表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【絶望セーブ】深淵ダンジョンの管理人、捨て子のパパになる 〜最強魔王たちと育てる、パンドラの箱の最後の希望〜  作者: beens
第2章:見習い管理人編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

17/26

第16話:地獄の授業参観? パンドラが勇者パーティの『臨時教官』に!

「お、お願いします! 私たちを鍛えてください!」

 垂直都市の入り口。そこに土下座して叫んでいたのは、かつてパンドラの「おもてなし(物理)」によって精神をボロボロにされたはずの勇者アリスターと、そのパーティメンバーたちだった。

「……えーと、君たち。ここは地獄の入り口であって、道場じゃないんだよ? 帰ってくれないかな、パンドラがお昼寝から起きる時間なんだ」

 私が困り果てて追い返そうとすると、アリスターが涙ながらに訴えた。

「あの後、国に帰っても、パンドラ様のあの『無垢なる恐怖』が忘れられないんです! 安っぽい正義なんて吹っ飛んでしまった! 本物の強さを……あの方のような『圧倒的な何か』を学びたいんです!」

 どうやら、絶望が行き過ぎて「悟り」を開いてしまったらしい。

「パパ、どうしたの? 賑やかだね」

 目をこすりながらパンドラがやってきた。その瞬間、勇者たちは一斉に震え上がったが、目は爛々と輝いている。

「あ、前のアヒルさんの時のお兄さんたちだ! また遊びに来てくれたの?」

「い、いえ! 今日はぜひ、パンドラ様に稽古をつけていただきたく……!」

 パンドラは小首を傾げ、私を見た。

「パパ、私、お勉強を教える『せんせい』になってもいい?」

「……いい経験になるかもしれないね。よし、パンドラ。今日だけ特別に、彼らの『臨時教官』を任せてみようか」

 ――この決定が、後に「史上最も過酷な授業参観」を招くことになるとは、この時の私はまだ楽観視していた。

第1階層:パンドラ先生の『回避訓練』

 訓練場所は第1階層の広場。そこには、なぜか「授業参観」と書かれた札を下げたルシファー様、上皇様、そして巨大化したフェンリルが、腕を組んで並んでいた。

「管理人よ。我が娘が教鞭を執るというのに、見逃すはずがなかろう」

「パンドラが変な虫(人間)に毒されぬよう、じーじがしっかり見ておるからな」

 凄まじいプレッシャーの中、訓練が始まった。

「えっとね、まずは『よける練習』だよ! わんわん、お願い!」

 パンドラが指を鳴らすと、フェンリルが「ガウッ!」と軽く(地獄基準で)吠えた。

 刹那、フェンリルの咆哮が音の壁となって勇者たちを襲う。

「ぎゃああああ!? これのどこが『練習』だぁぁ!」

 

 アリスターたちは死に物狂いで泥の上を転げ回る。一発でも掠れば魂ごと削られる衝撃波だ。パンドラは「上手、上手ー!」と手を叩いて喜んでいるが、背後の魔王たちは厳しい。

「甘いな。今の踏み込みでは、パンドラの服に塵が舞う。……管理人、あの男の足を少し焼いて機動力を上げさせてやろうか?」

「ルシファー様、それだと訓練じゃなくて『調理』になりますからやめてください」

第2階層:パンドラ先生の『精神統一』

 続いて、パンドラは勇者たちをクトゥルフ様のいる深淵の近くへ連れて行った。

「次はね、『こころを強くする』練習だよ! クトゥルフおじちゃんの歌を、1分間だけ聞いててね!」

『……ふんぐるい……むぐるうなふ……』

 旧支配者の名状しがたき囁きが、勇者たちの脳内に直接流れ込む。

 アリスターたちの鼻から血が噴き出し、瞳孔が開き始める。

「あ、あわわわ……深淵が見える……宇宙の終わりが見える……!」

「頑張って! それを『子守唄』だと思えば、ぐっすり眠れるんだよ?」

 パンドラ先生のアドバイスは、もはや次元が違いすぎて攻略本にも載っていない。

 背後では、クトゥルフ様がパンドラに褒められて「……我、教員免許、取ろうかな……」と上機嫌で触手を揺らしていた。


 半日後。

 そこには、全身の骨が数回折れてはパンドラの「いたいのいたいのとんでけー!(超回復)」で無理やり繋ぎ合わされた、廃人寸前の勇者たちが転がっていた。

「みんな、とっても頑張ったね! はい、これは『修了証』だよ!」

 パンドラが手渡したのは、またしても折り紙で作ったメダル。

 アリスターは震える手でそれを受け取り、ボロボロの涙を流した。

「あ、ありがとうございます……。私、わかりました。パンドラ様の『可愛さ』という暴力の前に、剣も魔法も無意味だということが……」

「おっ、いい顔になったね。絶望の先にある『境地』に辿り着いたみたいだ」

 私は彼らをダンジョンの外へと送り出した。彼らは今後、聖騎士としてではなく「パンドラ様を遠くから見守る秘密結社」の会長として、地上の情報をこちらに流してくれる便利なスパイになるのだが、それはまた別の話である。

管理事務所:反省会

「パパ! 私、先生向いてるかも! もっとたくさん、お兄さんたちに来てほしいな!」

「ははは……ほどほどにね。階層主の皆さんが、嫉妬で地上を滅ぼしかねないから」

 私はタブレットのログを更新する。

【ログ:勇者パーティの『再教育』完了。】

【獲得ポイント:+80,000P(勇者たちの『価値観の崩壊』より回収)】

【パンドラのステータス:称号『絶望を教える者』が『教育の女王』に進化しました】

【管理者コメント:勇者たちが「パンドラ様教」に入信してしまった件については、本人の耳には入れないでおこうと思います】

 パンドラは、ルシファー様から「教師用のお洒落な眼鏡(魔力増幅機能付き)」をプレゼントされ、ご満悦で鏡の前でポーズをとっている。

 垂直都市の管理運営。

 それは今や、教育、政治、そして宗教までをも飲み込み、世界の新たな中心地へと変貌しつつあった。

更新通知を受け取りたい方は、ぜひブックマークをお願いします!

「続きが気になる」「面白い」と思っていただけたら、下の☆☆☆☆☆から評価をいただけると、執筆の大きな励みになります!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ