北朝鮮の特殊部隊 台湾東方の公海上空
夜の海上、周囲を包む深い闇の中で、ロシア製の大型輸送機Il-76が、台湾東方の公海上空、東経123度、北緯24度 高度12000メートルを高々度飛行を続けていた。彼らの目的はただ一つ、北朝鮮の特殊部隊を西表島へ隠密に潜入させることだ。約150キロメートル先に広がる西表島に向け、作戦は秒単位の精密さを要求されていた。
機内では、30名の北朝鮮特殊部隊員が完璧に統制された沈黙の中にいた。目の前には、分解された状態で格納されている折りたたみ式のグライダーが並んでいる。このグライダーは軽量かつステルス性を重視して設計され、極限の条件下でも正確な滑空を可能にする。組み立ての時間は限られており、隊員たちはそれぞれの役割を的確に果たす必要があった。ここでの一つのミスが、任務全体の失敗につながる。各パーツは、訓練どおりに素早く、しかし正確に組み立てられ、短時間で完了した。
「 投下準備!」作戦開始に向けたカウントダウンが始まっていた。
輸送機の後部ランプドアが機械的な音を立ててゆっくりと開くと、外から冷たい海風が流れ込み、隊員たちの頬を切り裂くように吹き抜けた。その先には、敵に発見されることなく目標地点へ滑空するための漆黒の闇が広がっている。
「行くぞ!」リーダーの号令とともに、隊員たちは手際よく、隊員たちは各自の装備を再確認し、最後の調整に入った。彼らが使うグライダーは、特殊な素材で作られた軽量構造ながら、激しい風圧や高高度からの降下にも耐えうる設計が施されていた。パイロット用の装備にはGPS誘導装置が組み込まれ、滑空中の微細な進路修正が可能である。また、暗視ゴーグルが支給され、着地後の隠密行動を支援するための準備も万全であった。
「準備完了…投下!」無線からパイロットの合図が伝えられる。
最初のグライダーが機体後部から無音で投下され、直後にパラシュートが展開した。隊員たちは、冷静に次のグライダーの投下準備に取り掛かった。次々と続くグライダーが、夜の海上へと無音で放たれていく。彼らの背後に広がるのは、発見を避けるための完璧な静寂と暗闇だった。
グライダーが空中でパラシュートを切り離すと、静かに滑空モードに移行し始めた。その動きは滑らかで、完全な姿勢を保ったまま、指定された着地点へ向けて進んでいく。「滑空状態を維持、風向に注意しろ。」リーダーは無線を通じて冷静に指示を出し、隊員たちはそれに従って計器を確認しながら滑空を続けた。
グライダーは、その静粛性とステルス性を最大限に発揮しながら、日本の防空レーダーに捉えられることなく、目標地点である西表島に向かっていった。上空から見下ろす密林はまだ遠く、その闇の中に隠された着地点を目指した。




