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古見岳 中腹②


「佐藤、小林、お前たちはこの地点を掘ってシェルターを作れ。見つかるわけにはいかないんだ、ここが俺たちの唯一の隠れ場所になる。」西村分隊長はスコップを放り投げ、佐藤と小林に指示を出した。

「了解、分隊長殿。」佐藤はすぐにスコップを持ち、地面に手をつけた。しかし、その隣で小林は少し戸惑いながらスコップを握りしめていた。


 夕方、古見岳の中腹付近。空が薄暗くなり始めたころ、偵察分隊の一部はシェルターの構築にとりかかった。佐藤修一陸士長は、命じられた作業を黙々とこなしていたが、隣で小林直人3等陸曹が、明らかに不安そうな顔をしていた。


「ここ掘るのか…?こんな場所で本当に大丈夫なのか?」小林は不安げに地面を見下ろしながら呟いた。戦場の厳しさに恐れを抱く彼の顔には、常にどこか怯えた表情が残っていた。


「おい、小林。そんなにびびってどうする。ここでやるべきことをやらないと、もっと危険な目に遭うだけだ。」佐藤が冷静な声で言った。彼もまだ若い兵士でありながら、シチュエーションの厳しさを理解していた。


「でも…もし敵に見つかったらどうするんだよ?」小林はなおも怯えた様子で言った。


「そのためにカモフラージュがあるんだ。」佐藤が一蹴するように言った。「俺たちがこの場所を掘るのは、上から見えないようにするためだ。掘った土は周りの地形に馴染ませるんだ。シェルターは倒木や枝で覆って、上空から見えないようにする。」


 小林はそれでも不安そうだったが、佐藤は彼の背中を軽く叩いて、「大丈夫さ、ジュニア。俺たちはここで生き延びるためにやってるんだ。」と励ました。


 その言葉を受けて、小林もようやくスコップを使い始めた。彼らは慎重に地面を掘り進めた。掘削された土は、周囲の草や木の根元に散布され、自然の一部として見えるように工夫された。


 二人がやっと入れるだけのシェルターがある程度の深さまで掘られると、佐藤が「よし、次は上部をカモフラージュするぞ。」と命じた。小林は、倒木や枝を集め、シェルターの上に慎重に配置していった。これで、上空から見ても、ただの森の一部にしか見えないようになった。次は内部の配置を整えよう。簡易ベッドや医療キットを備えて、もしもの時に備えるんだ。」と指示を続けた。


 ジュニアは深く息をつき、ようやく少しだけ安堵の表情を見せた。「でも、俺はやっぱり、ここから早く抜け出したいよ。」そもそも、なんで、俺みたいな一般部隊の兵士があんたちみたいな特殊部隊の兵士といっしょにこんなわけのわからない作戦にほうりこまれたのか。今もって大きな謎だよ。彼はぼやき続けた。

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