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東方幻想腐女録  作者: グラたん
第一章
60/119

第五十四話 ビグンビグン((”=Д=*”))b

グラたん「第五十四話です!」

メンタ「酷いタイトルですね」

 中央都市で起きた陰陽師のイベントも終わり、時期はいよいよ七月初頭。博麗神社の巫女服も半袖と袖なしを使い分けるくらいには暑くなってきており、居間も扇風機が回っている。

 気温は28度。これが30度を超えればクーラーが稼働するのだがそれ以下であれば電気代節約のため使う事は出来ない。


「夏☆コミ!! ハイ、遂にやってまいりました夏コミの季節です!」


 メンタのテンションは相も変わらず高く、夏の暑さに拍車をかけている。


「うん。……ところで、それは何?」


 ここには修行がてらシンと魔理沙もおり、縁側に座ってみーんみーんと煩わしいセミの声を聞いていた。


「あ、これですか? これは『一口サイズお菓子』というものです。主に饅頭や御煎餅が入っているご老人の必需品です!」

「饅頭はこしあんだろ」


 魔理沙が適当に一つとり、口の中に放り込む。


「うん。ウマウマ」

「ウマウマ」

「ウマウマ。紫さんも食べますか?」


 魔理沙とシンの隣には紫が何時の間にか座っており、あらかじめ用意していた冷たい麦茶とお菓子を渡す。


「いよいよ気配察知が出来るようになってきましたね。貰います」


 紫も適当に見繕って食べ、メンタはやる気満々と言った様子で尋ねた。


「稽古つけてくれに来たんですか?」

「ところが残念なことにお仕事の方です。霊夢は?」


 そういえば辺りに霊夢の姿が無い。もよやお堂や神社の掃除をしているわけでもないだろうと紫は思い、メンタは声を上げた。


「霊夢さん!」


 近くの部屋の壁が叩かれ、いわゆる壁ドンを間近で見て全員が溜息を吐いた。


「この通りです」

「あいつ……駄目だ、マジでクズニート化しているぜ」

「典型的な引き篭もりですね」


 紫も嘆かわしいとばかりに涙を拭う。


「ううっ、神社もすっかり汚れてしまいましたね。パルが居た頃はあんなに輝いていたのに……」

「無茶。パルも紅魔館の仕事がある」


 メンタが夏休みで博麗神社に帰って来たことでパルも紅魔館へ戻ってしまっている。博麗神社もしばらくはお客の足があったのだがメンタは夏コミの用意が忙しく、霊夢も引き篭もっているため客足は遠のいていくばかりだ。


「はぁ……。まあ、とりあえず三人にお仕事です。無縁塚についてなのですが、情報は行き届いていますか?」


 紫が問うとメンタとシンは首を傾げ、魔理沙は鷹揚に頷いた。


「ある程度は――って、オイ。特にメンタ、新聞見て無いのか?」


 魔理沙はメンタが知らないことに驚く。


「クソ烏が持ってくる新聞ってほぼ『メシウマ』な奴が多くて要らない情報ばかりだったので見てません」

「否定はしないが……なら説明し直しだな。そもそもの無縁塚の事件というのはメンタとパルと出会う前に起きていた事件で、山数個分が消え去っていたという怪事件だ。最近になってようやく調査が進んでいるみたいで天狗研究員が動いているらしい」


 研究員と言っても実際の調査は哨戒天狗や手下の妖怪に任せいるため情報の意図的な操作もあって難航しているのが現状だ。周囲の物品の検査は紅魔館や香霖堂に依頼されているため尚更遅くなっている。


「付け加えるとメンタの証言と実際を確認したところ、メンタたちがこの世界にやって来た時とちょうど符号します。つまり――」


 お前たちが犯人だろ、と魔理沙から視線で疑われる。


「オレ、知りませんから。何も」


 メンタに心当たりはなく、パルにも心当たりはない。


「別に貴方を犯人にしたところで事態がどうなるわけでもありません。そもあそこは人食い妖怪の無法地帯であったため私たちからすれば一斉駆除する必要が無くなったと解釈しています」


 その言葉に魔理沙は首を傾げた。


「それじゃ仕事って何なんだ? 駆除しなくて良いのなら依頼自体無くても良いんじゃないか?」

「ええ。ですが、それとは全く別に地底から妖怪が溢れてきているのです。それも無縁塚を経由して此方に向かって来ています」

「はっ! ということは何もない更地だから好き勝手ブッパしても良いということですね!」


 メンタが急に眼を見開いて両手を握った。紫も問題無いと首肯する。


「構いませんよ。どうせ元々一回は更地にする予定でしたから」

「では行きましょう! さっさと終わらせてしまいましょう!」

「霊夢さんは?」


 シンが問うと魔理沙は首を横に振りつつ肩も竦めた。


「アレが出る幕もないな。私たちだけで十分だ」

「準備が出来たのなら送りますよ」

「迎えもお願いします!」

「はいはい」


 スキマが開き、後には紫一人だけが残った。近くの部屋からはゲームの音と連打音が響き、紫はちょっと溜息を吐いて過去に思いを馳せた。

 過去、パルが居た時以前に博麗神社が盛り上がっていた時期はいくつかある。その中でも5代ほど前の博麗の巫女の時代は参拝客が多く繁盛していた。

 現在に戻ってみれば客はおらず人っ子一人もいない。

 ――そろそろ変え時かしらねぇ……。

 博麗神社は元より博麗家の物だが血を継ぐ者がいなければ世襲しても良いことになっている。もしくは血族の者が巫女を出来なくなった場合も可能だ。

 紫は悩んでいた。確かに霊夢が今まで博麗神社を守って来た功績は大きいが人脈が大きいわけではない。友好関係も人類上位勢や妖怪の方が多く、里人や町人との交流は薄い。その点メンタはどちらにも顔が効いて収入も多い。

 ――でもメンタはまだ不安があるし……。

 収入だけでなく巫女、陰陽師の才能もメンタの方があるが先の事件で情緒が著しく不安定だということが危うい。そして姉のパルも幻想郷を物理的に終わらせられるという意味で危うい存在だ。

 ――メンタが猛毒でパルが爆弾、かしら?


「どちらにしても、今はまだ……ね」


 横目で霊夢の部屋を見て、視線を手元のお茶に戻した。





 スキマで移動してやってきた場所は無縁塚だ。元はいくつもある地球や異世界から物や人が流れ着く場所で時にはお宝もあったりしたのだが、謎の事変のせいで辺り一帯からゴミも妖怪も人も消えてしまっており、今は僅かばかりのガラクタが流れ着いている殺風景な場所となっている。


「よっと、到着しました」

「ん」


 メンタたちが降りたった場所は無縁塚で最も辺りを見渡せる高丘だ。


「で、あれが例の妖怪共か……って何か様子変じゃないか?」


 眼下で待機しているのは何万という妖怪の群れだ。


「精鋭気取りですかねぇ? 妖怪の分際で」

「その実、精鋭だったら私たちだけじゃ荷が重い。撤退も視野に入れた方がいいな」


 ざっと見ただけでも5万はおり、騎乗している妖怪や装備の良い怪物もいる。いくら魔理沙たちが強いと言っても不意を打たれて殺されることだってある。


「――でもここで食い止めないと里への被害が大きくなる」

「それもそうだが、私は一時の時間稼ぎのために死ぬつもりはないぜ」

「それは同意します。夏コミが控えているのに死ぬとか馬鹿馬鹿し過ぎます」


 と言いつつも戦闘準備を始め、シンも召喚符を空高く放った。


「……召喚」

「お前等、本当に妖怪退治する気あるのかと疑いたくなるな」

「そう言っている内にもうそこまで来てるわよ」


 フールエンリルたちも妖怪の群れを見渡して器用に口笛を鳴らして見せる。


「しかし、目の前に美味そうな少女たちがいるのに叫びもしないのはやっぱりちょっと変だぜ」


 メンタが半眼でフールエンリルたちを見上げた。


「むさい獣野郎と食うに食えないガシャポンがいるからじゃないですかね」

「お前の軽口は本当にレパートリー多くていっそ関心するぜ」


 魔理沙は嘆息しつつも妖怪の方を見て、まだ動かないのを良いことにメンタに指示した。


「ともあれメンタ、一回奴等の脳を見てくれ」

「凌辱プレイですね! いやっほい!」

「もはや何でもありか」


 再度の嘆息を聞き流しながらメンタは妖怪に向けて右手を伸ばした。


「能力開放!」


 妖怪の脳は小さく、単純な命令以外は受け付けないため洗脳系統の能力を使ってもロボットのような動きしか出来ない。

 ――洗脳……はされていないようですね。自我の統率――というのがベターでしょうか? それとも……いえ、何にしても何等かの精神系統の能力で操られていると見るべきでしょう。しかしこうも殺意が無いと逆に不気味ですね……。能力の逆探知でもやってみましょうか。まずは張り詰められている脳裏の回路を腐らせて無防備にして浮き出た線を辿って――。

 脳内を探索していると不意に洗脳者と思われる灰色のフードを被った人を見つけ、その糸を辿って術者の方へ手繰っていく。



 同時刻。月面では妖怪たちを月面の科学で制御していた灰色の人がメンタの存在に気づき、万が一のために用意していたカウンターを発動させる。


「チッ、このっ」


 手繰っていた糸が切られ、逆に拘束する糸が放出される。メンタは間一髪で糸の手を離して拘束を避けるが灰色の人もそれを読んでおり、別のシステムを起動する。此方は精神攻撃をした者に対して特殊な音波を浴びせて永眠させる効果があり、メンタの脳を強打した。

 ――あ、切断されました。それにわざわざカウンター撃つ余裕までありましたか。やりますね。

 音波が直撃する直前でメンタは意識を起こし、眼を覚ます。


『グオオオオオオオオ!!』

「くっ……」


 メンタは立ち眩みのような感覚に襲われるが頭を振るって払い、叫ぶ方に眼を向ける。


「オイ、何か急に雄たけび上げだしたぞ。何したんだ?」


 フールエンリルが聞くとメンタは弾幕を取り出しつつ答えた。


「あの妖怪たちは洗脳というか統率されていたみたいなので回路をちょっと腐らせて通りやすくして術者を逆探知してみたんです。尤もブロックされた上にカウンターされましたけど」

「そのカウンターの代償がアレ?」


 迫る妖怪を見下ろし、シンは両腕で我が身を抱いて寒気を抑える。


『グオオオオオオオオ!!』


 今はメンタ、魔理沙、フールエンリルたちがいるから良いがもしあれを一人で倒せ等言われたら、頷いてメンタのように喜々として飛び込んでいけるだろうか?

 否だ、とシンは思う。下位上位含めて1万体以上いる妖怪を滅ぼすなど無理な話だ。


「イエス! では、爆殺しますね! 爆符「連鎖する(アプダクション)雷轟爆裂(・ヴィーナス)」!」


 メンタが弾幕を指定し、一切加減の無い大爆発が妖怪の群れを中心に巻き起こった。妖怪の血肉が上空に巻き上がり、辺り一面に血の雨が降り注ぐ。


「相変わらずの手並み」


 シンは引き攣った表情でメンタを褒めるが、本心は末恐ろしかった。


『グオオオオオオオオ!!』


 いつもなら全部爆散させているはずなのに今日に限っては妖怪が突撃してくる様子を見て魔理沙は意外そうに呟いた。


「ん? 撃ち漏らしたか。珍しいな」

「精神系統の能力者は自身の精神をすり減らして能力を使用すると聞いたことがある。その上カウンターまで食らって立って居られる方がおかしい」


 ガシャポンドクロが過去のレリミアの様子を思い出して告げる。


「あの程度なら俺たちだけで十分だ! 行くぜ!」

「ええ!」


 先んじてフールエンリルたちが突撃し、妖怪共を屠っていく。それでも撃ち漏らしはあるため魔理沙が弾幕を放ち、シンが術符をぶつけて倒していく。


「うぐっ……」


 その隣でメンタが頭を押さえて眼をきつく瞑り、よろめいた所を魔理沙が支えた。


「大丈夫か? お前が倒れそうになるところなんて初めて見たぞ」

「思っていた以上に手痛い反撃を食らってしまったみたいですね……」


 見ればメンタの顔色が青ざめており、魔理沙はメンタを地面に座らせた。


「自分のことなのに分かって無かったのか?」

「対精神能力者は初めてだったので少々迂闊でした」


 迂闊と言えば迂闊だが、メンタが精神能力対決を実戦するのはこれが初めてのため強く攻められる者はいない。

 ――確かにそうだな。精神系自体レアだから対人することもあんまりないんだよな。その分、相手方は準備万端だったってわけか。


「今はゆっくり休んだ方が良いな。戦闘はあいつ等も行っていた通りだから大丈夫だろう」


 眼下を見ればフールエンリルたちが無双しており、自身等が参加しなくても大丈夫だろうと魔理沙は判断する。


「あづづ……」

「お、おい!? ――紫! よく分からんがメンタの容体がおかしい! スキマ出してくれ!」


 メンタが遂に倒れ、異常なまでの冷や汗を額から流すのを見て魔理沙は何処かで見ているであろう紫を呼んだ。

 すると早速スキマが開き、魔理沙とシンでメンタを持ち上げ、スキマの中を通じて博麗神社に戻っていく。


「敵はメンタより上手の精神系能力者か……」


 魔理沙が小さく呟き、顔の見えない敵を睨んだ。


 

 博麗神社に戻って来た魔理沙たちはメンタを寝かせ、紫に事情を説明していた。


「というのが事の顛末だ」


「それでさっきからメンタが一言も口を聞かずに寝ているのですね」

「疲労困憊」


 視線を向けた先ではメンタが死んだように倒れて、ここまで衰弱した姿は見た事がなかったため紫も少し思案したが、先に魔理沙たちを労った。


「ともかく皆、ご苦労様。妖怪の件と精神系能力者は此方で洗い出してみます。また近々依頼をお願いすると思いますのであまり遠くにはいかないようにお願いしますね」

「了解」

「うむ」


「それと霖之助からメンタに言伝があります。例の装備が完成しているので試着しに来てほしいとのことです」


 メンタは僅かにも頷かず眼を閉じたままだ。


「本当に重傷ですね」


 紫が手を頬に当てて呟き、魔理沙たちも顔を見合わせる。


「数日はこのままだろうな」


 そう……と紫が告げて立ち上がり、スキマを開いて何処かに行ってしまう。


「シン、帰ったらメンタはこんな感じだから当面は博麗神社で療養させるって、枢に伝えてくれ」

「分かった。伝える」


 シンも夕刻前には陰陽師院に戻るため、中庭に出て飛翔した。


「さてと、霊夢あのばかにも少し働いて貰おうか、っと」

「誰が馬鹿よ」


 珍しく部屋から出てきた霊夢が戸を開け、徹夜明けの酷い顔を晒しながら現れた。魔理沙は溜息を吐いて霊夢に先程同様の説明をし、霊夢は半分頷きつつメンタを見下ろした。


「つまり、精神攻撃食らってこの様と」

「言ってやるな。事前訓練してなかったんだからしょうがないだろ」

「やれやれ……。それでメンタ具合はどうなの?」


 簡単な医療ならば出来るてゐに問い、彼女は少し迷った。


「うーん、正直に言って良いか?」

「正直に言ってくれないと私が働く羽目になるんだけど」


 てゐもメンタをこのままにはしておけないため意を決して口を開いた。


「じゃあ言うぞ。ぶっちゃけ意識不明の植物状態で重体だ」


 それを証明するようにメンタの腕を適当に動かしたり胸を揉んでみたりする。そこまでされればメンタとて起きる筈だが、何の変化も無い。


「……原因は? ああ、勿論メンタの意識の中の方ね」


 霊夢は以前にもこういった状態の人間を見た事があり、永琳が直しているのを見学したことがあった。


「さてな。ここまでとなると私の腕じゃ無理だ。師匠連れてくるから絶対安静にしていてくれ」


 てゐは肩を竦めて立ち上がるや外に飛び出していく。

 霊夢も、てゐがそこまで尽くすほどメンタは大事な友人であるのを認識し、頬を二度叩いて顔付きを変える。


「意識不明か……これをパルが聞いたら大変なことになりそうね」


 魔理沙の方を振り返ると、彼女は四角い板状の物体に何かを打ち込んでいた。


「何してるの? ってかそれ何?」


 全く目にしたことのない物体を見て霊夢も興味が湧き、魔理沙に問う。


「『アイファン』って奴らしいぜ。パチュリーが開発して作った。今やっているのはエルアイ・エヌイー機能だ」


 どちらも聞いたことのない単語だが、ふと類似する物体が脳裏を過ぎった。


「見た感じ通信符の文字バージョンみたいね」

「今は私とパチュリーの試験機だけだから多くのことは出来ないけどな」


 魔理沙はそう言いつつも文字を打ち込み、画面に表示させる。



@魔理沙

「メンタが意識不明ナウだぜ」



「ナウって……」


 霊夢は少々絶句し、苦笑いする。


「若者らしいだろ?」


 一体どこの若者だ、と霊夢は内心で突っ込む。



@パチェ

「Σ(=□=)!?」



 少しするとパチュリーから返信が来て、二人は画面を覗き込みつつ感心する。


「絵文字ね」

「上手いもんだぜ」


 霊夢とて新しいものには興味を持つし、それが文字を打つだけで良いというのであれば使ってみる価値はあるかもしれないと思う。


「ちょっと貸して」


 霊夢が手を伸ばし、魔理沙はその手にアイファンを乗せた。


「ん」


 霊夢が慣れない手つきで文字を打ち、打ち終わると魔理沙に返した。



@魔理沙

「今何色のパンツ履いてるの?」



 ただのセクハラ行為に魔理沙は眼を見開いて叫んだ。


「霊夢お前ェェ!?」

「アハハハハ!」


 霊夢は爆笑し、机を叩いて笑った。



@パチェ

「(・m・)……今の問い霊夢でしょ」



 一方で魔理沙がこんな露骨な質問をするだろうか、と考えた時、こんな悪ふざけをするだろう人物をパチュリーは思い当たっていた。


「バレてる!?」

「流石パチュリーだな」


 ホッと安堵すると同時にスキマから伸びた手にアイファンを奪われる。


「次、私ね」

「あ、オイ!」


 いつの間にか戻って来ていた紫が文字を打ち込み、魔理沙に返す。



@魔理沙

「魔理沙の下着は黄色でした」



 スキマを最大限悪用した内容に魔理沙は憤る。


「何見てんだぁぁ!?」

「ふふふ」


 画面の向こう側ではパチュリーが親指を立て、返信した。



@パチュリー

「ご馳走様」


@?んt

「黄色ですね。孤腐腐腐……( ´メ`)」



 見ると文字化けしつつも喜んでいる絵文字があり、魔理沙は手慣れた様子で文字を紡いだ。



@魔理沙

「パチュリー、文字化けしてるぜ」


@パチュリー

「魔理沙、文字化けしてるわよ」



 一瞬、お互いの手が止まり顔が引き攣る。


「どしたの?」


 霊夢が覗き込むと魔理沙は何となく嫌な予感に襲われつつ呟いた。


「……まさか……」



@?んt

「そういえばこんな画像拾ってきましたよ」

「*****/****////****.gip」



 見知らぬ誰かが送って来たファイルを開くとそこにはレミリアの生写真が載っており、本人が見たらグングニルを飛ばすであろう一枚だった。


「ブッ!」

「ゴブッ!」

「あらあら……」


 ちなみにその写真を具体的に説明すると、状況はお風呂から上がったレミリアが咲夜に水気を拭きとって貰っている最中、それを背後から見上げる形で取られている。元凶は言うまでもなく隠し撮りしていたパチュリーだ。

 故にパチュリーは非常に焦った。これをレミリアに見られたら間違いなく殺されるのと二人しか使えないはずの空間に誰か別の人物がいるということだ。 



@パチュリー

「ちょ、ちょっと! あんた誰!? このサーバーは私と魔理沙以外使えないはずよ!」


@?んt

「オレですオレオレ」



 三人が思い当たる中で『オレ』という一人称を使うのは男性かメンタかくらいだろう。だがこれが男性であればわざわざ画像を上げてくるだろうか?



@パチュリー

「……もしかしてメンタなの?」


@?んt

「そうメンタです。早速ですけれど助けてください。電子世界にいます」


@魔理沙

「どーしろと……」

 


 魔理沙たちは唸り、画面と現実にいるメンタを見比べる。


「電子世界か」

「でもこれがメンタだっていう確証は無いわよ」

「一応色々やってみるぜ」


 画面に軽音と共に文字を打ち込まれる。



@魔理沙

「一応本人確認だ。お前の兄の名前は?」


@?んt

「存在しません」


@魔理沙

「姉は?」


@?んt

「パル姉です!」



「……」

「確定でしょ」

「まだだ。偶然かもしれない」



@魔理沙

「次の問いだ。今からお前のリアルの肉体を襲うけど良いな?」



「ちょ、あんた……」


 霊夢が思いっきり身を引き、魔理沙は手を横に振るって否定する。


「確認だけだぜ」



@パチュリー

「ちょっ! なんて羨まし――いえ、羨ましいことをしているの!」


@?んt

「ご褒美です!」


@魔理沙

「じゃー揉むから」



 ご褒美なら勝手にやってもいいか、と霊夢は考える。


「勝手に入力すな! って、え、おい霊夢!?」 

「せーの!」


 パァン、と張り手の音が響いた。



@?んt

「!?!? 揉むと見せかけてオレの頬をビンタした人は誰ですか!?」



「どう?」

「リアルの肉体とイコールになっているみたいだぜ」

「なるほどね」


 そう言い、霊夢が次の文章を打ち込む。



@魔理沙

「ヘヘヘ嬢ちゃん良い肉体しているぜ。どれ、まずは脇から――」



「はいこれ」


 その間に紫がタオルを濡らしてメンタの脇の傍に当てる。


「脇で良いのね?」

「ええ」

「すげぇ、メンタが実際を知ったら怒ることやってるぜ」



@?んt

「わわっ!? 何かが脇の当たりを――って、まさか本当に誰かやっちゃっているんですかね! やっ! ちょ、太ももくすぐったいからやめてください!」


@パチュリー

「とりあえず文字化け直してメンタの画像上げるから一旦シャットダウンするわね」


@?んt

「生殺しですか!?」



 プツン、と画面が切れ、メンタがどういう状況なのか一切分からなくなる。


「切れたぜ」

「とりあえずは大丈夫そうね。全身濡らしておきましょうか」

「絶対ビグンビグンの反応が返って来るぜ」

「それはそれということにしましょう」


 再度繋ぎ直された時、最初に出た文字はやはり『ビグンビグン』だった。


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