第16話
こんにちは!
明日葉晴です!
RPGで新しい町に行ったらどうしますか?
私は隅々まで探索する派なんですが、友人Aはさっさと進めちゃう派だそうです。
理由を聞いたら、そういうのは二周目でやりたいそうです。
さておき、本編をどうぞ!
前回のあらすじ
ナノ町へ向かう道中。紅一点のソラは、馬車の中ちやほやされつつ応援先へと向かう。途中、魔物と何度か遭遇しつつ、サポートの立ち回りを学んでいった。また、道中の会話では、村の人々からのトーマへの評価を聞き、父へ尊敬の念を深める。そうして、平穏ではないものの順調に移動は進み、予定通りに町へと到着するのだった。
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町に到着後、お父さんを除き、アタシたちは今回のために作られた仮設の駐屯所で荷物を降ろし、一時休憩となった。お父さんは町の隊長さんに挨拶しに行った。
夕食までは自由時間になってるから、せっかくだからアタシは町の様子を見て回ることにした。
「町って言いうだけあって、ちゃんと整備されてるなぁ…うちの村とは大違いだ」
食べ物屋、雑貨屋、道具屋や武器屋…大通りっぽいところにはお店がいっぱい並んでいる。建物も好き勝手建てたみたいにあるわけじゃなく、ちゃんと入口の向きが統一されてて、きれいに建てられていた。道も、土がむき出しではあるものの、しっかりと均してあるみたいだった。
「村と町でこんなに違うとはね…。町を取り囲んでる塀も村より立派だし、やっぱりお金の差かぁ…」
世の中って世知辛い。
「そういえば、思ったより町の人達は落ち込んでない…っていうか不安に思ってなさそう?」
魔物が活発化しているって情報は流れているはずなのに、町の人達はなんだか普通そうに過ごしているように感じた。不思議に思いながら町をぶらぶらしていると不意に声を掛けられた。
「そこのかわいいお嬢ちゃん。見かけない顔だね。迷子かい?」
声の方向を向くと、なんかのお店の中からおばあちゃんがニコニコしながらアタシを見ていた。
「迷子じゃないです。今日町に来たばかりで適当に散歩してたんです」
「今日来たばかり?こんな物騒な時期に一人でかい?」
「その物騒な事態を解決するために応援に来たんです。今は自由時間なので一人ですが」
「アンタみたいな小さい子がかい?」
「えぇ…まぁ一応…」
おばあちゃんは驚き半分、疑い半分って感じでアタシを見た。まぁアタシの見た目じゃ当然の反応だけど、このまま迷子扱いされるのも嫌だったから、どう説明しようか考えていたその時。
「泥棒!!」
遠くの方から叫び声が聞こえてきた。見ると男の人がバックを抱えて、猛ダッシュでこっちの方に走ってきていた。
「誰かソイツを止めて―!!」
男の人は意外に身軽で速く、次々と人をすり抜けてきた。
「止めなきゃ!」
「お嬢ちゃん!?危ないよ!」
アタシはおばあちゃんの声を無視して男の人の進行方向に出た。
「どけ!ガキがっ!」
男の人は懐からナイフみたいなのを取り出して、アタシに向かってきた。それでもどかないアタシに向かって男の人はナイフを振りかぶる。
「お嬢ちゃん!!」
おばあちゃんの悲鳴がまた聞こえたと同時に、アタシは男の人に突っ込み、ナイフが振り下ろされる前に男の人の腕を蹴り飛ばす。
「はぁあ!」
「ってぇ!」
ナイフを落とし怯んだ男の人の腹に、もう一撃蹴りを加える。
「せいっ!」
「ぐふっ!!」
ドスン…
男の人はその一撃で気絶し、地面に倒れた。遅れて女の人がやってきた。
「あぁ!私の鞄!止めてくれてありがとうございます!怪我はないですか?」
「怪我はないです。鞄が無事でよかったですね」
「はい。小さいのにお強いんですね。本当にありがとうございました。何かお礼を…」
「あぁ、いえ、お礼はいいです。お気持ちだけで…」
「でも…」
「本当にいいですからっ!」
「わかりました。今回は本当にありがとうございます」
女の人は去っていき、周りにいた人からは拍手をされた。少し恥ずかしい思いをしていると、衛兵っぽい人達がやってきた。
「盗難をした人はコイツですか?」
「あ、はい」
「分かりました。おい!そいつを縛って連れていけ!」
衛兵に縛られている時、男の人が目を覚ました。
「うぅ……はっ!くそっ!はなせっ!どうせ魔王が復活して世界が滅びんだっ!好きにしたっていいだろっ!」
魔王…?滅びる…?何のこと…?
「うるさい!おとなしくしろっ!」
男の人が騒ぎながら、衛兵に連れていかれた。
「この度は、事件解決に協力頂きありがとうございます」
衛兵の人が一人残ってアタシに頭を下げてきた。明らかに子供に見えるアタシに対しても対等に接すとは珍しい。
「いえ、たまたま居ただけですので」
「それでも本来ならば我々が未然に防がなくてはならないものなので。ところで、あなたはもしやニィガ村の隊長殿の娘さんでは?」
「はい…そうですが?」
「やはり!応援に来て頂いた上に、事件解決にも協力して頂き…本当にありがとうございます。あなたのお話は我が隊の隊長より伺っています。今回、宜しくお願い致します」
なるほど…アタシを知っている人か。なら対等に接するのも…いや、それでもこんな子供にこう接するのは珍しいか。
「あぁ、はい。微力を尽くします」
「はい!では、自分はこれで」
何とも礼儀正しい衛兵さんは去っていき、入れ替わりでさっきのおばあちゃんがやってきた。
「お嬢ちゃん大丈夫かい!?怪我は!?」
「あ、はい。大丈夫です」
「そうかい…よかった…お嬢ちゃんは強いんだねぇ。さっきは疑ったりしてごめんよ」
「あー…慣れてるので大丈夫です。じゃあアタシはこの辺で…」
「待ちなよ」
アタシは苦笑しつつ、その場を去ろうとしたらおばあちゃんに止められた。
「疑ったお詫びにうちでなんか食べていきな。もちろんお代はいらないよ」
「いえ、大丈夫です…」
さっきも言ったけど慣れてるから問題ない。
「いぃや。ワタシの気が済まない。町を助けに来た人を疑って、ただで帰しちゃ恥だからね!さ、おいで!うちの焼き菓子は絶品だからさ!」
「あの…ほんとに…って!あぁ…!」
おばあちゃんはアタシの話を聞かずに、手を引いて歩く。てか、見た目おばあちゃんなのに力が強い。
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そんなこんなでおばあちゃんのお店でお菓子を食べていた。かなりおいしい。強引に連れてこられたけど、来てよかったようにも思う。いろいろな話をして結構盛り上がっていた。
「へぇ。ソラちゃんはニィガの隊長の娘さんなんかい。そりゃ強い訳だね」
「お父さんを知っているんですか?」
「この町にも噂が届くくらいにはね。ここから東に行くと領主が住んでる街があってね。一度そこの武術大会に出たらしいんだ。そこで優勝したって話が有名だね。知らなかったのかい?」
「へぇ…全然知らなかったです」
その話は村の人からも聞いてない。なんでだろ?
「そうかい…まぁ…うん。恥ずかしかったんだろうね。お、お代わりいるかい?」
「あ…頂ます」
「あいよ」
お菓子のお代わりをもらった。おいしいからいくらでも食べられそうだ。
「それにしてもこんな時期に泥棒なんて…全く何を考えてんだか」
さっきの話だろうか。丁度いいから町で思ったことを素直に聞いてみることにした。
「そういえば町は思ったより落ち着いてますね。魔物が活発なのに」
「あぁ、まぁ、不安っちゃ不安だけどね。けど、活発になることもなくはない話だし、塀も破られたって話は聞かないからね」
「活発になるのって珍しくないんですか?」
「数年に一度くらいはね。珍しいっちゃ珍しいけど、なくはない。ってのがほんとのところさ」
「なら、なんで今回はこんなに騒がれてるんですか?それこそ、新しい制度ができるくらいに」
なくはない。その程度ならこんなに国を挙げての新制度は出来ないような気がする。
「そのことかい。さっきも言った通り、数年に一度ならあるって程が普通なんだけどね、最近ではそこらで頻繁に起きてるから。それで国が異常だ、って騒いでんのさ。ワタシにしてみりゃそんなこともあるだろうよって思うし、実際、町の人も大体そう思ってんのさ」
「じゃあ、さっきの男の人が言ってた魔王がどうのっていうのは?」
「それも、国があんまりにも騒ぐもんだから、どこぞの誰かがデマ流したんだろうよ。魔王なんてもう何千年も前に死んだのに、今更生き返りゃしないって」
なるほど。まとめると、魔物の活発はなくはない。それで町が危なくなったことはないから意外と普通。最近になっていろんなとこで活発だから国の偉い人が騒いだ。その余波で一部の人たちが世界の終わりだと騒いだ。こんなとこかな。
どこの世界にも、ちょっと異常なことが起こるとこの世の終わりだと騒ぐ人がいるんだなぁ。
「暗い話はここまでにしようじゃないか。お代わりいるかい?」
「はい。頂きます」
そうしてその他にも世間話をして、結局自由時間いっぱいに、おばあちゃんと過ごした。その後、時間ぎりぎりに駐屯所に戻った。余談だけど、お菓子は合計五皿ほど食べた。
16話の読了、ありがとうございます!
今回は町で定番のひったくり撃退イベントです。
書いて思ったんですが、このイベント汎用性が高いですね。
いろんな話のつなぎに使えそうです。
それでは、これからもお付き合い頂ければ幸いです。




