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【絶望セーブ】深淵ダンジョンの管理人、捨て子のパパになる 〜最強魔王たちと育てる、パンドラの箱の最後の希望〜  作者: beens
第3章:外界進出・天界宣戦編

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第23話:学園祭は大パニック!? パンドラの『喫茶・地獄』へようこそ!

「パパ! 見て見て、ルルちゃんと一緒に衣装を作ったんだよ!」

 学園祭当日。管理事務所(仮設)の扉を勢いよく開けて入ってきたパンドラは、フリルたっぷりのエプロンドレスに身を包んでいた。10歳になり、少し大人っぽくなった彼女が着ると、それはもはや「天使の降臨」にしか見えない。

『……パパ。……ルルも、着た。……これ、動きにくい。……裾、食べていい?』

 同じく黒いエプロンドレスを着たルルが、不満げにスカートをムズムズさせている。

「ルルちゃん、食べちゃダメだよ! 今日は私たちのクラスの出し物、『喫茶・アウレオール』をお手伝いするんだから!」

 そう、パンドラのクラスは喫茶店をやることになったのだが、人員不足(というかパンドラの圧倒的な人気による客数予測の暴走)により、なぜか外部講師や関係者たちが「助っ人」として投入されることになったのだ。

開店:喫茶・エターナルアビス(永遠の深淵)

 学園の教室を改装した喫茶店。だが、一歩足を踏み入れた客たちは、その異様な光景に足を止めた。

「いらっしゃいませ、迷える子羊たちよ。……地獄の……いや、至高のティータイムへ招待しよう」

 入り口で完璧な礼を見せるのは、執事服(燕尾服)を纏ったルシファー様。

 そのあまりに完成された美貌と、隠しきれない王の覇気に、女子生徒どころか通りすがりの貴族夫人たちまでがバタバタと失神して運び出されている。

「ルシファー様、覇気を抑えてください! 客が入り口で全滅したら商売になりません!」

「ふん。私はただ『誠心誠意』接客しているだけだ。……おい、そこの男。パンドラをジロジロ見るな。指先から次元の彼方へ消し飛ばすぞ?」

「ほら、すぐ脅す!」

 教室の奥では、和服姿の上皇様が、茶室のようなコーナーを陣取っていた。

「ほほう、若いの。お主の運勢を占ってやろうか? ……ふむ、明日の昼食はパンを喉に詰まらせる相が出ておるな。特別にわしが『因果の書き換え』をしてやろう」

「ただの占いコーナーのはずが、ガチの運命改変になってるじゃないですか!」

 そして、喫茶店の看板犬として鎮座しているのは、大型犬サイズに(必死で)擬態したフェンリルだ。

「わぁ、大きなワンちゃん! モフモフしていい?」

「……グルゥ(よかろう。だが、パンドラ様以外の者に触れられるのは……いや、これも修行か……)」

 フェンリルが耐え忍ぶたびに、周囲に「神話級の威圧感」が漏れ出し、お洒落なティーカップがビリビリと振動している。

パニックの注文:ルルの暴食

 そして最大の問題は、ウェイトレス見習いのルルだった。

「パ、パンドラさん! 3番テーブルの『特製パフェ』が届いてないんだけど……」

「えっ? ルルちゃん、運んでくれたんじゃないの?」

『……あ……。……運ぶ途中に、パフェが、寂しそうだった。……だから、ルルの胃袋(別次元)に、保護した』

 ルルが口の周りにクリームをつけて、しれっと答える。

「ルルちゃん! お客さんのを食べちゃダメって言ったでしょ! ……もう、パパ、特急で作り直して!」

「はいはい、分かったよ……」

 私は厨房で、ベルゼブブおじさんから直伝された「奈落のパンケーキ」を人間が食べても発狂しないレベルにデチューンして焼き続ける。

 そんな中、一人の派手な身なりの転校生――その正体は、先日気絶させた審問官の代わりに天界から送り込まれた監視役の天使――が、嫌がらせのために来店した。

「ふん、不浄な者たちが作る料理など……。この『神聖なる舌』を持つ私を満足させられるかな?」

 彼は運ばれてきたパンケーキを一口食べた。

 ……その瞬間。

「……っ!! な、なんだこの……圧倒的な『幸福』という名の絶望は……!? 舌の上で銀河が爆発し、魂が深淵に溶けていく……! ああ、神よ、私は今まで何を食べていたんだ……!」

 天使は椅子から転げ落ち、恍惚とした表情で涙を流した。

【ログ:天界の監視役、パンケーキの美味さで『堕天』しかける。】

【獲得ポイント:+1,200,000P(魂の震えによるエネルギー回収)】

【パンドラのステータス:称号『地獄の看板娘』を習得】

【管理者コメント:結局、学園祭の売上よりも、お客さんの魂の浄化(物理)によるポイント獲得の方が多くなりました。備品の修復費用は、ルシファー様のポケットマネーで賄えそうです】


 夕暮れ時、後片付けをする私たち。

「パパ、今日はお疲れ様! みんな『美味しい』って言ってくれて、私、とっても嬉しかった!」

 パンドラが、クラスのみんなからもらった「感謝の寄せ書き」を大切そうに抱きしめている。

「……良かったね、パンドラ。……ルル、君は少し食べ過ぎだ。お腹が膨らんでるよ」

『……うん。……明日から、ダイエット……する。……たぶん』

 そんな平和な光景を、ルシファー様と上皇様が満足げに眺めていた。

「管理人。たまにはこういう『ごっこ遊び』も悪くない。……だが、次は私をメインシェフにしろ。パンドラに『パパの次に美味しい』と言わせてやる」

「……競争相手が増えたなぁ」

 私は苦笑いしながら、夕闇に染まる学園を見上げた。

 だが、その空の向こう――雲の隙間から、これまでとは比較にならないほど巨大な「神の眼」が、学園をじっと見下ろしていることに、まだ誰も気づいていなかった。

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