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光明1

 今から突然押し掛けてもあいつは居るだろうか、と美紀は急に気弱な事を言う。なら電話したらと言えば、断られれば困るから否定する。桜木がどう反応するか美紀はかなり意識している。これが愛の原動力だが、しかしこれは極端な憎しみにもなる。それをコントロールするのも愛だ。だからこれほど厄介なものはない。美紀はそのあやふやなものを手に入れようとしている。

 美紀がどう豹変するかは全て桜木次第なのに、今はその結果を怖れない。この感情が乱れ出すと取り返しがつかない。だが美紀の足取りはおぼつかないまでも歩みを()めることは無い。冷たくされればこんな冒険は避けて拒むべき処だ。真意を隠したまま迎入れる桜木に、その気がないのなら罪作りなのは桜木だろう。

 このままルンルン気分で向かう美紀を夕紀は危惧した。あたしは免疫があるが、恋に免疫がない美紀はズタズタになる。

「美紀、浮かれていると危ないわよ」

「どう危ないのよ。夕紀は相手にしてもらえなかったんでしょう」

 あたし個人にではない。あいつは女に対する認識がキッチリ出来ていない。その点だけなら米田の方がまだしっかりと女を見ている。

「実在の女性から目を(そむ)けているあいつの女性像は、小説の中でしか存在しないんだ」

「それは夕紀の体験談であってあたしは別よ」

 あの手の男性はちょっとなよっとしている女よりも、男みたいに一本筋の通った考えを持った女性が、彼の対象相手になり得ると夕紀は見ている。美紀はそれには当てはまらない可愛いだけの女だった。とにかくあいつは読書することに依ってのみ、自分の世界に逃避出来る。ただその悦びにいつも浸っているだけの男だと、結論付けても美紀は一向にその歩みを止めなかった。


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