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かくして秋雨は降る  作者: 霜月風炉
第三章
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第61話

「さて、その日本に集っている頂点捕食者の目論見はわかったわ。そんな中で地球の頂点捕食者である神木守玲香はどう考えているのかしらね?」


 複数の頂点捕食者が集い、その目的は思想的なものであることが提示された。

 ひとりの頂点捕食者が独断で行っていることではなく、あくまで複数の頂点捕食者が集結していることが重要――少なくともガーネットはそう考えていた。

 そして、そうなると地球の頂点捕食者も賛同する可能性があることを考えてしまうのは、当然の帰結とも言える。

 故に、ガーネットは問う。

 神木守玲香は頂点捕食者の側に着くのか否かを。

 その意図を当然気づいている玲香は不敵な笑みを浮かべて答える。


「私はあくまで地球の頂点捕食者であって、他の頂点捕食者の賛同しているワケではないわ」

「では、地球の頂点捕食者としての使命は存在していない――と、認識しても良いのかしら?」

「それはノーコメントね。仮に使命があったとしても、アナタに応える義理はないわよね、組織長殿?」


 飄々と返答した玲香。

 ガーネットは一度目を閉じた後、一呼吸おいてから目を開け、一言「そう」と呟く。


「……今は敵対していないと勝手に取ることにするわ」

「ええ、勝手にどうぞ」


 玲香とガーネットの間で何かが通じ合った様子に、秋雨は背筋に冷や汗を流しながら一先ずホッとする。

 と、それを見ていたカルロスが口を開く。


「さて、和解したところでもうひとつの問題――そう、ルクシャ・ハーナについてだ。話によると異世界ゾティークの頂点捕食者って話だが、そこんところどうなんだ?」

「概ね正しいと言うべきでしょうね。とは言っても、本日来界したお姫様は知る由もないことでしょうけど」


 玲香はそう言った後、ミルディールへと視線を向ける。


「なるほど。では、ミルディール殿へ聞こうか? 君はルクシャ・ハーナの存在を知らなかったのか?」


 カルロスの言葉がミルディールへと投げかけられる。

 これに対して、奏多が答えようと立ち上がろうするが、それをミルディールが制止した。


「ミルディ?」

「問題ありません。回答は私が行います」


 ミルディールはそう告げると静かに立ち上がる。


「カルロス様よりいただいた問いですが、答えはいただいた通りです。私たちはつい最近までルクシャ・ハーナの存在を認知していませんでした。認知した際に調査を行い、遥か昔から存在していた宗教団体が崇拝している存在であったことは調べがつきました。しかし、その宗教団体は何者かによって殺害されていましたが……」


 それはリファとノヴァクが一時的にゾティークへ帰還した際の調査結果だ。


「なるほど。と、なればゾティーク側は俺たちの世界を侵攻しようとしていたワケではないってことでいいのか?」

「はい。そのルクシャ・ハーナが私たちの世界であるゾティーク出身であったとしても、今を生きる私たちに信仰の意図は微塵もありません」


 力強い声でミルディールは断言する。

 その様子にカルロスは満足したのか、深く頷いた。


「わかったぜ。ならば、俺たちは暗躍をしている頂点捕食者とルクシャ・ハーナに注力するべきだろうな。そこんところどう思うよ、マーリン?」


 ずっと沈黙を保ち、ジッと静観していたマーリンへ、カルロスが問う。


「急に話を振らないでもらいたかったね。まあ、問われたからには答えるさ。まあ、概ねは君と一緒だよ、カルロス。個人的には頂点捕食者のひとりである九十九って奴には借りを返す必要があるからね。ルクシャ・ハーナについては後回しにさせてもらうつもりさ」

「と、マーリンは言っているけど、借りがあるのは僕の方でね。一度完膚なきまでやらたから、リベンジを果たしたいってことだよ。可能であればルクシャ・ハーナについても魔女会として協力するつもりだよ」

「ふーん、なら私たち銃士協会も一噛みしようかしら」


 マーリンの発言を補足するように、アルトリウスが言う。

 そして、便乗するようにガーネットも言う。

 さて、そんな話が繰り広げられている中で、表の住人である各国の政府たちは面白くないだろう。

 完全に蚊帳の外。視界にすら入れられていない事実に歯がゆさを感じている様子だった。

 と、アメリカの大統領が声を上げる。


「ならば、我々はその頂点捕食者との戦いに手を貸そうではないか」


 その発言にざわつく。

 他国からすれば出し抜かれたと思ったに違いない。

 だが、今回だけは相手が悪かった。

 普通であれば、アメリカの軍事力というものを喉から手が出るほどに欲しいものかもしれない。

 しかし、頂点捕食者、ルクシャ・ハーナを相手取るのは、異能力を有する強者たちだ。


「いらないわね」


 にべもなくバッサリと切り捨てたのは、ガーネットだった。

 その表情は心底迷惑そうであり、ありありと「余計なこと言ってんじゃねぇよ」と言わんばかりの面持ちが浮かんでいた。


「なっ……我々の軍事力があれば――」

「いらないっていってるのよ。馬鹿みたいな火力で押し切れるほど軟な相手じゃないのよ。戦争をやりたいのなら他国にでもちょっかい出せば良いじゃない」


 しっしと手で払いながら、ガーネットは吐き捨てるように告げる。


「貴様……それでもアメリカ国民なのか?」

「ええ、生まれも育ちもアメリカよ。だけど、それとこれとは話は別。そもそも弱者を味方につけたところで足手まといにしかならないもの。文句があるなら、直々に私が相手をするけど?」


 腰のホルスターから拳銃を取り出し、アメリカ大統領へと銃口を突きつけながらガーネットは言った。

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