19話 買い物を1
※クーレ視点です。
―――あの出会いから数日後
僕は外出許可を貰うため、あの人の部屋に居た。
「え.........今なんと言った?」
あの人の手からペンが滑り落ちてカラカラと音を立てる
「ですから、街に買い物に行きたいのですが.........」
あの人は床に落ちてしまったペンを拾い
再び書類と向き合いながら話し始めた
「珍しい.........と言うか、初めてじゃないか?
お前が何か欲しいと言うなんて.........
何が欲しいんだ?
必要なものがあれば使用人に頼んでもいいんだぞ?」
「.........いえ、僕は平民ですから。自分で行きます。」
その瞬間、場が静まり返った。
「……」
あの人は書類を書く手を止め
悲しげな顔をして僕を真っ直ぐに見つめた。
「その事を気にする必要は無いと説明しただろう。」
「自身が使う者が欲しいだけなので。」
「.........まぁいい。お前も何か欲しい思う程には成長したという事だろうからな。」
「ありがとうございます」
「行くのは良いが護衛は連れていくように。」
「.........必要ありません。」
「必要だ!お前もまだ子供だろう。一人では人攫いに連れ去られるかもしれん。絶対に連れていけ。でなければ外出は認めない。」
「.........分かりました。」
一人でゆっくり探したかったが、仕方がない。
まぁこんな 見た目のおかしな奴を連れていこうなんて思わないだろうが。
いや、労働くらいは役にたつと思われるか?
だったらまぁあの人の言い分も一理あるか。
「護衛は二人用意しておくから。金も護衛に渡しておく。行くのは二日後くらいでいいか?」
「はい、ありがとうございます。」
「.........で、結局何が欲しいんだ?」
.........言いたくないな
と思う気持ちもあるが
金を用意してくれるのはこの人だから言わないとダメだろう。
「.........仮面です。
先日レイデ様とお会いした際に
他には持っていないのか、汚れたり壊れたら大変ではないかと言われまして.........
確かに頂いたこれ一つでは今後何かと不便かと思いました。」
「あぁ.........なるほどな。
しかし.........
ローセル嬢はそこまでお前の事を考えてくれる方だったとはな、会わせて正解だったよ。」
「僕が仮面をしていても気にする事は無いと仰って頂きました。」
僕がそう言うと
あの人は机から立ち上がってニヤニヤしながら僕に近づいて来た
.........うわ、僕をからかう時の顔だ。
こうなると思ったよ!
だから言いたくなかったんだ!
「ほぉう.........?そうかそうか、うんうん。良かったなぁ。そーんなにいい子だったかぁ〜
て言うかぁ〜名前で呼んでいるんだなぁ?
そこまで仲良くなったんだって何で帰った日に教えてくれなかったんだぁ?
あ、自分と二人だけの秘密にしたかったとかかぁ?お前も隅におけない奴だなぁ?」
あの人は僕の仮面の横から手を入れて
僕の頬を指でツンツンしてくる。
.........腹立つ、本気で。
こんな時は早く退室した方がいい。
「はぁ.........そんなんじゃありませんよ、
用は済みましたのでそろそろ失礼します。」
「アハハ!そうかぁ〜、まぁいいよあの子の為に可愛いの選んでくるんだぞぉ〜」
あの人は僕に向かってひらひらと手を振り退室を見送っていた。
はぁ.........
あの人と話すと疲れるんだよ
.........まぁいいや、許可は貰えたし
僕はため息をつきながら自室に戻った。




