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【絶望セーブ】深淵ダンジョンの管理人、捨て子のパパになる 〜最強魔王たちと育てる、パンドラの箱の最後の希望〜  作者: beens
第4章:深淵の女王・新生編

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第36話:パパがモテ期!? 学園の美人教師と、パンドラの『ママ探し(?)』作戦!

 特製プリンによる「パンドラのご機嫌取り」がようやく功を奏し、管理事務所に平和な空気が戻ってきた頃。学園の放課後、一人の女性が私の元を訪ねてきた。

「あの、管理人さん。少し……お時間よろしいでしょうか?」

 彼女はエレーヌ先生。魔法薬学の担当で、生徒たちからは「学園の白百合」と慕われる、おっとりとした美人教師だ。

「実は、個人的な相談がありまして。……ここだと何ですから、今度の日曜日にでも、街のカフェでお話しできませんか?」

 その光景を、廊下の角から八つの目(パンドラ、ルル、そしてステルス中の魔王二人)が凝視していた。

「……パパが、女の人とお約束してる。……もしかして、デート?」

 パンドラが、複雑そうな表情で呟く。

「……パパ。……あの女の人、いい匂い。……でも、パパを取られるのは、嫌。……半分に分けて、食べる?」

『ダメだよ、ルルちゃん。……でも、パパ、最近お仕事ばっかりで寂しそうだったし……。私たちじゃなれない『ママ』っていうのが、パパには必要なのかも』

 パンドラの思考が、あらぬ方向へと加速し始めた。


「認めん。断固として認めんぞ!!」

 エレーヌ先生が去った直後、ルシファー様が背後の壁を蹴破って現れた。

「管理人、貴様! 自分の立場をわかっているのか!? パンドラの『パパ』という聖域を汚し、あのような脆弱な人間の女と茶をしばくだと!? その茶に地獄の業火を混ぜてやろうか!」

「堕天使よ、待て。これは好機かもしれん……。管理人が別の女にうつつを抜かせば、その隙にパンドラをわしらの養女として完全に引き込める……ククク」

「じーじ、メッだよ! パパをのけものにしないで!」

 パンドラが上皇様の裾を引っ張って叱る。

「私、決めた。パパにふさわしいママがいるかどうか、私がちゃんと審査する。……エレーヌ先生だけじゃなくて、もっと強い人とか、綺麗なお姉ちゃんたちも集めて、『パパのママ候補・オーディション』を開催するんだから!」

「オーディション!? パンドラ、それは流石に――」

 私の静止は、既に「娘の自立」に感動して涙ぐむ魔王たちによってかき消された。


 翌日、管理事務所にはなぜか「世界最強クラスの美女たち」が集結していた。パンドラが(魔王たちの協力で)勝手に招待状を送りつけたのだ。

• 候補①:第4階層の主・リヴァイアサン

「管理人の奥方になれば、毎日新鮮な深海魚が食べ放題よ。……あと、邪魔な愛人は私が海に沈めてあげるわ」(※独占欲が重すぎる)

• 候補②:天界の外交官・熾天使サラフィエル

「管理人の魂を浄化し、毎日聖歌を歌ってあげましょう。……あ、魔王たちは今すぐ滅ぼしますね」(※家庭内紛争不可避)

• 候補③:アレックスの妹(自称勇者)

「兄がお世話になってます! 私がママになれば、家計は勇者の報奨金で安泰です!」(※ただの金銭目当て)

 パンドラとルルは、面接官のように並んで座り、彼女たちを厳しくチェックしていく。

「リヴァイアサンお姉ちゃんは、パパを海に閉じ込めそうだからダメ。サラフィエルさんは、おじちゃんたちと喧嘩するからダメ。……うーん、パパにふさわしいママって、なかなかいないね」

『……パパの隣、ルルがいい。……他の女の人、みんな、おやつに見える』


 結局、パンドラのオーディションは難航し、私は予定通りエレーヌ先生との「相談」へ向かった。

 当然、背後には「茂みに擬態したフェンリル」と「鳩に化けたルシファー様」がついてきている。

「実は、管理人さん……。学園の地下にある備品庫から、夜な夜な『パン…‥大好きだー!』という男の声が聞こえるという苦情が出ていまして……。防犯上の相談を……」

「……あ、それ、多分あそこにいる鳩の仕業(魔力の漏れ)です。すみません」

 私が申し訳なさそうに謝っていると、カフェの窓の外からパンドラが顔を覗かせた。

「パパ! やっぱりエレーヌ先生もダメだよ! だって、パパが困った顔してるもん!」

 パンドラが店内に踏み込み、私の手をぎゅっと握った。

「パパにママが必要だと思ったけど……やっぱり、パパの隣には、私とルルちゃんがいれば十分だよね? 私がもっと大きくなったら、パパのお手伝いもいっぱいするから!」


 パンドラの言葉に、エレーヌ先生は「……まあ、素敵なご家族ですね」と微笑み、相談(苦情処理)は円満に終了した。

 帰り道、私の両手をパンドラとルルが握り、その後ろを「パパの座を奪われなかった」ことに安堵した魔王たちが、まるで凱旋パレードのように意気揚々とついてくる。

【ログ:管理人、モテ期の兆しを一瞬で娘に摘み取られる。】

【獲得ポイント:+6,000,000P(エレーヌ先生が味わった『この親子には一生勝てないという敗北の絶望』より)】

【パンドラのステータス:スキル『家族の門番』を習得。】

【管理者コメント:パンドラが『ママ探し』を始めた時は肝が冷えましたが、結局は私を選んでくれました。……ただ、ルシファー様が鳩の姿のまま『私がママ役をやってもいいのだぞ』と囁いてきたのは、恐怖以外の何物でもありませんでした】

「パパ、今日の夕ご飯は、私が腕によりをかけて作るね! ママがいなくても、寂しくないもん!」

「ありがとう、パンドラ。……でも、ルシファー様に手伝わせるのは火事になるからやめておこうね」

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