18話 愛称をくれた人
※クーレ視点です。
あの後すぐ
僕は質問攻めにあっていた。
そろそろ戻ってもいい時間だと思うんだけど?
「ねぇクラウデレ、好きなお菓子はある?」
「特には......なかったですね」
「......じゃあ!何して遊ぶのが好きなの?」
「......仮面を磨くとか......?」
「え......そ、うなんだ。仮面を大切にしてるのね」
「......毎日使っている物ですから」
「ねぇクラウデレ?」
「はい 」
「クラウデレって呼ぶと長いからクーレと呼んでもいいかしら」
「―――!…… 」
僕を愛称で呼ぼうとする人がいるなんて.........
レイデ様は本当に変わった方だ。
でも.........
あの眩しい笑顔で僕を呼んでくれるとしたら.........嬉しいな。
「......はい、どうぞお好きにお呼びください」
「良かった、そう呼ばせてもらうわね」
―――「クーレ、そろそろ戻りましょうか」
「はい、レイデ様」
もう、終わってしまうのか。
出来る事ならもっと話したい。
もっと.........隣で.........
名残惜しい気持ちを行動に出さないようにしなくては。
僕達は騎士達がいる入口付近まで歩き始めた―――
道中、レイデ様が声をかけてきた。
「そういえば仮面磨いて毎日してるって言っていたけど、替えは無いの?壊れちゃったら大変じゃない?」
「それは......あまり考えた事がありませんでした」
「そう......上手く使ってたのね」
壊れるような事は今まで無かった。
普通の子供のように遊ぶ時間など、今まで無かった
だから遊んでいる途中にはしゃいで壊すなんて事もない。
だけど.........これからは.........?
出来る事なら仮面の僕も受け入れてくれたレイデ様に仕えたいと思う気持ちはある。
まぁ色々な大人の事情でなれない可能性もまだあるが.........
どちらにせよ、今後僕の置かれる環境はどんどん変わっていくだろう。
だったら不慣れな事も多いはず。
不注意で壊れる事だってあるかもしれない。
―――……「替えの仮面か......」
いくつか持っておく方がいいかもしれない。
この仮面は一体どこで買われた物なのか.........
分からないが街の市場にでも行って探せば、似たようなのが一個くらいあるかも。
それに、よく仮面のデザインで怖がられる事があるけど
そう ならないデザインの物を付ければいいじゃないか?
何故こんな簡単な事に気がつかなかったのか。
暇な時間にでも行ってみるか。
―――……
そんな事を考えているうちにいつの間にか出入口付近まで来ていた
「楽しい時間だったわ。」
「僕もです。レイデ様本日はありがとうございました。失礼致します。」
またお会いしましょう。そう言いたいけれど、
また会うかは今の僕達では決められない。
お互いの家次第だ。
だから僕はこの言葉をぐっと飲み込んだ。
―――……
揺られる馬車の中で
”また会えるといいな”と思いながら
僕は遠くなるローセル邸を最後まで見つめていた―――




