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外伝 最高神評議会へのクレーム報告書

宛先:最高神評議会の皆様へ

差出人:第3支部・乙級の正社員女神 リリア


私は先日、厳しいテストをクリアし、正式に乙級の正社員女神にレベルアップしました。天界のルールを守るため、正社員のパワーを使って、以下の3名についてマジメにクレームを言います。どうか重いバツをあたえてください。


クレームその1:転生者の佐藤 誠

「この男は、初めて会った時から私を『いかがわしいお店のセラピスト』みたいに扱い、ひどいセクハラをしてきました!転生したあとも、私の神聖な『微振動スキル』を使って、自分の肩こりをマッサージさせてばかりです!そればかりか、あろうことかオイルを使って、女神である私の神聖な体にベタベタと塗りたくって撫で回してきたんです!しかも、女神の私の前で、全裸でウロウロすることもありました!本当にサイテーです。絶対に一番重い『神罰』を落としてください!」


クレームその2:第3支部主任のレジス

上司なのに新人の教育をまったくせず、私をホコリだらけの部屋に1年も放置しました!さらに、一番めんどくさくてヤバい案件(上の佐藤のことです)をむりやり私におしつけて、私を「人間の姿じゃないもの」にしました。完全にブラック企業です!


クレームその3:第3支部副主任(代理)のルシアン

たしかに仕事はカンペキで、顔もメチャクチャかっこいいです……コホン。顔はいいですが、性格にすごく大きな問題があります。ウラがありすぎます。でもまあ、あのイケメンな顔にめんじて、このクレームはここまでにしといてあげます。


以上の理由から、私は強く――


「おい、リリア」


頭の中でカンペキなクレーム報告書を作っていた私の意識は、上から降ってきたオッサンの声で、むりやり現実にもどされた。


「お前、さっきから乙級の正社員女神とかブツブツ言ってるけどさ。今の姿はただの『しゃべるフルーツナイフ』じゃねーか。リンゴの皮をむく以外に、なんか使い道あんの?」


そう。私は今、佐藤の手ににぎられ、ピカピカの銀色の刃で赤いリンゴの皮をするするとむいているところだった。


プツンッ!

私の頭の中で、何かが切れる音がした。


「ふざけないでください!私は今、最高神にあなたのセクハラとパワハラを報告しているところなんですよ!あっ、ちょっと!皮をむくスピードが速すぎます!目が回るぅぅ!私の神聖な刃で指を切っても知りませんからね!このクソ運オッサン!」


「うるせえな、フルーツナイフなら黙ってリンゴの皮の厚さをミリ単位でキープしろ!途中で切れたらどうすんだ!」


「誰がリンゴの皮ですか!私はえらい乙級女神――ああもう、ムカつくぅぅぅ!」


あまりにもイライラして、フルーツナイフの姿の私は、神聖な怒りで勝手に「ブブブブブッ」と激しく振動しはじめてしまった。


しかし、その振動を手に感じた佐藤は、ビビるどころか目をキラキラさせた。


「おおっ!高速で振動するフルーツナイフ!これすごいな。これならドリアンでもサクサク切れるぞ!リリア、その振動をキープしろ。今から市場にドリアン買いに行くぞ!」


「誰がドリアンなんか切りますか!あんなクサイのいやです!はなして!私の神聖なオーラをかえしてええぇーー!!!」


こうして、乙級女神リリアの涙のクレーム報告書は、激しい振動のせいで打たれた「ブブブブブブブ」というナゾの文字のまま、うっかり送信ボタンが押されてしまったのだった。


そして今日。異世界の空はいつも通り青く、佐藤のおっさんのテーブルには、神の力でカンペキにカットされた最高級のドリアンが置かれている。

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