北朝鮮の特殊部隊 西表島 山中
静寂に包まれた西表島のジャングル、その闇の中で、北朝鮮の特殊部隊は一瞬の休息を得た。しかし、その一角には、二人の負傷した隊員が横たわっていた。一人は重傷を負い、もう一人は軽傷であったが、足を骨折してしまい、戦場を駆け巡ることはもはや不可能だった。仲間たちは彼らの周囲に集まり、静かにその運命を見つめていた。
「我々の任務は失敗が許されない。痕跡を残すわけにはいかない…」リーダーが低く厳しい声で言い放つ。誰もがその意味を理解していた。苦痛に呻く二人の隊員の目には、既に恐怖と覚悟が交錯している。
一人の隊員が静かに歩み寄り、重傷を負った仲間の軍服からネームタグを切り取り、ポケットに隠された身分証明書を引き出した。手際よくライターの火を近づけると、証明書は瞬く間に燃え上がり、灰となって地面に落ちた。その後、タグも細かく切り刻まれ、周囲にばら撒かれた。
次に、彼は携帯燃料を取り出し、重傷者の手に染み込ませた。そしてライターの火を慎重に指先に押し付けた。火が弾け、指先が燃え始めると、彼は痛みに耐えきれず、短い悲鳴を上げたが、それも長くは続かなかった。やがて、指紋は焼き尽くされ、識別が不可能となった。
「顔もだ…」リーダーが短く命じると、同じ隊員が今度はナイフを取り出し、重傷者の顔に素早く傷をつけていく。その刃は無感情に、そして正確に頬から顎へと走り、彼の顔は元の形を留めないほどに変わり果てた。彼を知る者でさえも識別することはできないだろう。
次に行動に移ったのは、軽傷を負った隊員だった。彼は骨折した足を引きずりながら、リーダーの前に進み出る。リーダーは冷酷な目で彼を見つめ、「お前もここまでだ。自決せよ」と命じた。
しかし、その言葉に彼は恐怖に駆られ、震えながら首を横に振った。彼の目には涙が浮かび、命を乞うようにリーダーを見上げた。だが、リーダーは容赦しなかった。「命令に従え」と再び命じるが、隊員はなおも抵抗した。
その瞬間、リーダーの目が冷たく輝いた。「見せしめだ」と言い放つと、仲間たちは無言で燃料を取り出し、彼の体にかけ始めた。軽傷を負った隊員は恐怖に駆られ、必死に抵抗しようとするが、すでに足を負傷しているため、逃げることもできなかった。
「火をつけろ」とリーダーが命じた。ライターの炎が近づくと、彼は絶望的な叫び声を上げた。火が彼の体を包み込むと、その叫び声は一瞬にして凄惨なものへと変わり、やがて消え去った。
最後の手順が近づいていた。もう一人の隊員は既に意識を失っていたが、任務はまだ終わっていなかった。仲間たちは彼を静かに運び、近くの川へと向かう。彼の体にはロープが巻かれ、重りとして使われる石がいくつか結びつけられた。川辺に立った一瞬、リーダーは何かを呟くと、仲間たちとともにその体を川に沈めた。水面は一瞬揺れたが、やがて何事もなかったかのように静まり返った。
隊員たちはその場にしばらく立ち尽くしていた。彼らが行った行為が何を意味するか、それを理解しつつも、彼らにはそれ以外の選択肢はなかった。最後にリーダーが静かに命令を下す。「行くぞ。次の任務に移る。」
闇の中に溶け込むように、彼らは再び動き出した。彼らの背後には、証拠も、記憶も、そして仲間の存在すらも残されることはなかった。西表島の密林は、彼らの行為を、そしてその痕跡を、すべて呑み込んでいく。




