第五話 華音(かおん)
「あれ?アリス?」
私は声がかけられた方を見る。そこには白衣姿の長身の女性が。
「華音久しぶり!えっ!?何年ぶり?いつこっちに?」
「三ヶ月前よ。父に呼ばれて…それよりアリス何その格好は?病院は?」
「あはは。実は刑事になったの。今その被害者と話をしてて」
華音は顔を近づける。華音は背が大きめ、私は小さい。見下されてる感じ。いや、華音なら見下してるか。
「刑事ってあんたどういうつもり?…あ、この前の現場にヘリ呼んだのアリスね」
「どういうつもりって…自分のやりたいことしてるだけよ。ヘリは仕方なく。あの現場なら必要だと思ったから」
「刑事が呼んだみたいだって、看護士が言ってたから。おかしいと思ったのよ。二台も。それにしてもやりたいことって。逃げてるの?いくら生身の血が苦手だからって…」
「刑事なら死体相手でしょ?」
顔、顔が近いよ華音。
「そういう問題!?」
「大丈夫。わかってるのよ。ちゃんと時がくれば戻るから」
「翼は?」
「西園寺にいるよ。翼はわかってくれてるよ…たぶん」
華音に両腕を掴まれた。
「あんた。翼の苦労もわかってあげなよ」
「わかってる。逃げ回ってる私が悪い。…だけど華音のようにはいかないの」
華音は私を離した。
「ちゃんとしないと怒るよ」
「はい」
しょぼんとする私を見て華音はため息をつく。
「翼にはきちんと伝えなさい。戻る気だって。じゃないと期待するでしょ?」
「はい。わかった。わかったからもう言わないで」
「津田先生?その刑事さんとお知り合いですか?」
あ、例医者だ。この前はかなり顔色が悪かったのに、今日はいいみたいだ。
「あ、八雲先生。ええ、幼馴染ですけど」
華音が答える。
「この前はどうも。立件して裁判できそうです」
「え、あ、いや、僕は」
「じゃあ、私はここで失礼!結構忙しいんだから」
「ちゃんと翼に言いなよ」
「はいはい」
*
佐伯総合病院を出る。ふー。
あ、見つかった。
「鏡野、課長が探してたぞ!また未成年を直接!!」
桜田さんにはお見通しです。
「事件のことは話てないですから。ただ元気にしてるか見たかっただけだから」
「言い訳なら課長にしてくれ」
「はい」
「帰るから、早く乗れこのペーパードライバー」
桜田さんの横に大人しく座ります。はあー。




