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かくして秋雨は降る  作者: 霜月風炉
第四章

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94/112

第94話

 日本国内に漂う世間の空気が明らかに変貌し、周囲から向けられる視線も多く集まるようになっていた。

 マスコミに関しては東京会談から、水を得た魚の如く五行神家に批判的な報道を繰り返していた。

 玲香の発言もしっかり取り上げられ、他の五行神家としての見解を求められているが、何処の当主も一切答えることはしていない。そんなこともあり、風当たりが強くなっている節もあった。

 そして、秋雨の通う高校の前にもマスコミが押しかけていた。


「うへー、今日も朝から賑やかだったぜ。やっぱ人気者は辛いねぇ」


 登校時に校門へ詰めかけているマスコミに絡まれたのか、宗助がそんなことを言いながら秋雨の元へやって来る。

 

「おはよう、宗助。毎日飽きずにご苦労だなとは思ってるよ」

「ま、俺は秋雨のことを嫌うことはないけどさ。世間的な風当たりは強くなっているだろ? この学校内にもそれなりにいるみたいだぞ」


 それについては秋雨も犇々と感じていた。

 校内を歩いている時、何処からか突き刺さる悪意のある視線。

 その気になれば特定はできるのだが、そこまでする気も無いので秋雨は静観を貫いている。

 とは言え、鬱陶しいことは変わりないので、何とかならないか思案しているところではあった。

 だが、マスコミの報道が落ち着く素振り見せない以上、秋雨を取り巻く状況についてしばらく変わることはないだろう。


「そう言えば、勇者組は異世界に行っているらしいぞ」


 そのことは秋雨も直接奏多から報告を受けていた。

 何やらゾティークで厄介事が起きているらしく、調査と解決のためとのことらしい。


異世界(むこう)で何かしらの問題が起こっているらしい。その調査と解決の為だってさ」

「へぇ、エリスティマちゃんはどうしたんだっけ?」

「あー、アイツは帰国中だよ。魔女会(ウィッチクラフト)とイギリス王室、イギリス政府との擦り合わせだってさ。マーリンとアルトリウスから呼び戻されたって話だ」

「いやー、俺たちが知らないだけで世界は思った以上にファンタジーだよな。それに何て言うか異世界組以上にぶっ飛んでるしさ」


 宗助の言葉に対しては秋雨も頷きざるを得ない。

 その筆頭こそ玲香だ。


「しっかし、あと二ヶ月もすると年末だぜ?」

「……そうだな。ま、今年はゆっくり過ごせなさそうだけど」

「秋雨はそうだよなぁ。これからもいろいろ忙しいんだろ?」

「まあ、忙しいな。ただ、五行神家関係の仕事については他の当主がやってくれるから、俺は高校にしっかり通えって言われてる」


 特に紅蓮が「青春謳歌せずに学生を終えちまうのはもったいない!」と力説していた。

 秋雨としてもありがたい話でもあったので、その好意に甘えることにしたのだが、マスコミが学校にまで押しかけて迷惑を掛けているのは非常に忍びない。


「これからどうなるんだろうな?」

「……どうなるって?」

「いや、報道されている来たる脅威の話もそうだけど、今の俺たちは二年だろ? 来年は三年で進路について本格的に向き合わないわけだ」


 宗助の言葉に、秋雨は「そうだな」と小さな声で答える。


「俺はたぶん進学するけど、秋雨はどうするんだ?」

「……まだ、決まってないな」

「もう少し時間があるから、ゆっくり考えようぜ? お互いにさ」

「おう」


 世間が賑やかでも変わらないものはある。

 こうして今日も普段通りの日々が過ぎていった。

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