第21話
こんにちは!
明日葉晴ですっ!
よかれと思ってやったことが思わぬ悲劇を生むことがあります。
私がある日友人Aの家に行った時、私以外の来客がありました。
何やら重要な人っぽかったので、私が気を遣ってお茶を出したんです。
私はその時転んでその人にお茶をぶっかけてしまいました。
やっぱり慣れない事はするものじゃないですね。
因みにその人は笑って許してくれました。
では、本編をどうぞ!
前回のあらすじ
ついに魔物の群れとの戦闘に入るソラ。本当の戦場と言うものを目の当たりにし、怯みつつも役割をこなす。しかし、人が目の前で傷つく事に慣れていない為に、役割外の事も行ってしまう。それを班長に咎められ、自らの役割に注力し、部隊を勢い付かせる。だが勢いが付いたのも束の間、大型の魔物が接近してきたのであった。
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大型の魔物が出現してから、しばらくしないうちに前線は乱れ始めた。
「うわぁぁぁ!」
「くそぉぉ!」
尋常じゃない魔物の数に加え、単体でも一つ班と渡り合える程の魔物が暴れる。
「総員!戦線を下げろ!一度立て直す!支援班!壁用意!」
「「「戦闘支援!壁用意!…発動!」」」
「「「“アースウォール”!」」」
戦闘支援の人達によって、下級魔法の“アースウォール”が唱えられる。いくつもの土の壁が、前線と魔物の群れの間に作られていく。
「今のうちに下がれ!誰一人置いて行くな!」
皆が必死に仲間を庇いあい、戦線を下げて行く。だけど…
「ガァァァ!」
「シャャャャ!」
作り上げられた壁が、次々に大型の魔物によって破壊され、徐々に距離を詰めてきた。
やがて、魔物の猛威は前線の一番前にいた部隊に届いた。
「うわぁぁぁ!」
「あぁぁ!」
部隊の人達の悲鳴が聞こえる。
いや…
「ちくしょぉぉ!」
いやぁ…
「俺に構うなっ!行けぇぇ!」
いやあぁ…
「いぃやあぁぁぁっ!“アァァァス”ゥゥゥゥッ!」
アタシは絶叫とともに初級の土魔法を唱えた。無我夢中に、ただひたすらに力を込めて。
ズズズズゥゥンッ!
すると魔物の群れを押し退け、前線部隊と群れを分断するように山がそびえ立った。
「ソラっ!」
「お父さん…」
「今は何も言うな。とにかく撤退するぞ」
「うん…」
アタシが出した山により、魔物の進行が止まり無事に戦線を下げる事に成功したのだった。
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「報告します!負傷者多数!死者は幸いにもいません!」
「うむ。わかった。ひとまず休んでくれ」
「はいっ!」
戦線をだいぶ町の近くまで残し、部隊は態勢の建て直しに入った。アタシはお父さんの隣で静かに報告を聞いていた。
よかった…死んじゃった人はいないんだ…
「ソラ君、君には本当に助けられた。お陰で死者を出さずに済んだ。ありがとう」
「いえ…アタシは…」
アレができるならアタシはもっと早くにやるべきだった…
「ソラ、いいんだ。自分を責めるな」
「うん…」
お父さんはアタシの思った事を察したのか、励ましてくれた。嬉しい反面、それでもアタシは後悔していた。
「ソラ君、あんな状況になるなんて誰も思わなかった。誰もが逃げるしか出来ないなかで、君は自分の出来ることをやったんだ。誰も君を責めはしない。仮にいたとしても、私が責任を持ってさせない」
「ありがとう…ございます…」
「うん。ソラ、よくやった。さすが俺の愛する娘だ」
ナノ町の隊長さんから慰められ、お父さんに抱き締められる。
温かい…生きてる…
アタシはただただ、助かったことに安心した。
「ところでトーマ殿、これからどうする?」
「そうですね…大型が複数同時は流石に厳しいものがありますね…取り巻きもまだ数多く残っていますし…」
「問題は山積みと言ったところか…これ以上戦線を下げるのも危うい」
「それに、いくらソラが山を作ったといってもいずれは越えられるか、回り込まれるでしょう」
「そうなる前に北の部隊が応援に来られればいいのだが…」
「先程伝令がありました。北も現状で手一杯のようです。押し負ける程ではなさそうですが、こちらに回す余力は無いそうです」
「そうか…」
お父さんと隊長さんが沈黙する。
「あの…アタシがまた山を作ります…それで時間が稼げるなら…」
アタシは勇気を出して伝えた。しかし、二人は難しい顔をした。
「ソラ、いくらソラの魔力が桁外れだとしてもダメだ。限界がわからないのに時間稼ぎしても意味がない」
「なら、焼き尽くす」
「それもダメだ。ソラの魔力が持つ保証がない。もし失敗したら真っ先に危ないのはソラなんだ。それは兵士としても、親としても許可出来ない」
「うむ。それにグランドサーペントは脱皮をする。燃えても脱皮をされれば意味がない」
「なら…」
「ソラ、無理は良くない。考えてくれるのは有難いよ。でも自分だけ犠牲になるのはダメだ」
お父さんに釘を刺され、アタシは黙った。
「ふむ。しかし振り出しに戻ったな」
「そうですね。現状では圧倒的に戦力が足りない」
「せめてもう一部隊あれば…」
「無いものを考えても仕方ありません。現在の残り戦力を整理しましょう」
「そうだな。今残っているのは…」
お父さんと隊長さんが再び打ち合わせを始めた。その時…
「ほ、報告しますっ!山を回り込んだと思われる魔物の一部が町の外壁を破壊っ!現在町の中に進行し始めましたっ!」
「なんだとっ!?」
山を回り込んでって…アタシがやったから…!
アタシは頭を過った後悔を一旦片隅にやり、考えるまでもなく反射的にお父さんの下を飛び出した。
「ソラっ!」
「待ちなさいっ!」
お父さんと隊長さんの制止を無視して走り出す。
「“ウィンド”!」
さらに風の魔法も使い加速して、最速で町に向かう。
アタシのせいで…一刻も早く行かなきゃ…!
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町に着くと、端的に言えば荒れていた。綺麗に均されていた道は魔物の足で抉られていて、建ち並ぶ店や家は破壊されていた。
アタシのせいで…アタシのせいで…!アタシのせいでっ!
町の中を走る。幸いにも、侵入した魔物は多くないようで、一体一体が好き勝手に暴れているだけで、それを通りすがりに倒しながら進む。だけど…
せっかく綺麗な町だったのに…!アタシがっ!
アタシの気持ちは晴れることはなかった。
「はぁぁっ!」
一体、また一体と目に付く魔物を倒し、町を走る。
「きゃあぁぁっ!」
逃げ遅れた人が…!?
アタシは声のする方に向かった。
「誰かぁぁ!」
女の人が狼の魔物から逃げていた。
「やめてぇぇ!」
狼の魔物の首を落とした。
「あ、ありが…」
「すいません…」
アタシは女の人のお礼を聞かずにまた走り出した。
アタシは…お礼を言われる立場じゃない…!
「“ウィンド”…“ウィンド”…“ウィンド”…!」
最早走っているというより、飛んでいるという方が合ってる形で町を進む。
「っ!」
魔物を切り進む風になり、町を進む。やがてよく知る道に出た。
ゾーラさん…
避難するとは言っていたものの、不安になりアタシはこの町で知り合った人のいた場所に向かう。
ちゃんと避難したよね…?
だけど、そんな不安を嘲笑うように聞いたことのある声が聞こえてくる。
「こっちにくるんじゃないよっ!」
なんでっ…!?
「ゾーラさんっ!」
「ソラちゃん!?」
アタシはゾーラさんに迫っていた猪の魔物を切り飛ばし、ゾーラさんに駆け寄った。
「なんで逃げて無いんですか!?」
それでゾーラさんが死んでしまったら…
ゾーラさんはアタシの問い掛けに笑った。
「だってもしこの店が壊れたら、ソラちゃんが来れないだろう?」
そんな…
「ゾーラさん…ごめんなさい…ごめんなさい…!」
「泣かないで、ソラちゃん。ソラちゃんのせいじゃないだろう?」
違う…だって…
「アタシのせいなんです…アタシがっ!」
アタシがゾーラさんに、アタシの罪を言おうとした時…
「キシャァァァッ!」
「ソラちゃん危ないっ!」
大型の蛇の魔物が背後から襲い掛かってきた。それをゾーラさんが庇おうとした。
「あっ…!」
魔物の巨大な口がゾーラさんに向けられる。
ダメ…
全てがスローモーションに感じられた。
ダメッ…!
アタシのせいで…人が…ゾーラさんが…!!
「ダメェェェェェェ!!“ウィンド”ォォォォ!!!」
がむしゃらに力を込めた魔法が突風となる。魔物の巨体が吹き飛ばされ、建物に叩き付けられる。
「“ウィンド”ッ!“ウィンド”ォッ!!“ウィンド”ォォォォッ!!!」
アタシは魔物を更に押し潰すように突風を起こし続けた。
「ソラちゃん!もういいんだよ!ソラちゃんっ!」
魔法を叫び唱え続けるアタシをあやすようにゾーラさんは抱き締めた。
「ぞぉらっ…さぁん…」
「助けてくれてありがとう。もう大丈夫だから泣かないで。ほらかわいい顔が台無しじゃないかい」
「だってぇ…ぁたしぃがぁ…」
「大丈夫。ソラちゃんのせいじゃないよ。ソラちゃんを責めるヤツがいたら、ワタシがぶん殴ってあげるから。ね?」
「あぁぁぁ…」
「よしよし。大丈夫。大丈夫」
その後、アタシはお父さんが来るまでゾーラさんの胸でなき続けた。
21話を読んで頂き、ありがとうございます!
ソラちゃんは叫んで魔法を放つ系ヒロインです!
嘘です。ごめんなさい。
今回は非常に心苦しかったのですが、ソラちゃんに追い詰められてもらいました。
実はこれは緩和させた方で、これ以上やると私が持たなかったのでやりませんでした。
正直もうやりたくないです。
ソラちゃんの前に私が絶叫しそうでしたよ。
ではでは、次回もお付き合い頂ければ幸いです。




