に生まれたなんとも言えない空気を、ビルケンさんは壊してくれた。
「ビルケンさん、どういうことですか?」
ついでに気になることを言ったので聞いてみることにした。
「そのままだ!アイツァ元々、人に何か教えるたまじゃねぇんだよ!ましてや自分の技を教えるなんて考えられなかった!そこのトーマの坊主でさえ、バウゼルに技は教わってねぇ!」
えっ?お父さんをあれだけ誉めてたのに?
「お父さん、本当なの?」
「本当だよ。先生は剣術は教えてくれたけど、技は教えてくれなかった」
意外だ…
「だからソラ、俺は今、親で大人なのに年甲斐もなく嫉妬したよ」
お父さんは照れたようにそう言った。そして、すぐに真剣な顔に戻った。
「そして、今から見せるのは先生から盗んだ技」
そう言ってからお父さんは、アタシがさっきやったように腰に剣を構えた。アタシは剣を前にして構え、迎え撃つ体勢をとった。
「『断空』」
お父さんがそう呟いたと同時に、アタシは強い衝撃を受けて後ろに飛ばされた。
「かぁっ…!」
なんとか空中で体勢を整えて、着地する。
剣に当たったから…いや、剣に当ててくれたから手が痺れただけだけど、まともに当たってたらどうなったか…
正直何が起きたかわからなかった。お父さんの今の体勢をみる限り、横に斬ったのはわかる。
「今のが、俺が唯一バウゼル先生から覚えた技。まぁそもそも、俺は先生と違って速さがないから、大体の技は使えないけどね。それも教えてもらえなかった理由にはならないか」
「…お父さん…ちょっと洒落にならない…よ?」
「ごめん…大人げないってわかってるけど、どうしてもね」
なるほど…それほど悔しかったのか…ならしょうがないかな。
「わかった。許してあげる。一応、手加減してくれたみたいだし」
「ありがとう」
「その代わり、アタシももっと本気で行くよっ!」
「あぁ…おいで!全力で!」
そのあと、アタシは速さで、お父さんは力でお互いの剣術をぶつけ合ってから帰った。因みにビルケンさんは最後まで見届けてた。
まぁ自分の家の前だしね。
26話を読んで頂き、ありがとうございます!
ソラちゃんの剣がついに完成です!
ファンタジーの、ファンタジー素材による、ファンタジーな武器です!
相手は斬られた感覚がないっていうのは、お前はもう…を量産ですね!
しないですけど、はい。
さって!次回から三章に入ります!
また、設定紹介も作成中です!そのうち公開します!
では、次回もお付き合い頂ければ幸いです!




