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【絶望セーブ】深淵ダンジョンの管理人、捨て子のパパになる 〜最強魔王たちと育てる、パンドラの箱の最後の希望〜  作者: beens
第4章:深淵の女王・新生編

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第40話: 天界の『聖歌隊』乱入と、パンドラの選ぶ『未来』

 学園祭の最後を飾る後夜祭。校庭の中央に組まれたキャンプファイヤーの炎が、夕闇に赤々と燃えていた。

 生徒たちが肩を組み、祭りの終わりを惜しんでいたその時、空から透き通るような、しかし「不自然なほどに完璧な」歌声が降り注いだ。

「――聴きなさい、迷える子らよ。地獄の毒に当てられた心を、聖なる調べで白紙に還すがいい」

 雲を割り、黄金の翼を広げた百人の天使たちが降臨する。天界直属の『聖歌隊』だ。

 彼らが奏でるハープと歌声は、聴く者の個性を奪い、空っぽの「幸福」を押し付ける精神汚染魔法――『忘却のララバイ』。

「あ……あ……」

 生徒たちの瞳から光が消え、操り人形のように空を見上げ始める。

「パパ! みんなが変だよ! 楽しかった思い出まで、消されちゃうみたい……!」

 パンドラが私の手を握る。彼女の瞳には、天界の身勝手な「救済」に対する、確かな拒絶の炎が宿っていた。

「……やれやれ。不快な音色だ。不協和音どころか、魂の調律が狂って腐りそうだ」

 黒いライダースジャケット(どこから用意したのか)を羽織り、漆黒のギターを抱えたルシファー様が前に出る。

「管理人、アンプを最大にしろ。天界の連中に、真の『絶望と悦楽の不協和音ディスコード』を叩き込んでやる。上皇、リズムを外すなよ」

「ほっほっほ。わしの三味線ベースの重低音で、天界の雲ごと叩き落としてくれようぞ」

『……パパ。……ルル、これ、叩く。……ドンドコ、叩く。……お空の人たち、うるさいから、黙らせる』

 ルルは巨大なドラムスティック(トロールの骨製)を構え、やる気満々だ。

「パンドラ。……君の歌で、彼らの心を繋ぎ止めるんだ。君の中にしかない、あの『箱』の希望を歌に乗せて」

「うん……私、歌うよ! パパたちが作ってくれる音と一緒に!」

デスメタル・オブ・アビス

 ギュイィィィィィィンッ!!!

 ルシファー様の超絶ギターソロが、聖歌隊の旋律を真っ二つに切り裂いた。

 地獄の重低音が地を這い、天使たちのハープを物理的に粉砕していく。

「な、なんだこの禍々しい音は!? 聖なる歌声が、掻き消されるだと!?」

「――勝手にみんなの思い出を消さないで!」

 パンドラがマイクを握り、声を張り上げた。

 それは技術を超えた、魂の叫び。彼女の歌声に合わせて、胸元の「箱」から虹色の粒子が吹き出し、学園全体を包み込む。

 彼女が歌うのは、天界が教える「完璧な幸福」ではない。

 失敗して、怒られて、泣いて、それでもパパやみんなと笑い合った、泥臭くて愛おしい「日常」の歌。

奇跡の旋律

 パンドラの歌声が響くたび、生徒たちの瞳に光が戻っていく。

 洗脳の黄金の鎖が砕け散り、逆に天使たちがその熱量に圧倒され、空からポロポロと墜落し始めた。

「ありえない……! 厄災の器であるパンドラが、なぜ、これほどまでに清らかな『希望』を奏でられるのだ……!」

「決まっている。彼女を育てたのは、神の慈悲ではなく、地獄の愛だからだ」

 私が管理用コンソールを操作し、魔力出力を限界オーバーロードまで引き上げる。

 ルシファー様のギターから放たれた闇の波動と、パンドラの光の歌声が融合し、天に向かって巨大な螺旋となって突き抜けた。

 「めっっっ!!!」

 パンドラが最後の一節を叫ぶ。

 その瞬間、天界の聖歌隊は文字通り「音の暴力」によって彼方へと吹き飛ばされ、雲一つない満天の星空が戻ってきた。

 静寂が訪れる。

 後夜祭のキャンプファイヤーだけが、静かにパチパチと音を立てていた。

 生徒たちは何が起きたのか正確には理解していなかったが、ただ、胸の奥に熱い何かが残っているのを感じていた。

「パパ……。私、ちゃんと歌えたかな?」

「ああ。……世界で一番、素敵な歌だったよ」

 パンドラは満足そうに微笑み、そのまま私の肩に頭を預けて眠りについた。

 ルシファー様は「ふん、指が少し疲れたな」とクールを装いながらも、大切そうにギターを抱え、上皇様は「ライブというのも、なかなか興が乗るものじゃな」と上機嫌で酒を煽っている。

【ログ:後夜祭ライブ、大成功。天界の洗脳作戦を音楽で完全粉砕しました。】

【獲得ポイント:+40,000,000P(天使たちが味わった『自分たちの正義が否定された屈辱』と、全生徒の『魂の解放』より)】

【パンドラのステータス:称号『深淵の歌姫アビス・ディーヴァ』を習得。】

【管理者コメント:今回も無事に幕を閉じました。パンドラの成長は、もはや天界の想定を完全に逸脱しています。……が、明日には『パパ、お腹すいた』と起きてくるでしょう。それが、私の守りたい、この世界の唯一の『正義』です】

「パパ……。明日は、みんなで……海、行こうね……」

 眠りの中での約束。

ここまでお読みいただきありがとうございます!

読者の皆様の応援のおかげで、ここまで書き進めることができています。

もし「続編が気になる!」「応援してるぞ!」と思っていただけましたら、ぜひブックマークや、星での評価で応援をいただけないでしょうか。

皆様のポイントが、ランキングを駆け上がる原動力となります!

これからも熱い展開をお届けします!

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