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光明2

 京大の北西角、東大路と今出川通が交差する百万遍から今出川通を真っ直ぐ歩いて鴨川にかかる賀茂大橋のかみ辺りで高野川と賀茂川が合流している。橋から二百メートル北が京阪出町柳駅で、合流地点の逆三角形が鴨川デルタと呼ばれている。桜木のハイツが有る高野川の手前から入り、駅裏の込み入った辺りまで、ずっと桜木の女性観を一方的に美紀に語ったが生返事ばかりされている内に着いてしまった。

 居るだろうかとまた不安げな眼差しをする美紀に、新学期だけどまだ授業は始まったばかりできっと部屋で本でも読んでると言ってやった。すると美紀は急にどうしょうと言い出す始末で、さっきまでの自信は何なのと言いたい。とにかく階段を上がり直ぐ横の部屋の前に二人は立った。

 躊躇(ためら)う美紀がじれったくて、夕紀がドアチャイムを鳴らすと、面倒くさそうに半開きで夕紀の顔を確認すると、急に閉めかけるのを素早く、夕紀は片足を踏み入れて阻止した。夕紀の片足を見て観念して桜木はドアを開けた。

「何だ、急にどうした」

 と苦笑いしながら二人を招き入れた。どうも彼にすれば昨日の今日で、二人ともやって来るのを予感できない男だった。それが証拠に夕紀を見てから後ろの美紀を見つけると、顔付きが(わず)か一瞬ではあるが、一部の表情筋が微妙に動いたのを夕紀は素早く捉えていた。後ろの美紀に見せたかったが間に合わない。

「どうしたの、授業が始まらないと大学には出られないの」

 招かれた半畳ほどの三和土(たたき)から部屋へ上がりながら、桜木の背中に向かって夕紀は語り掛けた。


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